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    しらい

    治角名しか勝たん。

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    しらい

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    角名は老舗呉服問屋の一人息子で、治は廻船問屋の息子。
    まだ、っていうかこの二人はまだ両片想いにすらなってない。

    #治角名
    nameOfTheCorner

    治角名和装パロ 和装パロの治角名は時代的には江戸くらいなんで、男色にもそこそこ理解があったと思うんですよね。だから女物みたいな派手な着流し着てる角名のことを歌舞伎役者みたいな塩顔も相俟って伊達男みたいに見て女は見惚れるし、男は男娼みたいな色気垂れ流してるのを見てあてられる。治は顔がいいのはもちろんのこと身体もいいんで女が騒ぐのは当然だけど、男らしい身体つきなのにちょっとぽやっとしてるからそのギャップであてられる男もいる。

     角名は普段は店の宣伝も兼ねて派手な着流し着てて、食事のために町に来てた治も「えらい歌舞伎もんやな」くらいにしか思ってなかったんだけど、何度目かの仕事終わりの食事の後に甘味が食べたくなって団子屋に入ったら満席で、たまたま相席したのが角名。雰囲気で気取ってるやつかと思ったら、団子屋に来てるのにうどんを頼んでるのを見て「は?うどん?」と零してしまう。「なに知らないの?ここ、うどんも美味しいんだよ」って言って一口くれて食べたら美味しかったから追加でうどんも頼む治。なんやこいつ、ええやつやんって認識を改めて、そこから少しずつ話すようになる。
     聞けばお互い商売をしてるというので話も合って、治は角名から反物、角名は治から小物などの嗜好品を物々交換なノリで交流する。それから大坂へ仕事に行く時は機嫌がいいのを周りに指摘される治。ただ角名のことは言わず、「美味いもん食えるからな」とだけ言って濁す。

     そんな折の夏祭り。ちょうど滞在する予定があったから一緒に行かないかと角名を誘ってみたらオッケー貰えたから祭りに行くことに。浴衣は角名が用意してくれるというから店に寄って、濃い藍染生地に縞模様の浴衣を渡される。着替え終わると、別室から同じ濃い藍染生地に大柄の花菖蒲の浴衣を着た角名が出てきて思わず見惚れてしまう。

    「…今日は、派手やないんか」
    「周りが賑やかだからね。落ち着いてた方がいいかなって」

     浴衣にはありがちな柄なのに、いつもとは違う色気を感じてしまってドキドキする治。そして店を出て祭りへ向かい、酒ばかり飲む角名に屋台で買った食べ物を一口ずつあげていく。そろそろ花火の時間になって、角名に連れられて近くの山の寂れた神社に向かう。
     花火が見える穴場で、石段に腰かけて打ち上がる花火を見る二人。ふと横を見たら花火の光に照らされた角名がいて、それがすごく綺麗だったからそのまま見つめる治。酒を飲みながら見ていた角名がふと気づいて横を見れば治と目が合って、なんでかわからないけどあまりの熱視線に声が出ないでいると、そのまま近づいてきた治にキスされる。

    「…なに、治。酒も飲んでないのに酔ってんの?」
    「別に酔っとらんし」

     そう言ってまたキスされて、男色に偏見はないし初めてだけど、なんで嫌じゃないんだろうって瞼を閉じながらぼんやり考える角名。

    「…治、そっちもイケんの?」
    「……わからん」
    「はあ?」
    「…やって、今まで男相手にこんなん思ったことないし」

     角名は?とそう暗に訊かれていて、催促するように頬に大きな掌が添えられる。

    「…俺も、男は初めてだけど」
    「嫌やった?」
    「……よくわかんないけど、嫌じゃなかったよ」

     相手が治だからかな。そう言って微笑うのが可愛くて、まだ自分の感情にはっきりとした名前はつけられないけど、こいつがいいなってお互いに想ってる治角名。

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    しらい

    MOURNING軍パロ「Chain」の最後、ボツになった微エロ?を置いときます。
    設定としては治角名二人とも軍人で、角名はトラウマで首を触られるのがダメ。治としては角名を泣かせたいと思ってる。
    その先の未来−another− それでも許してくれたのは、俺に気を許してくれているから。そう思うと気分がいい。

    「なんかされたら嫌なことあるか?」
    「……首、触られるこ」
    「それは却下や」
    「チッ」

     聞く気ねぇじゃんと角名が零し、それ以外でと俺が指定する。不機嫌になりながらも暫し考え、思いついたのか角名はゆっくりと口を開く。

    「……じゃあ、手」
    「手?」
    「治の手、掴んでていい?」

     伏し目がちにそう言われ、思わぬ要求に可愛いと思ってしまった。「ええよ、そんくらい」と承諾すると、掌ではなくがっちりと手首を掴まれる。

    「……なあ角名。手ぇ、握るんやないん?」
    「んなこと言ってねぇだろ。……まだ、殺されない保険かけとかないと、怖い、から」

     ごめんと小さく零す角名の額に触れるだけのキスを送れば、パッと目線を上げるので綺麗な瞳がよく見える。不安そうな顔は俺がさせているのに、そんな表情もええなと思っている俺はやっぱり人でなしかもしれない。俺に嫌われるのが怖いと思ってくれているのだろう、なんて初心で可愛いのか。きっと今俺は、とても締まりのない顔をしているのだろう。好きなやつに特別に想ってもらえるのが、こんなに嬉しいなんて知らなかった。
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