Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    111strokes111

    @111strokes111

    https://forms.gle/PNTT24wWkQi37D25A
    何かありましたら。

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 299

    111strokes111

    ☆quiet follow

    ロレマリに続きようやくクロヒルの方もちょっとそれっぽくなってきたかもしれません。

    書いてる人間はこの2年間クロロレのR18本しか出していないのでTwitterアカウントは閲覧注意かもしれません。タイトルはそのうち決めます。

    #クロヒル
    blackHill
    #ロレマリ
    lloremali

    7.B(side:L) ローレンツが厩舎の管理をマリアンヌと共に担当していた時に上空警備を担当していたクロードとヒルダが戻ってきた。金鹿の学級で軽業師の真似事が流行ったことがある。ナイフ投げも軽業もレオニーが飛び抜けて上手いのだがクロードも負けていない。下馬の際に左足を鎧から抜き忘れた人の真似、というのがクロードの得意技だ。羽ばたきやペガサスの嗎に混ざってヒルダが楽しそうに笑っている声が聞こえる。

    「また同じことを繰り返して……ヒルダさんも飽きたと言ってやれば良いのに寛容なことだ」
    「最初拝見した時は心臓が止まりそうになりました……」

     それはそうだろう。普通の馬であったとしても肝が冷える光景だがクロードはなんとそれを上空でやっているのだ。何かひとつでも間違いがあれば死にかねない。好きな人に良いところを見せたいと言う気持ちは分からなくもないがレスター諸侯同盟の次期盟主として相応しくない振る舞いなのは言うまでもなかった。

    「おい!クロード!愚かなことはやめてさっさと下馬したまえ!先生も待っているし僕とマリアンヌさんの仕事が終わらん!」

     ローレンツが口に両手を添えよく通る声で上空にいるクロードに向かって叫ぶと何故かヒルダが私が見たいって言ったの!と言い返してきた。ローレンツの声が耳に届いたのかクロードは鞍に触れている指先と足首の力だけで身体の向きを変え普通に鞍に跨った。

    「でもお二人ともとっても楽しそうです……」

     マリアンヌはそう言って眩しそうに降下してくる二人をみつめた。何となく腐してはみたもののローレンツにもそこだけは否定出来ない。大はしゃぎしながらも二人は正確にローレンツたちがペガサスのために用意した水桶の前に着地した。腕は良いのにとにかくふざける二人を見ているとローレンツの心は何故かかき乱されてしまう。

    「えへへ、女神の塔を上から見てきちゃった!どこも壊れてなかったよ!」
    「そうでしたか。すぐに汗を拭いてあげないと冷えてしまいますから急ぎましょう」

     騎乗していたペガサスの汗を拭きながらヒルダがマリアンヌに話しかけているが会話が微妙に噛み合っていない。

     そろそろ白鷺杯がありそれが終われば舞踏会だ。舞踏会が行われる日に女神の塔の中で男女が交わした約束は女神が必ず成就させてくれるという。若い男女の交わす約束と言えば内容はほぼ決まったようなものだ。

    「いやあ誰と誰が塔に行くのか見るのが楽しみだな!」

     素直になった方が良い時に限ってクロードは露悪的なことを言う。ヒルダが近くにいるのにどうしてそんなことを口にするのかさっぱり分からない。ローレンツは横目でちらりとペガサスの尻尾やたてがみを手分けして櫛ですいてしているヒルダとマリアンヌの様子を伺った。どうやらクロードの問題発言は彼女たちの耳に届いていないらしい。何故かローレンツはほっとした。

    「君はそんな物言いばかりするがそれで得をしたことはあったのかね?」
    「お前こそ間口狭めて得したことあるのかよ!」

     確かにクロードが言う通り散々な目にあっている。担任であるベレトから素行を改めるように直々に注意され平民の学生からはあらぬ誤解を受けた。ローレンツは基本、父の言うことに逆らわない。だが結婚相手を自力で探そうともしないのは嫌だと思って学生のうちに見つけられなければ素直に見合いで結婚すると言う条件付きで猶予が欲しいと父に願い出たのだ。

    「僕は本当に自領を共に治めてくれる妻を探しているだけで君のように秘密はない!」

     クロードが騎乗していたペガサスの手入れを手伝いながらローレンツは低い声で言い返した。声を張り上げたいところだがそうするとペガサスがおびえてしまう。そういえばリーガン公はクロードの将来についてどう考えているのだろうか。紋章を持っゴネリル家のご令嬢であればなんの不満もないはずだが気になった。

    「ふふ……綺麗になりましたから馬房に戻りましょうね」
    「マリアンヌちゃん羽根の手入れすっごい上手で感心しちゃった〜!」

     マリアンヌが優しくペガサスに語りかけている。贔屓目かもしれないがペガサスもどことなく嬉しそうだ。他者のために手を動かすマリアンヌからは日頃の卑屈さが失せて内面の美が表に現れている。早く本人がそこに気付くべきなのに彼女は無頓着だった。

    「マリアンヌさん申し訳ない!もう少し待ってくれたまえ」
    「悪いヒルダ!もう少し待っててくれ!」

     クロードと無駄口を叩いていたせいかローレンツたちはまだ羽根の手入れが終わっていなかった。ペガサスは空を飛ぶので普通の馬のように蹄に塵や汚れがたまることは殆どないのだがその代わり羽根に色々と塵が引っかかってしまう。それを羽根の流れに沿って優しく取り除いてやらねばならない。

    「お待ちしますので急ぐよりも丁寧に手入れしてあげてください」
    「男の子の方がよっぽどお喋りなんじゃな〜い?」

     担任への報告は二人揃って、という規則になっている。ローレンツもクロードも口を閉じ必死になってペガサスの羽根を繕ってやった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ☺☺☺💕👍💗☺💑💖💞💞💞🙏🙏🙏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    111strokes111

    MAIKING何話か進めばクロヒルかつロレマリになる予定です。

    書いてる人間はこの2年間クロロレのR18本しか出していないのでTwitterアカウントは閲覧注意かもしれません。タイトルはそのうち決めます。
    4.C(side:H) マリアンヌの鉄筆をすぐに拾ってやれたことからも分かる通りローレンツは気になることがあるとつい目で追ってしまう癖があるようだ。そして自分が見られていることには無頓着らしい。断りきれずに食事を共にした女子学生はさぞ居心地が悪かっただろう、とヒルダは思う。

    「マリアンヌちゃん、何か困っていることはない?」

     先日、マリアンヌに書庫整理の手伝いをしてもらった結果全て自分で作業をする羽目になったヒルダは本格的に彼女が心配になった。マリアンヌには何か根本的な欠落がある。

    「特にないつもりです……」

     養父であるエドマンド辺境伯はマリアンヌとの関係を良好たしたいと考えているのだろう。こまめに手紙や差し入れが届く。だがローレンツから託された手紙をヒルダが渡した時マリアンヌは戸惑っていた。きっと理由を聞いても教えてくれないのだろう。無駄なことはしないに限る。身内になれない他人が踏み込むべきではない領域があるのだ。そう思ってヒルダがマリアンヌに対して引いていた線を数日前、ローレンツはあっさり越えた。
    2090

    111strokes111

    DONEクロヒル&ロレマリの話、ロレマリ後日談の話です。この話はこれでおしまいです。エドマンド辺境伯がらみの捏造が我ながら本当にヒッデェなと思います。

    書いてる人間はこの2年間クロロレのR18本しか出していないのでTwitterアカウントは閲覧注意かもしれません。タイトルはそのうち決めます。
    19.sequel:L&M 紋章を持つ貴族同士の婚姻は動物の品種改良と似ている。好ましい形質が確実に顕になるよう交配していくからだ。逆に好ましくない形質を持つものは間引かれる。マリアンヌの実父は"おこり"を恐れていた。モーリスの紋章を持つ子供はそれはそれは美しく生まれてくるのだという。両親は美しい乳児を愛さずにはいられない。子供は自分の一族にかかった呪いを知らずに育つが子供の成長と時を同じくして呪いはゆっくりと親を侵蝕していく。

     "おこり"、いや"興り"が訪れると最初はぼんやりする時間が増える。言動に異常をきたしてしまえばもう死ぬまで止まらない。人格が崩れ獣性が剥き出しになっていく。人格が崩れ社会的に破綻し最後はヒトの形を保てなくなる。ヒトのまま尊厳を保ち周囲から愛されて生涯を終えたいなら早く死ぬしかない。モーリスの紋章を持つ一族は前線で武器を持たず治療に専念する修道士や消火隊など危険な仕事に従事するようになった。その結果かつて社会から根絶やしにされかけた一族は信頼を回復し地方で領主を務めるまでになった。それでもモーリスの紋章を持つ一族の生存戦略は変わらない。
    5844

    111strokes111

    MAIKINGロレマリに続きようやくクロヒルの方もちょっとそれっぽくなってきたかもしれません。

    書いてる人間はこの2年間クロロレのR18本しか出していないのでTwitterアカウントは閲覧注意かもしれません。タイトルはそのうち決めます。
    7.B(side:L) ローレンツが厩舎の管理をマリアンヌと共に担当していた時に上空警備を担当していたクロードとヒルダが戻ってきた。金鹿の学級で軽業師の真似事が流行ったことがある。ナイフ投げも軽業もレオニーが飛び抜けて上手いのだがクロードも負けていない。下馬の際に左足を鎧から抜き忘れた人の真似、というのがクロードの得意技だ。羽ばたきやペガサスの嗎に混ざってヒルダが楽しそうに笑っている声が聞こえる。

    「また同じことを繰り返して……ヒルダさんも飽きたと言ってやれば良いのに寛容なことだ」
    「最初拝見した時は心臓が止まりそうになりました……」

     それはそうだろう。普通の馬であったとしても肝が冷える光景だがクロードはなんとそれを上空でやっているのだ。何かひとつでも間違いがあれば死にかねない。好きな人に良いところを見せたいと言う気持ちは分からなくもないがレスター諸侯同盟の次期盟主として相応しくない振る舞いなのは言うまでもなかった。
    2092

    111strokes111

    MAIKING何話か進めばクロヒルかつロレマリになる予定です。

    書いてる人間はこの2年間クロロレのR18本しか出していないのでTwitterアカウントは閲覧注意かもしれません。タイトルはそのうち決めます。
    2.C-(side:H) クロードは他人の喉元に入り込むのが上手い。ヒルダ自身も楽をするために他人の喉元に入り込む自覚があるのですぐに分かった。それにしても十代の男子が女子の体調を気遣うなんて珍しい。ディミトリもメルセデス辺りに頼んでいるのだろうか。そんな訳で不本意ながらヒルダは女子学生の意見をまとめクロードに伝える係をやっている。レオニーは臆さないが盟主の嫡子と言うだけで萎縮してしまう学生もいるのだ。

     一度役割を任されてしまえば期待に応えないわけにいかない。だからこそヒルダは期待をかけられることを嫌い責任というものから逃げ回っていたのだがそうなってみるとどうしても気になる同級生がいた。マリアンヌだ。とにかく何も話さずすぐに一人で厩舎へ行ってしまうので噂話だけが流れている。ダフネル家の代わりに五大諸侯に加わったやり手のエドマンド辺境伯は注目度が高い。おそらくヒルダの兄ホルストの次くらいに学生たちから注目されている。マリアンヌは彼のお眼鏡に叶って養女になったとか目ぼしい若者が彼女しかいなかったから仕方なく彼女を養女にしたとかそんな噂だ。クロードの耳にも当然入っている。
    2052

    recommended works

    111strokes111

    MAIKING「説明できない」
    赤クロ青ロレの話です。
    13.誘拐・上

     フレンが行方不明になった。クロードとローレンツは誘拐犯がイエリッツァであること、彼が死神騎士でありエーデルガルトの手の者であることを既に知っている。ローレンツが知る過去ではディミトリたちがフレンを見つけクロードが知る過去ではベレスとカスパルがフレンを見つけている。

    「ではこの時点でベレト…失礼、言い慣れないもので。ベレス先生は現時点で既に教会に不信感を持ち敵対すると決めていた可能性もあるのか」

     ローレンツの知るベレトは教会と敵対せずディミトリに寄り添っていたらしい。記憶についての話を他の者に聞かれるわけにいかないので近頃のクロードはヒルダにからかわれる位ローレンツの部屋に入り浸っている。彼の部屋に行けばお茶と茶菓子が出るので夜ふかし前に行くと夜食がわりになってちょうど良かった。

    「そうでもなければあの状況で親の仇を守ろうとしないと思うんだよな」
    「だが今、僕たちの学校にいるのはベレト先生だ」

     ベレスは戴冠式に参加していたらしいのでそこで何かあった可能性もある。クロードはどうしてもかつての記憶に囚われてしまう。

    「大手を振って何かを調べる良い機会なのは確 2090

    111strokes111

    MAIKING「説明できない」
    赤クロ青ロレの話です。
    14.誘拐・下
     ローレンツとクロードの記憶通り事態は進行した。一つ付け加えるならばクロードがセテスにちょっかいを出したことだろうか。見当違いだと分かっていることを敢えてセテスに聞いたら先方が何故か安心した、とクロードから聞いてローレンツは眉を顰めた。やはりセイロス教会は何かを隠している。五年前から問題視していたクロードが正しかった。だがそれは大乱を起こす理由になり得るのだろうか。クロードは元から英雄の遺産と白きものについて探っていたがそれに加えてエーデルガルトが檄文で言及していた教会の暗部についても調べ始めた。

    「先に掴んで暴露してしまえば檄文自体無効になるかと思ったがそんな都合の良い案件は見当たらなかった。敢えて言うならダスカーがらみか?」
    「だがあれも機能不全に陥った王国の要請がなければ騎士団が担当することはなかっただろう」

     エーデルガルトが見つけたと称するセイロス教会がフォドラの全てを牛耳っている証拠とセイロス教会の秘密は同一なのだろうか、それとも違うのだろうか。探さねばならないものが増えてクロードは大変そうだ。大変そう、と言えばベレトも大変そうだ。彼は修道院内を丹念に探 2099