独白自分は人を傷つけているんだなと思った。
最初に思ったのは"初めて"話した時。自分の語尾が【前】とは違うらしいをとを指摘された時だった。私が【前】と違うことに気づいて悲しそうな顔をしたその子のことは覚えていなかったけどとても胸が苦しくなった。
出来るだけ言われた像になろうとした。語尾を変えて、言われたように少し辛辣で明るくて口うるさい、そんな像になろうとした。
それでも【前】がいた頃の話をするときは悲しそうな顔をする。そんな顔をさせたいわけではないのにと思った。
私の【前】と関わりがあるのはどうやら二人らしい。しかも【前】はかなり二人に酷いことをしたらしい。それは二人の行動に顕著にあらわれているらしい。
一人は『自己犠牲』に気づかない。「守れなかったから次は守りたいんだ」って私の目を見て泣きそうに言ったあの子はどんな時も最前で護ろうとする。壊れちゃうんじゃないかと少しだけ不安になった。
もう一人は『過去という幻影』に憑かれていて、私を見てるようで見ていない。何か遠くを見ているようだ。声をかけると「なんでもないぽこよ〜」って誤魔化す。消えちゃいそうで怖くてその日は手を繋いで歩いた。
『自己犠牲』の子が怒られた。仲間にもっと頼れと、抱え込むなと怒られた。仲間に背中を預けて、守り守られ戦っていた。わからないけど少しだけ懐かしい気持ちになった。
もう一人もそれを見て強くなったように見えた。自分にできることを模索して、必死にもがいているように見えた。眩しかった。
私だけ、何も進めずにいる。
自分がわからなくて、周りを気にして。何もできないでいる。
足引っ張ってごめんなさい。思い出せなくてごめんなさい。何をしたかわからないけどごめんなさい、ごめんなさい。ただそれを考えることしかできなかった。
私は私であって、でも私は【前】の私とは違って。あの子達の隙間をうめてあげることはできないけど、【前】の記憶が戻るまではせめて少しでも傷が開かないようにここにいたいと思う。
これは
『とある妖精の独白』
いつか私が私として見てもらえる日を。