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    しらい

    治角名しか勝たん。

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    しらい

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    軍パロ「Chain」の最後、ボツになった微エロ?を置いときます。
    設定としては治角名二人とも軍人で、角名はトラウマで首を触られるのがダメ。治としては角名を泣かせたいと思ってる。

    #治角名
    nameOfTheCorner

    その先の未来−another− それでも許してくれたのは、俺に気を許してくれているから。そう思うと気分がいい。

    「なんかされたら嫌なことあるか?」
    「……首、触られるこ」
    「それは却下や」
    「チッ」

     聞く気ねぇじゃんと角名が零し、それ以外でと俺が指定する。不機嫌になりながらも暫し考え、思いついたのか角名はゆっくりと口を開く。

    「……じゃあ、手」
    「手?」
    「治の手、掴んでていい?」

     伏し目がちにそう言われ、思わぬ要求に可愛いと思ってしまった。「ええよ、そんくらい」と承諾すると、掌ではなくがっちりと手首を掴まれる。

    「……なあ角名。手ぇ、握るんやないん?」
    「んなこと言ってねぇだろ。……まだ、殺されない保険かけとかないと、怖い、から」

     ごめんと小さく零す角名の額に触れるだけのキスを送れば、パッと目線を上げるので綺麗な瞳がよく見える。不安そうな顔は俺がさせているのに、そんな表情もええなと思っている俺はやっぱり人でなしかもしれない。俺に嫌われるのが怖いと思ってくれているのだろう、なんて初心で可愛いのか。きっと今俺は、とても締まりのない顔をしているのだろう。好きなやつに特別に想ってもらえるのが、こんなに嬉しいなんて知らなかった。

    「心配せんでも、怖いことも痛いこともせんからな」
    「おさむ……んぅ」

     誓いのキスのようにそっと口づけ、安心させるように体温を分けていく。緊張して唇をきつく閉じなくなったくらいには、キスに慣れてくれたようで喜ばしい。それだけ絆されてくれているということで、俺の歪んだ独占欲をこれでもかと満たしてくれる。
     触れては離れてまた触れるバードキスを繰り返しながら、もう一つ踏み込んでもいいかと開いた口にぬるりと舌を挿し込む。びくりと角名の身体が震えたが、構わず深く口づけながら咥内を蹂躙する。歯列をなぞり、逃げて縮こまる舌を捕まえて絡めていく。巻きつくように、時に上顎や舌の裏を舐めあげればぎゅうっと角名の眉に力が入る。

     キスをしている時の角名の表情を見るのが好きだ。形のいい柳眉を顰め、閉じている目許にうっすらと浮かぶ涙も、次第に快感を拾って恍惚の表情に蕩けていくのも。全部、俺だけが見ることのできる表情だから。顔や耳を真っ赤に染めて、息継ぎのたびに漏れる吐息も声も色っぽくて仕方ない。嫌悪感などなく、気持ちいいのだと身体で表してくれている。だからもっとその先が欲しくなった。

    「んっ……ふ、ぁ、んぅ……ぉ、さむっ」
    「気持ちええなあ、角名……ちゃんと反応しとるやん」
    「ァ、や……んんッ!」

     緩くだが確実に熱く硬くなってきた下半身に気づき、同じように熱を持った自分のそれを擦りつけながらキスを続ける。刺激に震える舌を堪能しながら口の端から垂れる涎をねっとりと舐めとり、真っ赤に染まる耳朶が美味しそうで甘噛みすれば小さく漏れる声が愛おしい。耳の輪郭を舌で辿り、はぁ、と熱い息を吹き掛ければ面白いように身体が震える。

    (……ああ、たまらんなあ)

     俺だけが見れる角名、俺にだけ許してくれる領域。恥ずかしくも受け入れてくれる健気さがたまらなく俺の欲を満たすと同時に、もっと欲しいと自分の中の獣が呻き出す。俺の手首を掴んでいるために手が使えない角名は、刺激から逃げるために顔を背けるしか手がない。しかしそれは首を晒すことと同義で、本来の目的であるそれが目の前に差し出されて食らいつかないわけがなかった。

    「ひッ! ぁ、あ……ッ」

     ギリッと、一際強く手首が締められる。それに眉を顰めながらも、構わず首に舌を這わす。下から舐め上げ、吸いつき、唇で食む。単純なそれを繰り返していると、次第に角名の強張りが緩んでいくのがわかった。それは殺されるかもしれない恐怖より、気持ちいい快感の方が大きくなってきた証で。ただでさえ敏感な場所だから陥落すれば早いと思ったが、その通りだったと思わず舌舐めずりしてしまう。一通り堪能して角名の顔を見ればキスをした時のように顔は蕩け、瞳も涙で潤んでゆらゆらと揺れている。

    「ぉ、さむ……?」

     止んだ刺激にどうしたのかと視線が投げかけられるので、それに満足して再び唇を塞ぐ。角度を変えて何度も何度も触れ合い、唇が腫れるんじゃないかというくらい重ね合う。飽きないそれに、これも一種の食事なのかと思った。
     飯が好きな俺は、食べることが好きだし飽きることはない。たとえそれがありきたりなメニューでも、前日と同じものだったとしても、残り物だったとしても、食べられることが幸せだった。ならばきっと、角名に対してもそうなのだろう。触れることを受け入れられたら、その先が欲しくなる。もっと味わいたいと、隅々まで食らい尽くしたいと思ってしまう。とんだメニューもあったものだ。ただいるだけでご馳走でありフルコースなんて、そんなの食べないわけにいかないだろう。

    「角名、怖かったか?」
    「……少し、だけ。でも、そんなに嫌じゃなかった、よ」
    「フッフ、そうか。そらよかったわ」

     はじめは怖かったはずだ。幼い頃から植えつけられた恐怖は簡単なことでは消し去ることなんてできやしない。それでも角名は、嫌じゃなかったと言ってくれた。後半はちゃんと気持ちよくなってくれていたし、それを自分でもわかったからそう言ってくれたのだろう。

    「……治、ごめん。痛かったよね」
    「ん? ……ああ、別に大したことないで」

     角名が目線を落とした先には俺の手首。首に触れた際に反射的に力がこもったために、指の痕がうっすらと残っている。骨が折れているわけでもないし、この程度で済んだのだから別に構わない。新たなトラウマにならなければそれでよかったのだが角名は納得していないようで、眉を下げて申し訳なさそうに眺めたあと、掴んだままの親指をするりと手袋の下に滑らせてじりじりと捲り上げていく。赤く痕の残るそこにそっと口付けたかと思いきや、痕をなぞるようにひたりと熱い舌を這わせてくる。舐めて口付けてを繰り返しながらそれは上へと移動し、半分ほどが露出している掌にもキスが灯っていく。
     敏感というほどではないが、あまり唇が触れない部位なので気持ちいいというよりも少し擽ったい。碌にケアもしていない掌はカサついて皮も厚く、触っていて気持ちいいものではないだろうに、角名はまるで子猫のように舐めて優しいキスをする。その刺激に、というよりもそれをしている角名に対して興奮が止まらない。お詫びのつもりなのか煽っているのか。完全に前者だろうが、ここで離してやれるほどお人好しでもないので。

    「なあ、角名」
    「ん、……なに?」
    「抱きたい」

     耳許に顔を近づけてそう熱っぽく囁けば、びくりと震える身体が愛おしい。至近距離で見えた瞳にはまだ若干の不安の色が過ぎっていて、安心させるように薄い唇に触れてやる。

    「怖いなら別に、無理せんでもええけど」
    「ちがっ、そうじゃなくて……! いや、それもあるんだけど、その……ッ」
    「なん?」
    「……おれ、経験ない、から」

     視線を外してそう呟く角名に、可愛いという気持ちしか生まれなかった。幼少の頃から傭兵になるべく育てられ、武器として行動してきた角名だ。誰かと情を交わす暇も余裕もなかっただろうし、経験がなくても然程驚きはしない。というより、俺もそうなのだが。

    「俺もないから一緒やな」
    「えっ」
    「……なんや、その反応」
    「だ、だって! 俺に反応するくらいだから、治はその、経験あるんだと……」
    「まあ、女相手はあるけどな」

     軍なんてほぼ男所帯で、女に会う確率なんてないに等しい。それでも部隊によっては女がいることもあるが、俺が関わることはそうない。数年前は休みの日に先輩に街へ連れて行ってもらった時に声をかけられた女で発散したりしていたが、特定の恋人がいたわけではなかった。その際にかなりの確率で女側が勘違いをするので煩わしくなり、街に行く時は食事や買い物のみで必要なら自分で処理をする。
     軍属である以上は生死を懸けることになり、男は極限状態になると子孫を残そうと脳が働くので昂ってしまうのはしょうがない。だからか、軍では昔から男同士で交わることはそうめずらしいことではなかった。発散しなければ逆に身体に支障をきたすのだからと事務的に行うやつもいれば、気持ちを通じ合わせて身体を重ねるやつもいる。まさか自分がそうなるとは思っていなかったが、堕ちてしまえば関係ない。ただ相手が欲しいと思うことに、男も女も差異はないのだと。

    「もうこの先、抱くんは角名だけでええ」

     今は任務帰りなわけではなく、俺も角名も会議や報告書をまとめるなど事務的な仕事しかしていない。それなのに、こんなにも興奮してしまう。欲しくてたまらない、俺だけのものになってほしい、もっと触りたい、もっともっと。そんな風に思うのは、きっと生存本能なんて関係ない別の感情のせいだ。ただただ、角名を愛したい。だからこそもっと触れて、抱き締めて、俺に角名のすべてを預けて暴かせてほしくて。
     飯以外に、欲しいと思ったことなんてなかった。自分から興味を持つことはめずらしく、執着するなんてそれに和をかけて稀なこと。それなのに俺は角名が欲しくて欲しくてたまらないのだから、人生なにが起こるかわからないものだ。

     角名は弱いわけではない。戦闘力も群を抜いており、パワーはなくてもテクニックでカバーして任務を遂行する。頭の回転も早いため北さんにはよく作戦立案を任されているし、面倒見もいいので部下の成長も著しいのが現状だ。護られる存在ではないと、誰もが口を揃えて言うだろう。けれど、それでも、ひどく脆いから。
     泣くことに慣れていない姿を見た時、傍にいてやりたいと思った。泣くことを諦め、忘れていた角名に寄り添って包んでやりたいと。それと同時に、角名の中に俺の居場所をつくりたかった。俺だけが触れられる、俺だけが許される場所を。他のやつとは一線を画す、俺だけが触れることのできるもの。明らかな特別扱いに心躍ってしまうのは、それだけ嬉しいから。想いを通じ合わせているのだから、その場所がないわけではない。でも俺は人でなしで、それだけでは満足できないから。

    「……俺なんかで、いいの?」
    「なんかやない、角名がええんや。もう角名しかいらん」
    「……やっぱり治、変わってるよ」

     そう言って微笑いながら、晒された掌の中心にそっと口付ける。そのまま自分の頬まで持ち上げて、頬擦りするように触れながら口を開く。

    「俺の知らないこと、もっと教えて?」

     煽るような表情は、俺が見た幻か現実か。もしかしたら不安で縋っていたのかもしれない。でも俺はどうしても我慢できなかったから、自分に都合のいいようにとったのかもしれない。振り払われないのをいいことに、また距離を詰めて口付ける。
     やっと先に進めたと、頭の中にはそれしかなかった。当初の目的である、角名を泣かしたいという欲。頑張りはするがはじめはうまくいかないかもしれないし、痛い思いをさせるだろう。受け入れるようにできていない身体に突っ込むのだから拒否して当然だ。でも受け入れようと思ってくれたことが嬉しいし、いろんな思いを感じてほしい。

     任務続きの角名にはきっと縁遠かったもの。痛みにも甘いものがあって、気持ちよくて流れてしまう涙もあるのだと。これはきっと、俺にしかできないこと。俺だけが角名にできることで、他のやつにはなにがあっても絶対にやらせたくないこと。お前を乱すのは俺だけでありたい。お前が縋るのも、無防備な姿を晒すのも俺にだけ。そうして俺によって与えられた刺激で泣いてくれたのなら、目的は無事に達成される。

    (気持ちよすぎて泣くなんて、そうあることやないしな)

     だから、ずっとずっと記憶に残る。あの気持ちよさを、あの刺激を、あの痛みを。痛いはずのそれを気持ちいいと思ってくれたなら、それはまた一歩俺に気持ちが近づいたということだから。そうしたら、また求めてくれるだろう。また欲しいと思って手を伸ばし、俺を必要として、俺がいいと思ってくれる。その小さな独占欲が生まれてくれることが、なによりも嬉しいから。

    「角名……好きやで。ほんまに、お前だけや」
    「……物好きなやつ」

     ねえ治、こんな俺を好きになってくれてありがとう。そう紡ぐ角名がいじらしくも可愛く愛おしくて、包み込むように抱き締めながらまた深く口付けた。
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    しらい

    MOURNING軍パロ「Chain」の最後、ボツになった微エロ?を置いときます。
    設定としては治角名二人とも軍人で、角名はトラウマで首を触られるのがダメ。治としては角名を泣かせたいと思ってる。
    その先の未来−another− それでも許してくれたのは、俺に気を許してくれているから。そう思うと気分がいい。

    「なんかされたら嫌なことあるか?」
    「……首、触られるこ」
    「それは却下や」
    「チッ」

     聞く気ねぇじゃんと角名が零し、それ以外でと俺が指定する。不機嫌になりながらも暫し考え、思いついたのか角名はゆっくりと口を開く。

    「……じゃあ、手」
    「手?」
    「治の手、掴んでていい?」

     伏し目がちにそう言われ、思わぬ要求に可愛いと思ってしまった。「ええよ、そんくらい」と承諾すると、掌ではなくがっちりと手首を掴まれる。

    「……なあ角名。手ぇ、握るんやないん?」
    「んなこと言ってねぇだろ。……まだ、殺されない保険かけとかないと、怖い、から」

     ごめんと小さく零す角名の額に触れるだけのキスを送れば、パッと目線を上げるので綺麗な瞳がよく見える。不安そうな顔は俺がさせているのに、そんな表情もええなと思っている俺はやっぱり人でなしかもしれない。俺に嫌われるのが怖いと思ってくれているのだろう、なんて初心で可愛いのか。きっと今俺は、とても締まりのない顔をしているのだろう。好きなやつに特別に想ってもらえるのが、こんなに嬉しいなんて知らなかった。
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    mona5770

    MEMO(治角名)リモート会議に参加する角名と甘えにくる治
    リーマン軸は彼らにはないはずなのに、自分の土俵に入れようとするのはやめなさい。
    いやでも角名は午前中だけでも会社員のはずだ。よし。
    (バレー関係、仕事関係は完全捏造です)
    無難に総務とかに配属されてコピーしてるのも想像したけど、角名はSNSとか得意なんでしょって無茶ぶりでHPメンテとかの仕事してるイメージ。
    リーマン角名に夢を見る。仕事中はPCメガネ着用よろしく。ご時世もご時世だし「シーズンオフの出社は最低限でいいよ」と言われた。選手としてはともかく会社員としては絶対にいなければ困る存在かと言われたらそうでもないし、毎日がちがちに出社しないと困るような仕事量でもないことは自分でもわかっている。
    仕事内容もパソコンさえあればどこでもできるものだし。
    となれば躊躇せずに「ありがとうございます」とその提案をありがたく素直に受け入れるしかない。つかほんとにありがたいし。
    もちろん代表関係の招集もあるから完全なオフではないし、出社しなくていいだけで、リモートワークで決められた仕事はこなすわけで。
    もちろん会議やミーティングがあれば参加しなければならない。
    とはいえ出社が免除されればどこを拠点にしても、それが招集されたときに困るほどの僻地でなければまったく問題はなくなるのだ。
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    しらい

    MEMO角名は老舗呉服問屋の一人息子で、治は廻船問屋の息子。
    まだ、っていうかこの二人はまだ両片想いにすらなってない。
    治角名和装パロ 和装パロの治角名は時代的には江戸くらいなんで、男色にもそこそこ理解があったと思うんですよね。だから女物みたいな派手な着流し着てる角名のことを歌舞伎役者みたいな塩顔も相俟って伊達男みたいに見て女は見惚れるし、男は男娼みたいな色気垂れ流してるのを見てあてられる。治は顔がいいのはもちろんのこと身体もいいんで女が騒ぐのは当然だけど、男らしい身体つきなのにちょっとぽやっとしてるからそのギャップであてられる男もいる。

     角名は普段は店の宣伝も兼ねて派手な着流し着てて、食事のために町に来てた治も「えらい歌舞伎もんやな」くらいにしか思ってなかったんだけど、何度目かの仕事終わりの食事の後に甘味が食べたくなって団子屋に入ったら満席で、たまたま相席したのが角名。雰囲気で気取ってるやつかと思ったら、団子屋に来てるのにうどんを頼んでるのを見て「は?うどん?」と零してしまう。「なに知らないの?ここ、うどんも美味しいんだよ」って言って一口くれて食べたら美味しかったから追加でうどんも頼む治。なんやこいつ、ええやつやんって認識を改めて、そこから少しずつ話すようになる。
    1406

    あお。

    MOURNING治の部屋の鏡が異世界に繋がってた(寮設定)。異世界には角名くんそっくりな御曹司と治くんそっくりな執事がいて…というファンタジーパロのつもりだったものです。思いつく限り書いただけなので供養。異世界組はすなくんとおさむくんの姿をした誰かみたいになってしまったのでキャラ崩壊注意です🙏🏻💦後半はほぼ会話です。いつかもう少し修正したい。「」→崎『』→異世界組
    崎の治角名+異世界の治角名治の部屋の鏡を除くと違う世界に繋がっていた。何言ってんだこいつと思うかもしれないが、俺も意味がわからない。でも実際に目の前で起こっているのだ。しかも……鏡の中には俺にそっくりのやつがいた。

    「いや、意味わかんないんだけど」
    「まぁ同じ顔なんて俺らで見慣れてるやん」
    「それとは話が別だろ……」

    事の発端は少し前。週末に出された課題を一緒にやろうと言う話になった。丁度同室の侑が部屋を空けるからと治たちの部屋で。

    「どーぞぉ」
    「おじゃまします。綺麗にしてんね」
    「だいたいこんなもんやろ」

    同じ間取り、同じ家具でもやはり住んでる人たちの個性は出るものだ。机の上に無造作に積まれた教科書に今月号のバレー雑誌。ズボンなのかシャツなのかわからないがクローゼットの隙間から布がはみ出していて、急いで散乱している衣類を放り込む治の姿が目に浮かんだ。だいたいこんなもんやろなんて言ってたけど、急いで片付けたんだろうなと思うと自然と広角が上がる。
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