Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    甘味。/konpeito

    800文字チャレンジだったりssを投げる場所

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 115

    甘味。/konpeito

    ☆quiet follow

    本日の800文字チャレンジ
    クロリン/創後/今を永遠にする日
    求婚の日なので。

    「これ、今日の朝刊な」
    「ああ。ありがとう」
     エプロンを外し、隣の椅子にかけたクロウから新聞紙を受け取った。席についた彼と食事前の挨拶を交わし、朝食に手をつける。偶然、オレンジジュースに口をつけた彼と目が合い、笑みを交わした。
     午前五時。いつもの時間に起きたリィンは、まだクロウの眠るベッドを先に抜けだして家の前で素振りをする。ついでに軽く身体を動かしてから家に戻れば、すでに朝食がテーブルに並んでいた。日課のシャワーを終えたクロウとともに残りの準備を手伝い、こうしてふたりで朝食を摂る。食べ終えればふたり並んで食器を片付け、リィンはリーヴス第二分校へ赴き、クロウは日毎に異なる依頼をこなしに出かける。これがクロウとリィンの日課だ。
     夕刻になれば、お互いに時間が合うようなら外で待ち合わせをして夕食を済ませ、ふたり揃ってこの家へ帰ってくる。遠征で彼がいない日は、味気ない朝食をひとりで食べた。
     隣りにクロウがいない時間がいやに長く感じるようになったのは、いつからだったか。
    「そろそろ出るぞー」
    「あ、ああ。今行く」
     コートのポケットに入っていた小箱を取り出し、玄関先で待つクロウの元へ急いだ。見慣れたコートに身を包み、揃いの革手袋をはめた彼の前に立つ。こちらを見下ろす目が瞬いた。
    「なあ、クロウ。俺たちそろそろ一緒に暮らしはじめて一年経つだろう」
    「もう一年か。早いな」
    「その、籍を入れることはできないから、せめて形だけでもけじめをつけさせてくれないか」
     目の前で小箱をあけた。なかには一対の指輪が収まっている。リィンが悩みに悩んで選んだものだ。
    「なんとなく、今渡したいと思って。クロウ、受け取ってくれないか」
     言い終わるや否や、小箱を差し出した腕ごと身体が引っ張り込まれた。抱きすくめられ、身動きもとれない。
    「……やられた。サプライズは俺の十八番だってのに」
     すっかり弱り切った彼の手のなかから、似たような小箱が差し出されるのだった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖💖💒💖💖💒💒💒💒💒💒💖💒💒💒💒💒💒💕👏❤❤💒
    Let's send reactions!
    Replies from the creator