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    MOURNING2023年7月29日、拝君1周年おめでとうございます㊗️
    拝君浴びて狂ってそのまま書き出した去年のふわおり本から後半部分を公開します!!!
    ちっちゃいあきちゃんが大ちゃんに可愛いって言われたくてワンピースを着て出かけるお話です。

    前半部分「紅と白とで縁起がいいと」も既にポイピク公開済みです。
    どちらも今後非公開にする予定はございませんので、どうぞご留意ください🙇‍♂️
    言うはオレからでなくキミ その日、七歳のオレは朝から泣いて泣いて、家を出る直前までごねて、ようやっとあのワンピースを着せてもらった。女の子ならピンク、男の子なら青色が主流だった時代に、薄い菫色のワンピースは、例えみっつ離れた親戚の子から、おさがりという名の処分先として段ボールいっぱいに詰めて送られてきた中に、乱雑に丸めて放り込まれていたものだったとしても、オレの持っている他のどんなものより魅力的に見えた。
    この辺りじゃ、どの店に行ってもこんな服は売っていない。着やすさを重視したファスナーやゴム素材なんて無骨なものは、この洋服のどこにも組み込まれていない。背中のボタンを留めると、襟も胴回りも吸い付くようにぴったりと身に添って、腰の辺りからは綿らしい柔らかな曲線の襞とシルエット。着丈は丁度膝上にスカート部分の裾が乗る。靴は合皮の黒、ソックスは足首丈の白。完璧だ。今日のオレのために仕立てられたに違いないと思った。
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    MOURNING【キスの日記念公開】
    5/23はキスの日らしいので、2022年10月ふわおりウェブオンリーでも公開した、
    しょた不破さんとしょた織部の出会いSSを公開します🧃
    (一部痛々しい表現あり)

    こちらが含まれる紙の本も少部数ご用意がありますので、
    2023年6月ファベオンリーに持ち込み予定です。

    以後、このSSは非公開にする予定はありませんので、その点ご留意ください🫶
    紅と白とで縁起がいいと ファーさんの、いや、不破大黒の家は、ここらじゃちょっと有名だ。このクソ田舎に似合わない小ぎれいで清潔感のある白壁。庭には白い花をつけるハクモクレン、アナベル、百日紅、寒椿。そして、白髪の少年がその城には住む。同級生から暇な老人連中までみんな目が離せなかった。初めは白が景観にそぐわないがどうの、越してきた余所者は態度が不躾でどうの、とうるさかったヤツらも少年を見て口を噤む。彼には、何人に対しても、そうさせてしまう魅力があった。カリスマ性、というのだろうか。でも彼のものは、そんな派手で印象的なものではない。青い眼がなんでも射すくめてしまうと言って、遠巻きに眺めるだけで皆、近づくことすら。普段は心の底に仕舞い込んでいる弱さにすう、と手が伸びてくるような心地がするのだ。オレも、そんな事をぼんやり考えるひとりだった。
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    DONE【夏インテ新刊先読み】
    8月21日のインテ頒布予定の新刊です。
    ファーベリの2人がドライブデートからカーセッにいたるR18小説になります🚗³₃
    お祭り便乗したいので、冒頭~挿入の直前の約半分をこちらからお読みいただけるように置いときます🥳
    やや暗めりんり低めの展開がありますが、お気に入りいただけると幸いです。
    夏インテ新刊先読み夏インテ終了後しばらくしたら全文公開(無期限)の予定です。(2023年6月のファベオンリー後くらいかな?と思ってます。)
    その他の既刊もほぼ全てポイピクからご覧いただけます(R18、R18g、ファべ以外カプ作品も含みます)。
    紙の本は、手元に欲しい方向けに少部数ご用意しております。通販の予定はございません。



         ― ◇

     広い旅館にはオレたち二人きりで、目の前にどかどかと並べられた夕食たちは自慢の海の幸ではなく、さっき拝借したキッチンでこしらえたオレの手作りメシと、途中見かけたコンビニで調達した酒と飲料、あとは雑多な食べ合わせの悪いツマミ類で、せっかくの旅行らしい揃いの浴衣姿に少しもったいない気すらした。駆け込みでやって来ているため、マトモな夕食の提供に期待していた訳ではなかったが、これでは折角の遠出に色気がなさすぎる。それでも、ファーさんは黙って箸をつけている。こんなとき美味しいかい?と聞くのは野暮。ベリアルは代わりの話題を探した。
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    MOURNING「手のかかること」収録
    現パロ設定ファーベリ
    既作のパラロスバンドパロ「ラスト・パレード」(ポイピク収録済)の前日譚
    血は出てませんが、不愉快な発言が少しあります。
    わたしを少し、置いて帰るよ「ああ、あの魔女が飲む煮汁のような茶のことか?」
    「フフフ、いい感性だね、ファーさん。ルイボスティーだよ。マンゴーとシトラスの香りを施してある。冷やして飲むと美味しいだろう?」
    「その香りは雑味だ。ただの水分補給に余計なものは要らん」
    「オレから雑味を引いちまったら何が残るんだい。さあ、オレといる間はこの茶を飲んでもらうぜ。どうせ普段はコーヒー、エナドリ漬けなんだろう?これはノンカフェインで、その点でもちょうど良いのさ」


     冷蔵庫を開けると、サプリメントとゼリー飲料とタバコ(冷やす必要は全くない。ただ、部屋にものを増やすたび捜索が面倒になるので、一番分かりやすい冷蔵庫にしまうことにしている)しか入っていないはずのそこに、銀の水差しが加えられていた。長らく使っていなかった割には綺麗で曇りないその入れ物には、例の茶がたっぷりと用意されている。合鍵を欲しがったので好きにしろと伝えてはいたが、どうやら俺の留守中に仕込んで帰ったらしい。その証拠に、床に散らばっているはずの衣服が今は窓際のハンガーラックで大人しく整列している。近づくと、熱帯の海辺の、それも日陰に咲く花みたいな匂いが残っていた。あいつの香水だ。いつもあいつからは派手なくせに陰気な匂いがする。ここにあるものは全て俺の所有物だ。他所から持ち込んだものを良く思わないのは、ベリアルもよく承知のはず。普段なら髪の毛一本ですら、気づけば蓋付きのくずかごへ捨てていく。それなのに、今日は冷蔵庫の中にまで、あいつは自分の破片を残していったのだ。小賢しい振る舞いだけは上手にこなす飼い猫め。
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    MOURNING「手のかかること」収録
    研究所時代ファーベリ
    ルシフェル様とは割と仲のいいベリアルです
    ひとの言う美味しさが何かわかならい獣、わかりたい獣の話
    !血は一滴も出てません!
    ペパーミントと百度の紅茶「ねえファーさん、それ本当に美味しいのかい?」
    たかが栄養補給に見た目なんて、とは言っても、あまりにも目の前に積まれたそれらは、無機物だった。噛み砕かれる音も文字通り味気がない。
    「不都合はない」
    だって、でも、と食い下がる獣に、人間は言い放つ。
    星晶獣お前にその機能は備え付けていないというのに、未知領域の理解への苦心など」
    最後は少し嘲笑ぎみだった。食事を邪魔された人間は特に指図せず、その不愉快そうな声に乗せて、さっさと獣を部屋から追い出したがっているようで、日頃からその者の対応に慣れた獣にそれが分からない筈はなく、自ら扉を開いて部屋から出ていくより他なかった。


     獣には、人の言う美味しさの正体が一体なにで出来ているか、見当すらつかないし、きっと当てずっぽうで正解を見つけることも出来ない。舌が全く不能の無感であるわけでなく、痛みや温度のような刺激は感じられる。が、そんなもの、足の裏でやったって同じじゃないか。
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