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    dhastarflower

    @dhastarflower
    打破
    1031万圣街(万聖街)🐺🦇中心、
    🚕にて🦊🦨、🦨🦊など
    🔞やラクガキ他ジャンルごちゃごちゃ。
    Twitterに投下しているのを置いてみました。
    pixivにあげたりもしますが、ひとまず!

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    dhastarflower

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    腐ッチギレ!某ギャタ🟡🟤小説後半です!総じて…ゲロ甘ですwww私の中の🟡🟤馴れ初めここで完結です!!何卒〜!

    #腐ッチギレ!
    fudge!
    #🟡🟤

    🟡🟤後編※※※

    御用改めもといブッコミはそれほど大したものではなかった。長州の奴らがまた怪しい動きをしているのではないかと見廻り兼店側への忠告みたいなものだ。藤堂の旦那はそれぞれ分けた組が出来得るだけの仕事を割り振った、オイラ達の担当分はなんとまだお天道さんが高ぇ位置ですべて片付けてしまった。なんなら今までのブッコミで一番早い。理由はわかりきっている、カチコミもなけりゃ大した成果がなかったのもあるが本当ただクソ真面目に新選組の仕事しただけだ。なんでぇオイラ達ちゃんとすりゃなんて優秀じゃねぇかと思えば、今迄はなんだったんだと藤堂の旦那のげんこつをまた貰いそうだ。
    いつもボウと組めば、やれ腹減ったあれ食べたい、オイラもたばこ吸いてぇ酒飲みてぇと寄り道が多けりゃ道中の無駄話も多いのだが今日はそんなこと一切ねぇ。あの夜の気まずさからボウとは必要最低限の会話だけしかしていない。ボウもひたすら真面目に任務をこなし終われば黙ってオイラの後ろを少し離れてついてくる。オイラも道中話す内容が出てこねぇもんだから移動中とんでもなく居心地悪くてはやく次のブッコミ先にと早足になりゃ…こうなるわな。

    「……」
    ブッコミ終えた最後の店先で途方に暮れて空を仰ぐ。横に突っ立っているボウを見遣れば、普段は何がそんなに楽しいのかわかんねぇけど笑顔貼り付けているのに今日はずっと硬い。考え事してるかのような緊張しているかのような。いやそりゃオイラのせいだよなと思いつつもどうにもできやしなくて頭を掻いた。

    「………ちっ」
    やはりどう声かけていいかわからず舌打ちする。他の替え玉達がいたらどれだけ良かったか。ふたりきりはどうにもオイラもいつも通りがわからない。何か口にしたら墓穴掘るような…この沈黙が耐えられなくて足をとにかく前に出す。このままボウと別行動とれればそれはそれでいい。しかし馬鹿デカい気配はオイラの後ろついてくる。トボトボと音が聞こえるようだ。…なんでぇ健気についてくるかな…。
    そういや前にもこんなことがあった。桂小五郎を追って藤堂の旦那達とブッコミしたときだ。ソウゲンが非効率だと別行動とるのでじゃあオイラもと動けば何故かボウはオイラについてきた。ソウゲンとスズランの方に行けばいいものの。勝手はだめだと怒られる心配するなら主人を待つ忠犬サクヤと一緒に残りゃいい。じゃぁオメェだけ戻れよと冷たく言っても首横に振ってついてきた。…なんかばかでけぇ犬にオイラも懐かれたなぁと思ったもんだ。

    「…なんでオイラについてくんだよ」
    あの時にこう言っていれば…こんなに近くなることもなかったんだろうかと思ってつい口に出た。振り向かずに出た声は自分で思っていたよりかなり低い。いきなり声かけられてビクッとその場で足を止めたのが気配でわかる。ボウの返事を待っても応えがないのでそのまま続けた。

    「ブッコミは終えたろ」
    「……」
    「腹減ったなら飯食いにいけよ」
    「…マ…ギャタ兄は?」
    「…減ってねぇ、一人で行け」
    「ギャタ兄行かないならいい…」
    「なら屯所に帰れ」
    「…ギャタ兄、帰らない…?」
    「オイラは寄るとこあんだよ」
    「どこ、ギャタ兄…オデも…」
    「ギャタ兄ギャタ兄うるせぇな!オメェに関係ねぇだろ!」
    苛ついてつい振り向き怒鳴れば、オイラの形相にビビり反射的に涙が出たボウと目があっちまった。ふるふる震えながら小さくごめん…と消え入るような声で言われりゃ怒りは消え失せかわりに罪悪感が、うっ…とオイラを襲う。
    あんだよ、オイラが虐めてるみてぇじゃねぇか…いや誰から見てもそうだろうけどよ…。周りもなんだ?と見てくるので余計バツが悪い…ガシガシとまた頭を掻く。

    「……あーもう勝手にしな!」
    言い捨ててボウを今度こそ置いていくつもりでずんずん大股で歩く。ボウだってガキじゃねぇんだからかまいやしねぇんだ。一緒に行動する理由なんざねぇんだからっと。勝手にするってついてくるに決まってんだし…いやついてくるってわかって言ってんじゃねぇけどよ?置いていくったら置いていくんだっつー……ん?

    「……」
    ピタっと立ち止まる。でっけぇ気配がうしろからこない。やな予感がして振り返ればさっきと同じ場所で下向いて棒のように動かないボウの姿。バカでかい大木が道のど真ん中でいたら邪魔でしかねぇだろうが…町人商人達がなんだなんだと大きく避けるのをみて思う。
    あれは…あれだ。ガキが駄々こねて梃子でも動かなねぇぞの意地になってるやつだ。よく見るわ…祭りの出店の前とかで。
    いや、この場合オイラだってガキみてぇだ。苛ついて怒鳴り散らかして知らねぇって勝手にどっか行く…でも仕方ねぇなって後ろから親がついてくるのわかってるガキ…いるよなぁ…。
    …これ流石にオイラ大人気ねぇ…よな。
    …いや?いやいや!だからオイラ達はガキじゃねぇんだぞ!罪悪感感じるこたぁ……ボウ、鼻啜んてんな、ってあ、目ぇ擦んな!ああおいおいガチ泣きしてんじゃねぇかよ…意味わっかんねぇ!やっぱガキじゃねぇか!仕方ねぇなったくよぉ!
    踵返して来た道早歩きで戻る。甘ちゃんだと言われてもしゃぁねぇ。オイラこういうのめっぽう弱ぇんだって。

    「…ボウ」
    「……マ、…あ!ギャ…」
    俯いているボウの顔を覗き込んでさっきみてぇにビビらせねぇよう出来るだけ柔らかく声掛ける。オイラの声に気づいてボウは焦って手の甲で出てくる涙をぐしぐし拭く。
    …置いていかれたくれぇで泣くなよ。
    しかしオイラが謝ンのもくやしいというかなんというか…。泣かせちまった手前バツ悪くしていれば、ボウからの謝罪の言葉が先だった。

    「ごめん…オデ」
    「へ?あ、いや…謝るこたぁねぇよ…」
    ここでオイラが悪かったと正直に言えねぇのもズルいってもんだ。

    「言う事聞く…ごめん」
    「……」
    「…うるさくしない」
    「…ん?」
    「だから、ギャ、…えっと」
    「あん?」
    「……あのね」
    「おう」
    なかなか出てこないボウの言葉が出てくるのをゆっくり待てば、オイラの着物の裾を縋るように掴んでオデ!と叫ぶ。その必死なボウの様子に思わず、お、おうよ?とたじろいだ。

    「呼びたい…いけない?」
    「あ?」
    「もう、オデ…ギャタ兄呼ぶ、ダメ?」

    …おいおいおい?!そっちかよ!
    ギャタ兄ギャタ兄うるせぇと言われた方を落ち込んでたんか、しかもまた勘違いしていやがるし!と、脱力してしゃがみこんだ。
    ああほんとそんなことくらいでまったくよぉ…つい出た言葉じゃねぇか…。それはボウにとっては泣くほど大事なことだったらしいとわかれば感じてしまうのはいつものヤツ。
    オイラの中で生まれてきては殺してるヤツだ。


    「ギャ、あ…えっと?…ギャタロウ?」
    ギャタ兄と呼んでいいかわからず言葉を詰まらせ、一呼吸置いて呼び捨てするボウを見上げる。出会った当初はそう呼ばれていたはずなのになぁんか違ぇな…むず痒いというか…よくわかんねぇなとぞわぞわする感じに首を捻りつつ立ち上がる。

    「…ギャタ兄でいい」
    「…呼んでいい?」
    「弟分にゃたぁくさん呼ばれてっけどよ、新選組内ではオメェだけだから、全く呼ばれねぇのはちぃと寂しいわな、ギャタ兄的に?」
    「オデ…だけ?」
    あと誰が呼んでんだよと小突いて笑えば、ボウの表情も綻ぶ。いつものボウらしい顔がやっと見れ最近足りなかったやつだと理解すれば…照れくさくて首の裏側を掻く。
    まあ、いいか…。ここずっと必死こいてボウを避けてたが普段通りが出来ねぇと色々参っちまう。オイラが苛ついて苛ついて仕方ねぇ理由もソレだ。

    「…見廻りと情報収集のついでだ」
    「オマ?」
    「まだ陽も高ぇしあいつらンとこ行こうとしてんだけどよぉ。食べ盛りのガキ共っつったら手土産に飯だろ?最近新顔も増えちまったしオイラだけじゃ全員分は到底無理でなぁ、力自慢の荷物持ちがいねぇことにはよぉ?」
    ちらっと目配せすれば言いたいことがわかったらしい。

    「オデ!持つ!行く!」
    「ぎゃはっ!頼むわ」
    ぱあっと柔らけえ頬を横めいいっぱい広げるボウ。わかりすぎる反応についつい吹き出しちまう。
    道のど真ん中に立ち止まったままだったのが、大通りにある馴染みの飯屋とガキ共の長屋ある方向へと同時に歩き出し、さっきのぎこちなさはどこにやらボウもオイラも会話が続く。

    「お店、おまんまたくさんある?」
    「ブッコミ途中声掛けてたからいけんだろ」
    「ギャタ兄いつのまに〜」
    「たまに持って行かねぇとなぁ。ガキ共は今たらふく食わねぇとでっかくなれねぇだろ」
    「………マ。オデみたいにでかく!」
    「…どんだけ食えばオメェみたくなれんだよ、逆に」
    いつだかの屯所中の米食い尽くしオイラの悪知恵で米代稼いだ話とかそのあと藤堂の旦那にこってり絞られたこととか道中笑いながら話す。一気に空気が変わって、ああこれだ、いつものオイラ達だと久々の感覚を噛み締める。
    そう、これでいい。こういう関係が一番いいんだ。今まで近くに居すぎたせい、オイラが首突っ込みすぎたせいだったんだ。…まだ戻れる。この楽しい関係だけでいいじゃねぇか。うまい具合にあのときの夜の話にならねぇようにして、あの関係はもうしないようにすりゃぁ、なんとなくなぁなぁな感じで流せるだろ。
    だからボウ。もう、言ってくれんな、勘違いだったで綺麗さっぱり忘れてほしい。
    オイラもまた殺し続けられる。

    …しかしオイラは考えも甘ちゃんだったらしい。

    「ねぇ、ギャタ兄」
    「あん?」
    近道だと、表店と表店の間にある木戸を入り路地を行く。奥に何棟かの長屋が建てられている。
    賑やかなと声は後ろの方で遠のき、狭い路地すり抜けていくにどうしたって一列になるしかなく突き進むと、ボウが周りに誰もいなくなったのを見計らったかのように前歩くオイラに問い掛ける。
    何度しくじるんだろうとまた後悔した。

    「どうしてオデから逃げるマ?」

    油断しきっていた背中に獲物を突き当てられたみてぇに背中に緊張が走る。ボウは言葉が少ない、無駄がなく言いたいことだけ聞きたいことだけを言うから余計その言葉に重みがある。
    やばい。あの時の夜のように欲に溺れさせて流せられない。だからといってこの場からも逃げられない。適当に誤魔化せる言葉はねぇかと頭働かせるが焦りから出てこない。ボウはこの時を待っていたのかと疑うほどオイラにとっては詰みの場だ。

    「…なんつったボウ」
    その場立ち止まって振り向いた。
    こうなったら正面突破だ。向き合ってやろうじゃねぇかと腹括った。第一逃げてるって言われちゃぁムカつくよな、その通り過ぎて。オイラはまた図星つかれてヤケクソになるしかなかった。

    「逃げてるっつー言い方ぁ癪に障んなぁ?オイラが?オメェから?ぎゃはっ笑わせんなよ?いつからオメェ舐めた口言えるようになったんだ?あ?」
    オイラの気迫に圧されそうになったボウだったがぐっと堪えて向き直る。さっきは涙目になって謝ってきたけれど今度は間違ったことはいっていないというように強い目で返してきた。
    その真っ直ぐな瞳を逸したら負けだと思ってオイラも睨み返すが、濁りなんざどこにもない嘘なんかつけないボウのソレはオイラにはとても眩しく痛い。だが意地で睨み通す。

    「ほんとだもん!」
    「ああ?ナニから逃げてるって?」
    「ふ、ふたりならない。ギャタ兄…どっか行く。オデと、夜会わなくなった!」
    「なんでぇ溜まってんのに出せねぇって話か?オイラが相手してやんねぇからご無沙汰って?んなの知らねぇよ!テメェだけで扱けや!そんで穴にブチこみてぇなら他あたれ!」
    周りに人がいなくてマジ良かった。真っ昼間からとんでもねぇ話、頭に血がのぼっている今は誰かに聞かれたとしてもかまいやしない。

    「…ちが…」
    「テメェだってもう一人前の男なんだからよぉ、勝手に好みの女買ってヤればいいだろうがよ!オイラみてぇに島原でも行っとけ!女の買い方わかんねぇならまた教えてやっから。オイラがオメェの息子慰めてやんなきゃなんねぇ義理はねぇだろうがよ!」
    「…ちがう」
    「はぁ?男がいいってか?陰間はオイラよく知らねぇ…」
    「ちがう!」
    「なんだっつーんだよ!ぎゃたぎゃた言わねぇでオイラの言うこと聞いとけ……」
    「………」
    「…ボウ?」
    この場言い包めてなんとかやり過ごそうと口を忙しなく動かしていたが、急にボウの勢いがなくなり俯き黙る。…やべぇまた泣かせたかとさっきの手前気に掛かって近付いて覗き込んだ。

    「!?」
    見計らったようにボウがオイラの腕と腰をがっしり掴み軽々と抱き上げた。足が地面から離れ浮遊感に驚く。何すんだと文句言おうとしたがそれは叶わない。随分と目の前にボウの顔があるなぁと何をされているか頭が理解するまで遅かった。

    「んっうん?!」
    それはオイラがボウにしてやった黙らせ方。唇押し付けるだけのそれはまだ全然なっちゃいねぇが今のオイラを黙らせるには十分で頭真っ白になる。互いのひげとひげが当たってこそばゆい、角度を変えようにもぎゅうぎゅう抱きしめてくるものだから容易に動けず、口と口の隙間も開かねぇし鼻の角度も何らおかしいのでうまく息継ぎができない、苦しさに浮いてる足ばたつかせるが抗議の効果はなくボウにされるがまま唇を吸われる。

    「っはぁ、んっあ、はぁ…」
    「…っあ、ギャタ兄ぃ…」

    唇が離れ宙に浮いてた身体がゆっくり降ろされる。口答えできねぇようにと口吸いしたならばオイラからよくワザを盗みやがるなぁと感心した。教えたら教えただけ自分のモノにして成長していくタイプかぁ…教え込み甲斐があるってもんだと酸欠の頭のせいで別な方向に思考がまわる。
    腰にまわされたボウの腕に力が入った。緊張がその腕から伝わってオイラも伝染する。
    あの時の夜とは違い互いの顔が目の前にある。欲の熱に浮かされて頭ン中馬鹿になってるわけでもない。真っ直ぐで迷いのない目に貫かれて逸らせられない。顔が熱く感じるのは酸欠だけが原因じゃねぇだろう。あの時は青くなったが今はきっとオイラも目の前のボウ一緒でなんだろうな、ボウの瞳の中にいるオイラがそう言ってる。

    「好き」
    何度と聞きたくないと勘違いであれと願っていたのをまた聞かされる。
    聞く度に生まれてくるモノ、何度と殺しただろうか。疲れたからもう勘弁してほしい。

    「ギャタ兄が好き…」
    「……」
    「オデの好き、ギャタ兄ずっと逃げてる」
    「……っ」
    図星も図星だ。
    ボウ自身も避けていたが頭からだってそれを考えたくなくてずっと逃げていた。

    「…ああいうはずかしいこと好き同士でする。だから…同じ気持ちと思ってた。ちがう?…してくれたのなんで?」
    …ああったくよぉらオイラマジで汚れちまった大人だなぁと嫌気が差した。思わず空いてる手で額を叩いた。こんな染まっていない純粋な奴いるかよ。まっさらな雪の上思わず踏み荒らしたくなる悪戯心のようなそんなのでボウに手を出した過去のオイラを呪う。
    腰に置かれた手を軽く叩き、逃げねぇからたばこを吸わせてくれと頼んだ。小さく頷いたボウの腕から開放されその場にあった防火用水の縁に腰掛ける。腰に常にぶら下げてるたばこ入れから煙管取り出し吸い口を銜えただけでやっと息が出来た気がして落ち着く。これがねぇとほんとツラい。
    それはボウとオイラの関係もたばこのようであれと思った自分に返ってくる。
    そうだよ、もうオイラはないとだめだったんだ。だからずっと苛ついて仕方なかったと気付かされた。
    やっと吸い込んだ煙吐き出しながら、ガキに言い聞かせるように静かにあのよぉっと聞かれたことをやっと返す。

    「…いいか、別によぉ好いてる奴同士や夫婦でなくなってまぐあいは出来んだ。気持ちよけりゃいいってな、ボウはわかんねぇだろうけど割り切ってそうする奴もいる…オイラがそうだ」
    幻滅したか?と自虐気味に笑って見上げりゃボウは首を横に振る。自分がどれほどの人間かなんて分かり切ってんのに。これだけ汚ぇんだと純粋無垢なボウに見せつけてるようで罪悪感が湧いてしまって、口に銜えてる煙管が震える。

    「…第一オイラが酔っ払いのノリ、気まぐれ遊び半分でオメェに手ぇ出したのが悪かった。オメェは初めての感覚にごっちゃになって混乱してんだ。ボウがオイラのこと好いてるっていうのも勘違いだからよぉ、なかったことにするからボウも忘れろ」
    「…違う!ちゃんとオデの気持ち」
    「好かれてるのは勿論嬉しいがよぉ、オメェは情を履き違えてんだって」
    「どういうこと…?」
    「考えてもみろよ…なんでオイラなんだ。筆おろしされたのがスズランだったらオメェ、スズランの事が好きになってんだろ?どうせ」
    「…なんで、決めつけるの」
    ボウにしては珍しく静かに怒っているのが声色でわかった。オイラにしては珍しく自暴自棄な感情がでてきちまう。

    「……誰だってよ、アキラみてぇに白くてやわっこい別嬪さんな娘盛りがいいだろ」
    「…どうしてアキラ?さっきもスズラン…オデ好きなの…ギャタ兄!」
    「だから!わかんねぇやつだな…オイラは歳も歳だし、スズランや一番星、藤堂の旦那みてぇにあざとくもなけりゃ可愛げねぇし華奢でもちいこくもねぇ。懐も広くなけりゃ威厳もねぇ。サクヤやソウゲンみてぇに小綺麗でもなけりゃ色気もねぇ頭も良くねぇよ!好かれる理由なんざねえじゃねぇか」

    常に思っていたことだから矢継ぎ早に言い訳がオイラの口からでてくる。本当によぉ、見てくれでいうならよりにもよってなんでオイラなんだ。ただのガラの悪ぃ入墨の前科モン。ガタイの良い色黒オッサンだぞおい。男振りはいいだろうけどよぉ。
    たまたま覚えた欲の吐き出し方の相手がオイラだっただけで。別を覚えりゃそっちのほうがいいに決まってる。元々オイラのことを思ってくれていた情は、ガキ共や悪友も思ってくれるそういうのと一緒だったはず。だから、勘違いだ。
    そうオイラが言い聞かせるもボウはまた首を横に振り聞き分けない。

    「…皆、大事な仲間。でも、その中でギャタ兄一番好き」
    「だからよぉ…それは!」
    ボウはその場に膝ついてオイラと目線合わす。
    真正面からみる目がオイラの言い訳はもう聞かないと強く訴えてるように強くて黙ってしまう。

    「オデうまく話せない時。…ギャタ兄ずっと待ってくれる」
    「……?」
    「好き言う前もさっき泣いたときも。…ううん、いつも。オデ言うまでウンウン聞いてくれる」
    「……」
    「やさしいギャタ兄好き」

    にへっと締まりの無い顔で柔らかく笑ってそんなこと言うものだから、拍子抜けして煙管が落ちそうになり咥え直す。

    「口悪いけどほっておけない。子どもたちいつも気にしてるとてもとてもやさしい。みんなの親分。笑うのすごいかわいい。たばこ吸う仕草すごいかっこいい。銃剣持つ、怖いけど強くて目が離せない。オデのこと呼ぶ声。褒めてくれる時に頭撫でてくれる手。イタズラ思いついたときの悪い口。目の色も気づいたときうれしかった…そしてはずかしいことするときのギャタ兄はオデずっとドキドキして苦しい」
    …っとふっくらとした赤ん坊みてぇな指を折りながらべらべらと止まることなく続く、その理由。聞かされるたびにオイラはどんどん赤くなる。

    「っボウ、なん……」
    「好き、いっぱいあるマァ」
    もっと言っていい?とまた穏やかに笑うので気恥ずかしすぎてもう勘弁しろと手ェ振って顔隠した。
    その手をボウのデケェ手がゆっくり掴む。自暴自棄な思いでいたオイラの冷たいところがあっためられるようでされるままにする。

    「好きもはじめて…はずかしいことも、はじめて。でもいい。ギャタ兄だから。好きだから。他の人はダメマァ…」

    おいおい何気にすげぇのブッコまれたなぁ…初恋もオイラかよ。もうなんだか腹いっぱいな気分だ。ここまで誰かにめいいっぱい好意をぶつけられことがあっただろうか。仲間としてとか兄貴分として慕われている自覚はあったが、一人の人間として恋慕としてはない。

    「ギャタ兄がいい」

    真っ直ぐに迷いもなく突き進むオメェはほんとに槍のようだ。
    ボウは笑顔絶やさず穏やかで何気に賢い、いざとなれば誰よりも弱者を守るやつだ。誰かのために懸命に動こうとする、そんな奴だ。いくらだっていい嫁さんはもらえる。あれだけガキ共にも好かれるなら自分のガキだって持つべきだ。大事にすべきものを大事にするだろうよ。
    だからこそこれから先の…ボウ自身の未来をオイラで終わらせるのはどうしたってだめだろうっと。
    ボウの幸せをオイラが勝手に決めつけていただけだったのだろうか。

    「こたえて、ギャタ兄」
    じっと縋るように見つめてくるボウのちいこい瞳を見りゃ、さっき言ったボウの言葉がよぎった。目の色、そういやあれだな。
    オイラはボウの
    ボウはオイラの互いの色そっくりだ。
    互いに互いしか見えてねぇみてえで、恋は盲目ってよくいったもんだぁ。

    ずっとオイラもそうだった。

    「オデのこと好き?」

    何度思ったか知れやしねぇ。
    オイラの中で生まれてきてはそれは駄目だと、何度殺してきたと思っていやがる。必死にボウへの気持ちを誤魔化してきたオイラの努力も虚勢も全て意味なかった。ボウの為だと思ってやったこと全部、全ては独りよがりだった。
    ボウにとっちゃ…大事なのはオイラがボウを好きなのかどうかだけでそれ以外は何も考えちゃいない。
    これだけ思われて絆されねぇほうがおかしい。

    「……ボウ」
    呼んでぐいっとボウの衿を引っ張って自分の方へ顔を引き付ける。一瞬受け入れようと傾けたしたボウだったが引き剥がしやがったので、あんだよと唇尖らせる。

    「っもう!ギャタ兄、また逃げる…」
    口吸いで誤魔化してきたもんだから警戒するボウ。賢いじゃねぇかと喉で笑えば、ほらやっぱりと拗ねた声を出すのでちゃんと言ってやる。

    「もう逃げねぇよ」
    「…ほんと?なんで口吸う?」
    「してぇときにしちゃだめなんかよ」
    「…マ?」
    「いいからさせろや」

    我慢ならなくて口吸いしたいと唇押っつける、今度はボウも拒否せず素直に受け入れたのを返事ととって両腕伸ばしてボウの頭に回した。
    さっきの口吸いはこうするんだって教え込むように今度は顔の向き変えて下唇を喰む、開けろと促せばうっすら開けたところ舌を捩じ込んだ。中にあった厚い舌を自分のと絡めればさっきから逃げるなとオイラに言っておいて自分は口の中で舌の絡みから快感に怯えて逃げるので今度はこちらが逃さねぇぞと追いかける。歯茎をなぞり硬口蓋をも舐めあげて深くボウの口ン中を味わう。どれだけの時間遊んだか、満たされてやっと口離せば、とろんと気持ちよさそうに垂れるボウの目にも満足してぞくぞくとしたものが駆ける。たまらない。
    可愛いなぁボウは。ほんと可愛い。

    「口吸いもだっけか。ボウの初めてがすべてオイラなのにオイラはもうボウに初めてやるようなもんは歳くったせいでねぇんだわ…」
    ワリぃな…と頬を撫でりゃ、首振ってオイラの手の上から自分のを重ねてきた。

    「でもよ。オイラの最後はオメェにくれてやるよ」
    「…オマ?」
    「オイラが死ぬまで、もうボウだけだ」


    生まれ殺し続けていたオイラの気持ちをやっと吐き出せて息ができた

    …─瞬間だったんだが。

    「死んじゃヤダマァーーーー!」
    「はああ??」
    当人には届かず。何故か大泣きしだしてオイラ狼狽えることになった。
    いやいやいや??ここでオメェ両思いだヤッターってなるとこじゃねぇのかと、恋慕に焦がれた女でもねぇけど甘ぇ雰囲気になってもっかい口吸いでもすっかぁとばっかり思ったので拍子抜けも拍子抜けする。

    「ななななななななんでぇ泣くんだよ?」
    「だって、ギャタ兄死ぬっ…言った」
    「おいおいそりゃあ例えっつーか、ちゃんと聞いてたか?オメェだけつっただろぅがよ…そこだけとんなよな?!」
    「それオデのこと好きってこと?」
    「オイラにここまで言わせといてやらせてもっと言わねぇとわかんねぇのか?!賢い思ったけどやっぱオメェ馬鹿か!」
    「ねぇ?ね、どうなの?オデのこと好き?ギャタ兄ほんと?」
    またまた勘違いして泣いたと思えば、ケロッとして調子に乗るボウ。ころころ変わりやがって…本人自覚ねえがずっとオイラ振り回されっ放しだ。
    どうしてもオイラの口から直接聞きたいようでしつこく問い詰める。
    ボウにはわかんねぇだろうけどよぉ…歳食うとソレは素面で言いづれぇんだよ…とひきつく。

    「………」
    ここで正直に言ってやんのも悔しいなと煙管見詰めてあることを思い出した。
    さっきからオイラ負けっぱなしだからいい気味だと、意地悪く口の端斜めにあげてボウに笑ってみせる。
    きょとんとするボウの顔面に吸い口を口に含み肺に溜め込んだ煙を一気に吹き付けてやった。
    ボウは突然のことにゲホゲホと咳き込み涙目で何するの?とみてくるのでつい、ぎゃははっと声に出して笑ってしまう。

    「いい加減ガキ共のとこにいかねぇと暮六つに間に合わねぇなぁ行くぞ」
    煙管咥え、座っていた防火用水からぴょんっと飛んで路地をそそくさ一人先に進む。

    「けほっ…あーーー、やっぱり逃げる、ギャタ兄卑怯!」
    「あーそうだよオイラはズルくて卑怯モンだよ!今わかったのかよやっぱ馬鹿だなぁ!」

    煙管を挑発のように指で挟んで遊ばせる。
    煙管から出る煙を相手の顔に吹きかけることの意味なんざボウはわかってねぇだろうからざまぁみろとぎゃははと笑ってやる。

    今晩わからせてやっから覚悟しろな?
    どれだけオイラがオメェが好きかってよぉ。

    絶対オイラの後ろついてくるデッケぇ愛情。
    置いていける訳なくて両腕拡げて逃げずに待ってやれば、オイラが弱ぇ笑顔貼りつけてそのまま飛び込まれた。
    デカすぎて受け止めきれずに転げれば、やっぱデッケぇ犬に懐かれたわと思う。
    ご機嫌に尻尾を振るボウに飼い主最期まで責任とる覚悟して可愛いなとまた抱き締めた。


    終。




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