魔法のコインふかふかのパンケーキに染み込んだダークメープルは、すっかり冷え切ってしまっていた。
チャーリーは自分の分の朝食をすっかり胃に納め、冷戦状態の二人を見つめている。先に口火を切ったのはダニーだった。
「グレイス。とにかくこれは返してきなさい」
「なんで!? ココがおばあちゃんに貰ったのを、私にってくれたの!」
「だめだ。子供同士でこんなアンティーク」
ダニーの手に握られていたのは、鈍く輝く赤銅色のコインだった。少し歪で、書かれた文字は一部擦り切れているが、英語ではないように見える。
赤いベルベットの小袋が付いているそれは、1インチほどだが異様な存在感があった。
「こういう古いものは……特にコインなんかは思わぬ価値があったりするんだ。お友達に返しなさい」
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