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    ちはや

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    #0514K暁ワンライ お題「食べ物」。

    #K暁

    100g98円 一緒に暮らし始めてから、食事当番は暁人の役割だった。妹と二人で暮らしていた頃から自炊をしてきたこともあり、KKと二人で暮らし始めてからも「僕がやるよ」と進んでその役割を担ってくれた。KKも作ろうと思えば作れないこともないのだが、暁人の優しさに甘えている。
     だが大学の授業で遅くなったり、バイトが長引いたり。どうしても時間がないときはKKが台所に立つことも度々で。そして今日がその日だった。暁人から「遅くなりそう」というメッセージが届き、「ならオレが作る」と気まぐれで返したのが15時頃。帰宅は20時頃になるらしく、スウェットから適当なTシャツに着替え、こうして17時。買い物かご片手にKKはスーパーの入り口に立っていた。
    「さ、て。」
     一体何にしよう、と精肉売り場を眺める。と言ってもKKのレパートリーは少ない。適当に刻んで、炒めて、茹でて、煮るだけだ。凝ったものなどまるで作れない、典型的な男の料理だ。暁人はよく動画サイトなどを巡り、新しいレシピ探しをしているようだが、そんな考えは一切無く。スーパーで目についた材料で作ろうという、一期一会の出会いを求めていた。
     暁人はよくインターネットでスーパーのチラシを眺めながら「今日は肉が安い」だの「牛乳が安い」だの呟いていたことを思い出したが、いざ肉の山を前にしてもKKにはその違いが何もわからなかった。豚こまと切り落としの違いすらわからない。かろうじて分かるのは、国産が高くて、ブラジル産やらオーストラリア産が安いということくらい。しかしその知識が正しいかどうかも怪しいところだ。
    「……これでいいか。」
     とKKが手に取ったのは、300gの豚こまだ。100g98円。とりあえず量が多くて安かった。選んだ理由はそれだけだ。男二人でも多い量だろうが、食卓に大食らいが座るのならば、これくらいの量はぺろりだろう。
     メインの食材が決まれば後は早い。自分のレパートリーと照らし合わせながら、出来るレシピを脳内から引っ張り出す。鮮魚コーナーを通り過ぎ、野菜コーナーに足を運ぶ。キャベツとピーマンと人参と、暁人が好きだと言っていたしめじもカゴに突っ込んでおく。確かこの間暁人と一緒に買い物をした時、有名な中華調味料を買い足したはずだから、味もそれで十分。白米は朝、暁人が炊いていたので、今晩食べるくらいには十分な量が残っているはず。
     レジへ向かう途中の果物コーナーで、フルーツの盛り合わせがあったからそれもついでに突っ込んでおく。ここまで用意しておけば、さすがのお暁人くんも満足してくれるだろう。
     よしよし、と頷きながらKKはレジへ向かった。夕方の時間帯。人の多いレジの列に並びながら、好きな相手のことを考えながら料理をするのは楽しいものなのだな、とKKは考える。そしてこんな気持ちでいつも暁人は料理をしてくれていたのかとも考え、途端に胸が熱くなる。
    「……オレは幸せもんだなぁ。」
     幸せを噛みしめるKKの呟きは、スーパーのアナウンスに掻き消される。ふと壁にかけてある時計に目をやる。18時前。家へ帰るまでの時間と、普段料理をしない男の調理時間を考えると、スーパーにいられるデッドラインは近い。レジを通過し、貰ったレジ袋に買ったものを適当に突っ込んで車に乗り込むと、愛しい恋人の帰りを待つべく、KKは車のアクセルを静かに踏み出したのだった。

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    りんご

    DONEK暁デー 『いたずら』 そして表題に戻る系。
    そんなつもりなかった二人がその気になる話です。
    せめて飴くらいは手元に置いとけばよかった!「ご飯? お風呂? それとも僕?」
    「オマエ」

    というわけでこの話は終わった。
    「そんな訳ないでしょ! 何考えてんだよKK!!」
    「いや何なんだよオマエ」
    「こっちが何なんだよ だよ!」
    「なんなんなんだよだよだよ」
    「あああ呪文にするなよ…」
    状況を整理するにしても、普通の生活を詳細に描写する程度のことしかできない。今回の依頼はKK単独の小さなものだったので、資料をまとめることで一日を過ごした暁人は、せめて疲れて帰ってくる相棒のためにと彼の自宅にてご飯や風呂の準備をしていた。合鍵を使って堂々と入り、勝手知ったる様子で冷蔵庫を確認し、風呂の栓を抜いておく。暁人があれこれ始めたことで多少は解消されたが、KKのズボラさは相変わらずだ。買うものの算段を付けて、流しに残っていた食器を洗い、一度外へ出る。必要なものを買い足して再び家へ戻り、手早く下ごしらえを始める。疲れている時はとにかく手軽さ手早さを重視したほうがいいだろう。あの面倒くさがりは手の込んだものを食べるくらいなら、そのまま寝かねない。炊飯器のスイッチを押して、玉ねぎと牛肉を切って皿に移しておく。冷蔵庫へいったん入れて、掃除するべく浴室へ向かった。そこからは家主の帰宅まで散らかったものを拾っておく作業だった。
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    リキュール

    DONE #毎月25日はK暁デー
    7月お題【宿題】を書かせていただきました。またも大大大遅刻。
    可愛いこと言い出すあきとくんとそんな可愛いやつを甘やかしちゃうけけの話。
    美味しいもの食べるあきとくん。
    生姜の辛味は何にでも合う気がする。
    甘やかしには辛味を足して七月、それはある者にとっては書き入れ時、またある者にとってはただの平日、そして僕らの様な学生にとっては長い夏休みの始まりである。

    休みに何しようかと楽しそうに予定を立てる友人たちを横目に僕は頭を抱えていた。
    夏は夜に肝試しをする若者が増える季節ということもあってか、禁足地や事故物件が騒がしくなり毎夜KKと共にパトロールに精を出していたのだが、そんなこんなで忙しくしていたので、すっかり忘れていたのだ。
    前期の試験やレポートは問題ないが、引き続き後期でも受講する選択科目の講義には宿題が存在することを…!
    普通ならば夏休み中にやればいいんだから焦らなくても、なんて思うだろうがこれは資料集めが厄介で、どれも大学の図書館にしか無いようなものばかり。休みに入る前に資料の検討をつけてコピーしなくてはならないのである。ただでさえ難しい科目で前期レポートもギリギリだったのだ、生半可なレポートは出せまい。夏休み中も図書館に来ることはできるが休みには遠出の依頼があるため資料を求めて毎回行くわけにはいかず、できるだけ必要な資料は今のうちにまとめておきたい。それにあわよくばKKとの時間ももっと確保できれば…大丈夫僕ならやれる。
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