梅がゆ「ねぇ、まだだめ?」
アルバーンは風呂に顔を突っ込んで、中には給湯器と長い時間戦ってたサニーがいた。
「うん、シャワーから冷たい水しか出ない…」
サニーはしぶしぶ再び蛇口を閉めた。
「なんなら今日はシャワーをしないー」
「なんだって!?」この悪い知らせを聞いて、アルバーンは顔をゆがめた。
「嫌だ絶対嫌だ!肌が汚い状態でくまちゃんを抱くなんで、絶対嫌だ!」
「つーめたい!」
冷たい水が肌に触れた瞬間、思わず縮んでしまった。
アルバーンさんは頭のてっぺんから水をかけて、水滴が彼の首の上を滑り。最後は何年前にナイフや銃撃で傷跡が残った腹部に水を流した。
よくわらなんが知らず知らずに慣れた感じ。
あ、そうだ。そうだね。
引き取った前に、この時代に来る前に、川辺で水風呂に入るのはかつては普通のことだった。
しばらくの間幸せな環境で暮らしてるのに、まさかすべてを忘れた。
体に残った傷跡はかさぶたになっても、トゲのように心に刻まれた。
暖かい日々には思い出せなかった暗い記憶が、刺すような冷たい氷水に押し流され、アルバーンを引きずり下ろし続けた。
「アルバーン?いつまで浴びたい——」
サニーがドアを開けると、目の前にいたのは壁にしがみついて呆然とするアルバンの姿だった。
服が濡れることも気にせず、サニーは浴槽に駆け込み、低体温症になりかけた恋人を抱きしめた。
「アルバーン・ノックス!」
サニーは気の抜けた表情を浮かべたアルバンを抱き締め、細い体を腕で締めて腕の中に閉じ込めた。
焦点の合っていなかった瞳孔がゆっくりと方向を取り戻すと、アルバーンはかすれた声を上げた。
「……サニー?」
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サニーに風呂から連れ出されたアルバーンは、体を拭かれ、従順に日光を浴びた毛布に包まれていた。
「口、開けて」
普段は乱暴な態度をとるVSFの隊長だが、今の口調は全く荒くなく、思いやりに溢れている。
アルバーンは素直にサニーに食べさせると、刻んだ梅干しの味が舌に広がった。
「すっっっぱい!」
梅の酸っぱい匂いで、アルバーンの顔はまるで小さな梅のようにしわが寄った。
「梅がゆ。さき君がコールドシャワーを浴びたから、風邪を引かないように。」
サニーは煮たばかりの料理を鍋ごとテーブルに運び、もう一杯のお粥をアルバーンにすくってから、手に渡した。
「もうちょっと食べな。体が温まるから」
「あ…どうも」
柔らかなお粥と丁寧に刻んだ梅干しを弱火で煮込んだ純朴でシンプルな味わいに、アルバーンは頬張りながらゆっくりと肩の力を抜き。
ボウルが空になったのを見て、サニーは笑顔で聞く。
「おかわり?」
アルバーンは口舐めずって、恥ずかしそうにうなずいた。
「えぇ、お願い!」
再び温かい梅がゆを手に取りアルバーンは、息を吹きかけて冷ましてから口に含んだ…
「うーん…酸っぱい~~~!」