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    何話か進めばクロヒルかつロレマリになる予定です。

    書いてる人間はこの2年間クロロレのR18本しか出していないのでTwitterアカウントは閲覧注意かもしれません。タイトルはそのうち決めます。

    #クロヒル
    blackHill
    #ロレマリ
    lloremali

    2.C-(side:H) クロードは他人の喉元に入り込むのが上手い。ヒルダ自身も楽をするために他人の喉元に入り込む自覚があるのですぐに分かった。それにしても十代の男子が女子の体調を気遣うなんて珍しい。ディミトリもメルセデス辺りに頼んでいるのだろうか。そんな訳で不本意ながらヒルダは女子学生の意見をまとめクロードに伝える係をやっている。レオニーは臆さないが盟主の嫡子と言うだけで萎縮してしまう学生もいるのだ。

     一度役割を任されてしまえば期待に応えないわけにいかない。だからこそヒルダは期待をかけられることを嫌い責任というものから逃げ回っていたのだがそうなってみるとどうしても気になる同級生がいた。マリアンヌだ。とにかく何も話さずすぐに一人で厩舎へ行ってしまうので噂話だけが流れている。ダフネル家の代わりに五大諸侯に加わったやり手のエドマンド辺境伯は注目度が高い。おそらくヒルダの兄ホルストの次くらいに学生たちから注目されている。マリアンヌは彼のお眼鏡に叶って養女になったとか目ぼしい若者が彼女しかいなかったから仕方なく彼女を養女にしたとかそんな噂だ。クロードの耳にも当然入っている。

    「ヒルダはどっちだと思う?」
    「もー!私に無責任なこと言わせないでよね!」

     クロードはふざけて話題を振ってきたが有名な家族がいる誇らしさと煩わしさはヒルダにも分かる。その件に関してはマリアンヌをそっとしておいてやりたいので普通に言い返した。そんな会話をした数日後、逃げた教師に代わってヒルダたちの担任を務めることになったベレトに誘われヒルダとクロードは彼と昼食を共にしていた。

    「マリアンヌは足が早い」

     唐突なベレトの一言に驚いたクロードは瞬きをしている。何の工夫をせずとも黒くて長いまつ毛が緑の瞳に影を落としていた。士官学校の生徒はとにかく走らされる。訓練服姿なら楽な方で鎧や武器を身につけた状態でも走ることになる。

    「それは意外だな」
    「だからきっと良い修道士になる」
    「前後の繋がりが分からないんですけど?!」
    「現場に出れば分かるようになる」

     デアドラ風キジの揚げ焼きを器用に切り分けながらベレトは言った。ベレトは口数が少なすぎて言っていることがよく分からないことが多い。いつもは説明を促されると一言二言は足すのだがこの日は同じ言葉を繰り返すのみだった。

     午後は座学なので皆、別の意味で辛い思いをすることになる。眠らないように必死だ。ヒルダも例外ではない。眠気を覚ますために何か面白いものはないかと教室を見回した。ラファエルは諦めて眠る方かと思いきや椅子に座る振りをして足の筋肉を鍛えている。マリアンヌはもう陥落寸前だったが前後に船を漕ぎ始めた瞬間に持っていた鉄筆を取り落としてその衝撃で目を覚ました。案の定鉄筆の行く先を見失っている。ヒルダが軽い音がした方を見ると通路を挟んだ隣に座っているローレンツがすぐに長い腕を伸ばして拾ってやっていた。授業中なせいか彼はいつものような無駄口を叩かない。余計なことを言わなければ彼はあんなに感じが良いのかとヒルダは驚いた。

     クロードと張り合っているローレンツはこうした時も居眠りなどしないが実は女子学生からとにかく評判が悪い。近々ヒルダは皆の意見を取りまとめ担任であるベレトを経由して苦情を申し立てねばならないだろう。ローレンツから食事に誘われたことがない領主の娘はこの士官学校に存在しない。当然、ヒルダも誘われたが断っている。薔薇の花のように美しいと言われたがずば抜けて背が高い彼と常に並んで歩けば小柄な自分は首を痛めてしまうだろう。級友の意外な姿を目撃しすっかり眠気の覚めたヒルダは余所見をしていた間に書き連ねられた黒板の中身を意味も分からず手元の書字板に書き写した。

     午後の座学が終わると学生は基本自由に過ごして良いことになっている。クロードはどこかへと雲隠れしてしまうがローレンツは基本的に訓練場で槍を振るっていることが多い。

    「ローレンツくん、ちょっと良いかな。さっきの授業でよく分からないところがあって……」

     だがヒルダは自分に余所見をさせた責任を取らせるべくローレンツに声をかけた。ヒルダが意味も分からず書き写した書字板を見てローレンツの菫青石のような瞳が左右に動いていく。そして彼は本当に意外なことを言った。

    「申し訳ない。ここは僕もよく聞いていなかったので後でハンネマン先生に質問しに行こうと思っていた」
    「じゃあ後で教えてくれる?」
    「ああ、任せてくれたまえ」

     ローレンツはクロードへの対抗意識が本当に強く彼が茶化すものは必ず尊重する。それは身分であったり規則をきちんと守ることであったり様々で授業を真面目に受けることはその中核をなしていた。きっと彼もヒルダと同じものを横目で見ていたからその間の講義がすっぽ抜けているのだろう。いや、ヒルダよりずっとよく見ていたのだ。そうでなければ彼女の鉄筆が転がっていった先などわかるはずもない。
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    MAIKINGロレマリに続きようやくクロヒルの方もちょっとそれっぽくなってきたかもしれません。

    書いてる人間はこの2年間クロロレのR18本しか出していないのでTwitterアカウントは閲覧注意かもしれません。タイトルはそのうち決めます。
    7.B(side:L) ローレンツが厩舎の管理をマリアンヌと共に担当していた時に上空警備を担当していたクロードとヒルダが戻ってきた。金鹿の学級で軽業師の真似事が流行ったことがある。ナイフ投げも軽業もレオニーが飛び抜けて上手いのだがクロードも負けていない。下馬の際に左足を鎧から抜き忘れた人の真似、というのがクロードの得意技だ。羽ばたきやペガサスの嗎に混ざってヒルダが楽しそうに笑っている声が聞こえる。

    「また同じことを繰り返して……ヒルダさんも飽きたと言ってやれば良いのに寛容なことだ」
    「最初拝見した時は心臓が止まりそうになりました……」

     それはそうだろう。普通の馬であったとしても肝が冷える光景だがクロードはなんとそれを上空でやっているのだ。何かひとつでも間違いがあれば死にかねない。好きな人に良いところを見せたいと言う気持ちは分からなくもないがレスター諸侯同盟の次期盟主として相応しくない振る舞いなのは言うまでもなかった。
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    MAIKING何話か進めばクロヒルかつロレマリになる予定です。

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    4.C(side:H) マリアンヌの鉄筆をすぐに拾ってやれたことからも分かる通りローレンツは気になることがあるとつい目で追ってしまう癖があるようだ。そして自分が見られていることには無頓着らしい。断りきれずに食事を共にした女子学生はさぞ居心地が悪かっただろう、とヒルダは思う。

    「マリアンヌちゃん、何か困っていることはない?」

     先日、マリアンヌに書庫整理の手伝いをしてもらった結果全て自分で作業をする羽目になったヒルダは本格的に彼女が心配になった。マリアンヌには何か根本的な欠落がある。

    「特にないつもりです……」

     養父であるエドマンド辺境伯はマリアンヌとの関係を良好たしたいと考えているのだろう。こまめに手紙や差し入れが届く。だがローレンツから託された手紙をヒルダが渡した時マリアンヌは戸惑っていた。きっと理由を聞いても教えてくれないのだろう。無駄なことはしないに限る。身内になれない他人が踏み込むべきではない領域があるのだ。そう思ってヒルダがマリアンヌに対して引いていた線を数日前、ローレンツはあっさり越えた。
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    DONEクロヒル&ロレマリの話、ロレマリ後日談の話です。この話はこれでおしまいです。エドマンド辺境伯がらみの捏造が我ながら本当にヒッデェなと思います。

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    19.sequel:L&M 紋章を持つ貴族同士の婚姻は動物の品種改良と似ている。好ましい形質が確実に顕になるよう交配していくからだ。逆に好ましくない形質を持つものは間引かれる。マリアンヌの実父は"おこり"を恐れていた。モーリスの紋章を持つ子供はそれはそれは美しく生まれてくるのだという。両親は美しい乳児を愛さずにはいられない。子供は自分の一族にかかった呪いを知らずに育つが子供の成長と時を同じくして呪いはゆっくりと親を侵蝕していく。

     "おこり"、いや"興り"が訪れると最初はぼんやりする時間が増える。言動に異常をきたしてしまえばもう死ぬまで止まらない。人格が崩れ獣性が剥き出しになっていく。人格が崩れ社会的に破綻し最後はヒトの形を保てなくなる。ヒトのまま尊厳を保ち周囲から愛されて生涯を終えたいなら早く死ぬしかない。モーリスの紋章を持つ一族は前線で武器を持たず治療に専念する修道士や消火隊など危険な仕事に従事するようになった。その結果かつて社会から根絶やしにされかけた一族は信頼を回復し地方で領主を務めるまでになった。それでもモーリスの紋章を持つ一族の生存戦略は変わらない。
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     一度役割を任されてしまえば期待に応えないわけにいかない。だからこそヒルダは期待をかけられることを嫌い責任というものから逃げ回っていたのだがそうなってみるとどうしても気になる同級生がいた。マリアンヌだ。とにかく何も話さずすぐに一人で厩舎へ行ってしまうので噂話だけが流れている。ダフネル家の代わりに五大諸侯に加わったやり手のエドマンド辺境伯は注目度が高い。おそらくヒルダの兄ホルストの次くらいに学生たちから注目されている。マリアンヌは彼のお眼鏡に叶って養女になったとか目ぼしい若者が彼女しかいなかったから仕方なく彼女を養女にしたとかそんな噂だ。クロードの耳にも当然入っている。
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    MAIKING「説明できない」
    赤クロと青ロレの話です。
    4.遭遇・下
     犠牲者を一人も出すことなく野営訓練を終えて修道院に戻ることが出来た。ローレンツのほぼ記憶通りではあるが異なる点がある。ベレトが金鹿の学級の担任になったのだ。正式に採用された彼は既に士官学校から学生の資料を貰っている。だがグロンダーズで行われる模擬戦を控えたベレトはここ数日、放課後になると学級の皆に話を聞くため修道院の敷地内を走り回っていた。

     ローレンツはあの時、模造剣を配ろうとしたのは何故なのかとベレトに問われたが予め野盗達に襲われているのを知っていたから、とは言えない。言えば狂人扱いされるだろう。

    「歩兵の足が早すぎたからだ。補給部隊が本体と分断されたら敵に襲われやすくなる」

     食糧がなければ兵たちは戦えない。敵軍を撤退させるため戦端を開く前に物資の集積所を襲って物資を奪ったり焼き払ってしまうのは定石のひとつだ。ローレンツの言葉聞いたベレトは首を縦に振った。

    「それで足止めして予備の武器を渡したのか。装備をどうするかは本当に難しいんだ。あの場合は結果として合っていたな。良い判断をした」
    「ありがとう先生。そう言ってもらえると霧が晴れたような気分になるよ」

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    MAIKING「説明できない」
    赤クロと青ロレの話です。
    9.典儀・上

     情報には出元と行き先がある。それを見極めずに判断を下すと間違いが起きる。前節、カトリーヌがロナート卿の所持品から見つけた大司教レアの暗殺計画に関する密書は様々な波紋を読んだ。真偽の程は定かではないが対応せねばならない。

     謁見の間に呼び出されたベレトから今節の課題を聞いたクロードは教会があの密書をどう判断したのか悟った。今回も彼の記憶と同じく何者かが教会を混乱させる為に作成した偽物であると判断したのだ。そうでなければ士官学校の学生に警備や見回りを担当させないだろう。だがクロードにとっては丁度良かった。賊の狙いが何処であるのか確かめる為という大義名分を得て修道院の敷地内を直接、自由に見て回れる。賊が聖廟の中で何かを探し、奪いに来たがそこでベレスが天帝の剣を手に取り賊を撃退したことをクロードは覚えているのだがだからといって日頃入れない聖廟を直接探る機会を逃したくはなかった。それにロナート卿の叛乱の時と同じくまたクロードたちが当事者になっている。詳しく調査しておいて損はないだろう。

     ガルグ=マクにはフォドラの外からやってきた住人がクロード以外にも存在する。自然と祖先を 2082