『もし、ふがの魔力が発動しなかったら』「なに、この薄汚れてるの。」
紫の妖精に連れられてゴミ捨て場にここには見合わないいかにもお金持ちそうな少女が降り立った。これは、『もし、ふがしの魔力が発動せず、何も変わらずに話が進んだら』のIf作品である。
Atmというもとここで死んでいた妖精に魂を入れてゾンビ化させたのが3年前。カキン星のゴミ捨て場にAtmによって連れてこられたうづぅは不服そうな声を上げた。
目の前には薄汚れた猫型の妖精が転がっていた。
「Atm、これは抜け殻なのよ。もう生きてないからあなたの友達にはできないの。」
横で「かきん…カキン…」と寂しそうな声を上げるAtmを見てうづぅは頭を抱えた。うづぅはAtmのこういう仕草にに弱いのである。
深いため息をついて妖精の抜け殻を拾い上げた。
「まぁ、ぬいぐるみにはなるんじゃないの。一応魔力で魂いれてみようか。」
その言葉をきいて嬉しそうにじゃれつくAtmを片手で撫でながら、うづぅは自身の住むお城へと後にした。
「な、なぜ…」
うづぅは頭を抱えた。持ち帰ってきた猫型の妖精を洗って魂を入れた途端、人型になったのだ。この妖精が。目は虚で動きはしないが確かに人間的な生命活動を再開させているそれは一言も話さず空を見つめていた。Atmがキラキラした目でその子と私を交互に見つめる。
流石に服を着ていないのは色々と問題があるので、部屋から何着か服を持ってきてAtmに選ばせて黒いゴシックロリータを着せる。動かない体に虚な瞳猫耳の生えたブロンドの髪の毛、正気を感じないそれはまるで人形のようだった。
「ふが…」
突然喋ったそれに驚いて振り返る
「なによ!喋れるの?びっくりしたじゃない❕」
その言葉に、それはまるで何も響いていないようにただ「ふが…ふが…」と繰り返すだけだった。
「何も伝わらないわよ!あなたの名前なの?わかった、あなた今日から"ふが"ね!あなたは私のお人形なの。わかった?」
虚な瞳がうづぅを捉えた。これは構築が大変そうだと重いため息をついた。
毎日Atmと共にご飯を食べさせたり、歩かせたり、3ヶ月経った頃には私の指示で戦えるくらいまでにはなっていた。そう、わたしは戦わなくてはならない。この城に一人戦えない人形を置いて何日も遠い地球で戦うのは気が引ける。
魔法はもともと使えるらしく、それに戦闘に使える魔法を教え込む。機械的ではあるが十分に強く育った。
今日、私達3人は地球へ向かう。
さぁ、すみ良い私達の楽園を作りましょう。
人形劇の脚本にプリキュアとやらを加えたいの。
うづぅのつれた人形を見てプリキュアたちが絶望した顔を見せるのはまだ先の話。