56の日のななご俺は都内のドラッグストアで働くアラサー。
独身だし、男だから閉店まで働いている。
ここ一ヶ月ほど閉店間際にとてつもないイケメンが来店する。それも、毎回、4個入りの極薄のコンドームとダッツを購入していく。
コンドームは毎回2箱。それを週に1回、多いときは3回ほど来店して毎回同じ買い物をしていく。どんな職業だろうか。客のプライバシーに興味はないが、ここまで目立つ人物だから気になってしまった。
そして、先日、人手が足りなくて在庫補充ができていなかったため、レジを気にしながらもテキパキと棚のチェックをしていたら、例のイケメンが避妊具の棚の前で腰をかがめてのぞき込んでいた。イケメンが俺に気づき、
「ねー。おにーさん。ここに置いてあったゴム、品切れ?ないんだけど」
「在庫を調べてきます」とバックヤードに走り、イケメン御用達のゴムを掴んで戻ってきた。
「あ、これこれ」
イケメンは二箱手に取り、アイスクリームコーナーに向かっていった。
俺はレジに戻りイケメンの会計を済ませた。
「紙袋にお入れします」
「そのまま持ってくから、ダッツだけ袋に入れてよ」
イケメンはゴムを黒い服のポケットに入れ、足取り軽く、店を出て行った。
俺はそのイケメンの残り香を胸深く吸い込んだ。
その一週間後、再びイケメンが来店した。
俺は、イケメンがそろそろやってくるだろうとゴムの箱を一箱のみにして、残りはバックヤードに戻しておいた。
案の定、近くの衛生用品を補充しているときにイケメンに話しかけられた。
「おにーさん、これ、もう一箱ある?」
その時のイケメンはゴムの箱の角を唇に当てながら、流し目で俺を見てきた。相変わらず、いい香りがする。今度同じ香水を探しにいこうか。
香りと流し目で勃った。このイケメン、最初はホストかと思ったけど、違うわ。ネコだ。
俺はバイだから、胸が高鳴った。このままいけば、近いうちにもうちょっと親しくなれんじゃね?
妄想と願望でちんこ痛くなってきた。
三日後、イケメンが来た。
キタコレ!イケメンも、俺のこと意識してんじゃね?こんな頻繁に来店なんて。
今日も1箱のみ棚に置いておいたゴムを手に取ったイケメンは俺を呼んだ。
きっとだらしない顔をしていたんだと思う。
イケメンに近づくと、イケメンの顔が引きつったような気がした。
「……これ……」
イケメンに皆まで言わさず、俺は
「お待ちください」とバックヤードに向かい、ゴムの箱の裏に俺の携帯の番号を書いた付箋を貼って、
イケメンから
「レジでお預かりします」ともう一箱を受け取ろうとした。その時、後ろから
「お待たせしました」
と滅多に聞くことができないほどのいい声がした。
振り返ると金髪のリーマン風のイケメンが立っていた。
金髪は俺をジロリと見やると、イケメンを連れてアイスコーナーに向かった。
半勃ちしていた俺の息子は縮みあがってすっかり萎れてしまっていた。
俺は、邪な考えを見透かされそうで顔を上げられず、ゴム二箱とダッツの会計をさせていただいた。
もちろん、付箋はこっそり剥がしておいた。
イケメンと金髪は連れだって店を出て行き、その夜を境に二度と来店しなかった。
「オマエさ、パンピー相手にあそこまで殺気を出さなくても……」
「あなたが毎回べったり汚い残穢をつけたコンドームを買ってくるから、念のためです」
「あそこが一番近いドラストだったから。オマケにオマエの好きなゴム売ってたし。サイズもオマエサイズの超ビッグサイズがあったしさ」
「もう、あそこは使わないでください」
「わかった。七海は僕のこと大好きだね-。コンドーム八個を二日で使い切るなんて絶倫-」
「ご不満ですか?」
「ううん。満足!」