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    やはづ

    @ywzbg76

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    やはづ

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    グレイのことが好きで好きでたまらないビリーの話

    眩しい君も好き どんよりと褪せた色だと思った。人工照明の下で、暗い髪色と青白い肌がやけに対照的だとふと気に差したのは、初めて顔を合わせた頃のことだ。
     グレイ。声を掛けるとふんわりと波がかった髪が揺れる。影のような人だと感じていたのが馬鹿みたいに思えるほど、彼は眩しい。
    「どうしたの、ビリーくん」
     軽やかな声にくすぐったくなる。前を歩くグレイがくるりと振り返る。その崩れた目顔に、きゅっと心臓が縮んだような気がして、固くなった息をバレないように静かに吐き出した。
     水を含んでべたついたぬるい風も心地いいと思えるくらい、かっと照りつける太陽の下。グレイの頭の上でふわふわ揺れる絹糸がひとつひとつ反射して、きらきら、ちかちか、ビリーの目に映る眩しさが、どうしようもなく愛おしかった。
     どんより、なんて言葉が無かったみたいに、ネイビーブルーの細い髪が陽の光をたっぷり含んで、明るく輝いている。それが、ビリーにとって好ましい色のひとつだった。
    「綺麗だネ」
     レンズを隔てない鮮やかな視界。グレイを捉えている視線がどうしても離せなくて、首の後ろがむず痒くなって、それを隠したくて右手を項に回した。
     琥珀が揺れる。まっすぐ引かれたふたえを押し上げて、グレイは目を丸くした。それからしばらくして、視線を海岸の方へと向けた。そうだね。目を細めて、ゆったりと頷いた。
     あ、わかってないな。口説いたつもりはないけれど、意図が正しく伝わってはくれなかったみたい。そのまま流しても良かったけれど、なんだか悔しく思えてきて、早足になる。そうすると、立ち止まっていたグレイにすぐ追いついた。
     日焼けするのが嫌だからと言って、暑いのに長いままの彼の袖を軽く引っ張った。
    「屈んで、グレイ」
     ゆったりと、目交いは縮んだ。
     グレイの少し隠れた白い耳朶を掠めて、後頭に手を伸ばした。手袋をしているのが惜しいと思うなんて、本当に、どうかしてる。他人の頭を触ることなんて、ほんの少し前の自分ならありえなかったことだ。
     ふわふわの髪はくしゃりと簡単に形を歪める。ちかちか。またきらめく。
    「どうしたの、」
     その言葉尻が、細く掠れた。名前は、呼ばせなかった。
     左腕にぐっと力を入れて、痛くならないようにだけ気をつけて、グレイの頭を引き寄せた。鼻頭が熱い。熱に、触れている。くせっ毛に唇を被せた。
     ひゅ、と息を飲む高い音が、眼下で鳴ってやにさがる。心が満たされて、してやったと気が大きくなった拍子に、すっと息を吸い込んだ。
     お日様の匂いがする。それからちょっぴり、海と、汗のにおい。ああでも、好きだな。こんなことを思う自分が信じられない──そうやって、驚くことすら、とうになくなってしまった。くつくつと笑いが洩れる。
     不思議がったグレイに、大好きだって言いたくて、でもそれを伝える前に、もう一度だけ触れたくて。ビリーは紺青の柔らかい髪に、優しく口付けた。
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    かも🦆

    DONE「青空」(ビリグレ)

    お題【はじめて】【幸福】で参加させて頂きました〜!未来捏造含みます。
    🧁がはじめて🍭の目を見た日のお話。
    同室の彼はいつもゴーグルを着けている。
    普段は鮮やかな髪の色と同じオレンジ色、ヒーロースーツに着替えると黄緑色のゴーグルに変わっていたりする。
    さらに、寝る時にはアイマスクを着ける徹底ぶりで、僕はその瞳にコンプレックスがあるのかなと思っていた。
    だから、案外あっさり彼の瞳を見ることが出来たあの時はとても驚いたんだ。






    「あ……」
    「キャー!グレイのえっち♡」
    「はわ…ご、ごめんね?」

    浴室にスマホを忘れたことに気づいて、取りに行くとお風呂上がりのビリーくんがそこに居た。
    白い肌がまだ少し赤く火照っていて、目のやり場に困っちゃったのは内緒。
    それよりも、僕はビリーくんの瞳に目がいってしまった。
    そこでハッとする。
    あんなに徹底して隠していたビリーくんの瞳を悪気は無いけど見てしまった。
    僕はビリーくんとは対照的に真っ青になった。

    「あぅ……」
    「グレイ?どうしたノ〜?」
    「その……ほんとに、ごめん…ゴーグル着けてないとこ、見ちゃって…」

    そんな僕の様子にすぐ気づいたビリーくんはいつものように気にかけてくれて、少し冷静になれた僕は改めて謝ることが出来た。
    恐る恐るビリーくんを 1320