TonyaTRAINING十代魏無羨 2 TonyaDOODLE TonyaMAIKING初めての厚塗り。模索中。 TonyaTRAININGきれいに色塗れるようになりたいなぁ TonyaTRAININGお絵かきの練習を最近はじめたので、学んだ所まで使って落書き。 TonyaTRAININGお題「神のハゲ」ボクタイ ジャンゴ大変なことをしてしまった。 ジャンゴは頭を抱えていた。 窓の外はしとしと雨が降っている。おてんこは籠に入って眠り込んでいた。はみ出たひまわりに似た頭部は不自然につるりとしている。てっぺんの花びら型のパーツが一枚、欠けているためだ。 欠けたものはどこへいったかというと、ジャンゴの手の中にあった。 痛ましい相棒の姿にジャンゴは再び視線を下げた。 おてんこさまを毟ってしまった! 故意ではない。不慮の事故である。 なぜこんなことが起きたのか。 遡ること数十分前。 最近は雨続きで、今日も細い糸のような雫が街を包んでいた。雨は雨で恩恵がある。リタやマルチェロは結構好きだと言っていた。染み込んだ雨水は大地を潤し、草木の糧となり、やがて空へ帰っていく。自然の循環を感じるらしい。なるほどと思う。 しかし、ジャンゴは太陽少年である。銃のバッテリーチャージには日光が必要だ。他の武器でも戦えはするが、ソル・デ・バイスのない今、属性攻撃の際にはやはり銃が入用になる。お天気下駄は切らしているし、回復用アイテムでまわすにしても諸々の返済で懐はひと足早く冬を迎えている。太陽スタンドの中身は言わず 4226 TonyaMOURNING「破竹の夢」APH 菊耀おいでおいでと白い手が招いている。青々としたさざ波に垣間見える色染めの裾が手招きするたびゆらゆらする。天上から光が燦々と差し込み、緑の葉が擦れてさらさら鳴る。私は嬉しくなって招かれた方へ駆け出す。あの人が隠れていた場所まで着いて、周囲を見回したが誰もいない。はてと首を傾げていると先の方でまたさらさら竹が鳴る。ずっと先の方でまたあの手が揺れている。細い手首が陽に透けてぼんやり輝いている。私はまた駆け出す。さっきよりも随分走って、もうよかろうと立ち止まったらまた竹林の奥から手招きするのが見えた。周囲には足跡のひとつもなく細長い葉ばかりが繁っている。翠緑を透かした向こうであの人がからから笑っているような気がして、気恥ずかしいと同時に悔しくなった。今度こそと私は湿った土を蹴る。息が切れるまで行っても着いた所はやはり伽藍としている。奥の方では相変わらず白い手がゆらゆらしている。 何度も駆け出し、立ち止まっては失望するのを繰り返した。私の狭い歩幅ではあまりに遅々として追いつけない。自分の小さな体躯が嫌になった。まっすぐ延びた竹さえ羨みながら、諦めることはできずにまた走る。 そのうち日が傾き 1285 TonyaMOURNING「goodbye」を訳すと「貴方の帰りを待っています」になりました。shindanmaker.com/732889APH 蘭菊「……妙なことを言うけえの。」煙管から口を離し、揺蕩う煙の向こうに男の丸い頭がある。「ですから、貴方の帰りを待っています。」繰り返して、菊は顔を上げる。帳の落ちかけた室内に白い輪郭がぼんやりと浮かぶ中で、瞳だけが墨を落としたように黒い。いや、暗い。「ここはおめぇんちげ。」だからですよ、と菊は微かに口端を上げる。付き合いが長くなるにつれ、国のことだけでなくこの男個人についても色々わかるようなった。表情の起伏が少なくとも中身は決してそうでないこと。腹の内や本音を、ひどく婉曲したやり方でしか表に出さぬこと。細やかな所作の様々。出会った頃の自分ならばきっと見落としていた。まして、勢い盛んなあの男になど。「国を開いた以上、もう西洋の流れと無関係ではいられません。」遅かれ早かれだったかもしれませんがね。目を細め、しばし口を閉じてからこう聞いた。「私は変わるでしょう。それでも、またここへ帰ってくれますか。……わっ!」返事の代わりに煙を吹きかければ、菊は袖で覆った顔を背ける。抗議の声を聞き流しながらわしわしと黒髪を荒らす。人が真面目に尋ねているというのに…。ぽこぽこ怒る瞳 595 TonyaMOURNING「迷惑な隣人」APH フェリクス昔書いた微ホラー何年くらい前かな。仕事の都合で地方の支部へ半年間異動することになって、引っ越ししたときの話。そんとき入居したのは七階建てマンションの角部屋。すぐ真横にもう一つ大きなビルが並んでて、頑張って通路の突き当たりの柵を越えれば、映画みたく向こうに渡れそうなくらいだった。メトロが近くて交通の便もいいし、食料品店が歩きで行ける距離にあってなかなかいい立地条件だったし。部屋も広くて、暇ができたらトーリス呼ぼかなとか思ってた。とはいえ、引っ越してしばらくは引き継ぎだの何だのと忙しくて、夜遅くにやっと解放されたらすぐ帰宅してベッドに転がり込むような日々だったんだけど。問題が起こりはじめたのは、引っ越しからひと月くらい経って、異動のゴタゴタもひとまず落ち着いた頃。夜も更けてきて、そろそろ寝る準備しよかなと思ってたら、玄関からガチャッとドアノブを回す音がしたんよ。様子を見に玄関へ行くと、俺がドアスコープを覗くのと入れ違いに、外からバタンって扉の閉まる音がした。そんときは、ああ他の住人が部屋を間違えたんだなって程度にしか考えなかった。でも、それからほぼ毎晩、それは起こるようになった。夜中に 3712 TonyaMOURNINGお題「泣くくらいなら、笑ってやる」流ロク 双葉ツカサ、ヒカル公園を駆け回っていた幼児がこてんと前のめりに倒れ、ワッと泣き出した。母親らしい女性が慌てた様子で駆け寄っていく。 ありきたりな光景。甲高い泣き声に注意を向けていた周囲の人々も、事態を把握するとすぐ各々の行動に戻っていく。一人、ベンチに腰かけている少年を除いて。『……うるせぇな』「あ、ヒカル。起きたんだ」 頭の中だけで行われる特殊なコミュニケーション。あるいは自問自答。「大丈夫かな。派手に転んだみたいだけど」 顔面をぶつけたらしく、幼児の小さな鼻が赤くなっていた。『あんなの本気じゃねえよ』 気を引くためだ。何を、とはあえて言わない片割れの言葉にツカサは首肯する。たしかに母親に抱き起こされると、幼児はすぐ涙を引っ込めた。「きっとそれは……いいことだよ」 つまずき倒れたとき、手を差し伸べてくれる人がいるのはきっと幸せなこと。ほら、あの子供だってもう笑顔になっている。 じゃあ、もしそんな相手がいなかったら。『ケッ、くだらねえ』 疑問を浮かべるのと同時にヒカルが吐き捨てる。『他人の手を貸りなきゃ立てねえなんざ、雑魚の証みたいなものだろうが』「どうだろう。でも、うん… 728 TonyaMOURNING流ロク双葉ツカサカステラを一本もらった。人数が少なくて、と委員長に声をかけられて参加したボランティアの礼品。帰ってから包装を開けると甘い香りがふわりと漂う。ケトルの湯を沸かす間に皿とフォークを出し、カステラを包丁で切り分け、ティーバッグの紅茶を淹れる。いずれも用意はひとりぶん。同室者はいないし、養護施設内で一緒にお茶をするような間柄の者もいない。 やわらかい生地にフォークを刺し、食べやすい大きさに分けて口に運ぶ。甘い。蜂蜜の風味がするしっとりした舌触り。飲み込んでから紅茶を口に含めば、後味もすっきりと押し流される。もうひと口。『相変わらず甘ちゃんだな』 カップを傾ける頭の中で声がする。目視できずとも脳裏に浮かぶ呆れ顔。間違ってはいないだろう。他でもない自身のことだ。 「断ったら角が立つからね。時間もあったし」 皿は空になった。思いの外軽い口当たりで、もう一切れくらいなら食べられそうだ。「ヒカルも食べない?」『いらね』「甘いよ」『そうか』 包丁で先ほどよりも狭い幅を切って皿へ移す。『美味いのか、それ』「うん。食べる?」『珍しいと思っただけだ』 甘いものは嫌いではないが、特 1384 TonyaTRAININGお題「暗い祖母」ボクタイ祖母ではないけど、ばばあ呼びからザジと先代ひまわり娘。「ばばあ、どしたん?アンデッドみたいな顔色やで」いつになく沈んだ師の表情に不安を覚え、軽口を叩いた。お決まりの喰えない反応は返って来ず、師は「虫の知らせっちゅうことか」と呟いただけだった。訝しみながら垣間見た師の表情に、弟子は氷水を浴びたような心地になった。その顔が、見たことのないほど深い悲しみを湛えていたから。思い返せば、あのとき師は悟ったのだろう。遠からず戦友が倒れ、伝説と呼ばれたその男が築いた平穏もまた崩れ去ることを。黄昏が、再び時を刻む。星読みだけではない、天性の直感を持っていた人だったから、縁の深い相手の不幸を察知できたのだ。虫の知らせ。師の呟きが蘇る。正直、己の力量は先代に遠く及ばない。本来ならもどかしいその事実に、今ばかりは縋りつきたかった。赤く染まった月。帰らぬ兄弟。この予感がどうか外れてほしい。だが、星を読むまでもない。本当の凶事はこうして兆すのだ。目を逸らせも、逃れられもしない、厳然たる姿で。「頼むで、ホンマ……」悪い予想はな、よう当たるんや。腹立たしいくらいな。そんで、そうと気づく時には大抵手遅れや。でもな、ザジ。たとえ最悪なことが起きて 702 TonyaMOURNINGだいぶ古い文を発掘したので。鋼。シャンバラ後の兄弟。駅へ戻ると楽しそうなはしゃぎ声が聞こえてきた。弟の背中を見つけて近付くと、アルが小さな子供を肩車している。「アル、悪い。待たせて……」「あ、兄さん!」 振り返った姿を見て、エドは言葉を失った。アルの肩に乗った少女が、不思議そうにエドを見つめる。 見覚えがあった。茶色のおさげ。くりくりした大きな瞳。 救ってやれなかった子。「ニーナ……」 茫然とするエドに対し、アルは手慣れた様子でバランスを取る。その姿に巨体の鎧を空目した。「この子、迷子らしいんだ。さっき会ってさ、話してるうちに仲良くなった」 説明を加えるアルに、首を傾げて少女が尋ねた。「お兄ちゃん、この人だあれ?」「この人はね、エドワードっていうんだよ。僕の兄さんなんだ」「お兄ちゃんのお兄ちゃん?」「そう。仲良くしてあげてね、ニーナ」 ニーナは手元のアルとエドの顔を交互に見比べ、にっこり笑った。「よろしくね、エドワードお兄ちゃん!」 胸の中に色々な感情が湧き上がる。懐かしさ。後悔。それらをゆっくり呑み込んでから、エドも笑ってみせた。「こっちこそよろしくな、ニーナ」 そのとき、改札口から一人の男が 1414 TonyaMOURNING肉体関係ありの菊耀。中途半端に終わる。布団の袂に紺の着流しが昨晩脱いだなりに放ってある。それを羽織ってから雨戸を開けると、床の間に朝日が燦々と差し込んだ。土の匂いを含んだ風が首筋を吹き抜けて心地いい。庭木についた雨粒がきらきら光りながら滴る。 背後で布団の擦れる音がする。振り返ると、耀が起き出して鬱陶しそうに乱れた髪をかき上げていた。こちらの方を見て眩しそうに目を眇める。「おはようございます」「早安」 風呂に入りさっぱりしてから朝食をとった。もう若くはないので、昨晩いくら遅く寝たといっても定時に目が覚める。耀もそれは同じはずだが、菊を強引に食卓に座らせて手際よく朝食を作るあたり、とても云年歳と思われない。さらに習慣で朝は体を動かさないと気持ちが悪いと言って、よれた万博Tシャツに着替える。「昨夜あれほどでしたのに元気なものですね」と揶揄うと、照れもせず「誰かさんと違ってまだまだ若えあるからな」と返事を寄越して出ていく。可愛げを期待できる相手ではなかったようだ。 番茶をすすりながら不毛の二字が浮かぶ。何が不毛といって届かない片想いほど不毛なものはない。恋に身を焦がして死ぬに至れば美談にもなろうが、生憎自分の身が滅びる 2252 TonyaTRAININGお題「白い秋」ボクタイ鬱蒼とした森を抜け、薄野に出た。色づいた山と薄が夕日に輝き、一面が燃えているようだった。なんだか恐ろしい気がしてジャンゴはその場を離れた。野営地に戻り、火を起こし簡単な食事を終えてひと眠りする。夜半に目が覚めた。焚火はとうに消え、冷たくなった枯れ枝や灰が残っている。薄闇が辺りを覆い、取り囲む木々が見下ろしてくる。嫌な夢を見ていた。内容は思い出せない。首を振って起き上がり、水を一口飲んで歩き出した。周囲の墨色が質量をもってのしかかってくる錯覚を覚えた。曖昧な夢の続きに立っている気がして落ち着かない。とにかくひらけた場所へ行きたかった。月明かりをたよりに愛用の銃だけ持って歩き続け、野原に辿り着いた。そこが夕方と同じ場所だと、とっさにはわからなかった。視界を焼く斜光は鳴りを潜め、かわりに巨大な月が覗いていた。温度のないやわらかな光に一切の色を奪われ、周辺は白く変貌していた。薄の陰影が幾重にも重なり、それが実際以上の途方もない奥行きを感じさせる。呆けたように見つめていると、背後の茂みががさがさと音を立てた。夢の続きだ。息を呑んだとき、慌ただしい動作で茂みから野鳥が飛び立った。 563 TonyaTRAININGお題「蓋然性の反逆」ボクタイ物心ついた時、世界は闇に覆われていた。闇の一族の名の示す通り、本来ならば人は立ち入れぬ場所だった。自分とて例外ではない。ただ生まれ持った月光仔の血によって生かされただけ。暗黒物質を埋め込まれ、尖兵となり。不要と切り捨てられた「人」として部分は、暗い底で凍えた息をしていた。窒息しなかったのは。否、できなかったのは彼女がいたからだった。否定され、抑圧され、それでも生きることを諦められない。愚かな人の性を彼女は肯定した。狂気に呑まれた自分がもたらす滅びさえ受け入れ、最後は破壊の獣と共に永遠の眠りについた。もはや我々は同じ時を歩む存在ですらなく、だが、それは歪んだ永遠が蔓延した世紀末でなければ本来の姿でもあったのかもしれない。すべてがあるべきようにあれとは思わない。事実アンデッドの介入も、種のはらむ危険性を危惧してのことだった。この星を内包する銀河系にとっての正しさは種の破滅だ。だが、種は芽吹いてしまった。愚かで未熟で、絶えず進化を続ける人間に。自我がはじまる前にもがいていた己の心のように、世界が闇に覆われてもなお人間は生きることを渇望する。正しさ以前の本能であり、種として正しい姿 548 1