遣らずの雨に小腹が空いて立ち寄った団子屋で、焼いた団子に醤油がかかっているだけの素朴な物を二串頼む。
引きも切らずに用事を頼まれ、あちこち走り回っている隠し刀は、それ相応に腹が減りよく食べる。その為か、腹持ちのいい団子を好んで食べた。
江戸には多くの団子屋があるので、どの店の物が美味いのか食べ比べするのが、最近の彼の趣味だ。
近くに写真館もあれば歌舞伎座もあり、人通りも多く活気づいている。
屋外の縁台に座り、団子が来るまで街の様子を眺めながら一息ついた。
そう待たずに皿に乗った団子と茶が提供され、焼きたての香ばしい匂いが鼻孔をくすぐる。早速、熱々のそれを口に含みながらふと、空を見れば、日が雲に隠れどんよりとした天気になってきた。
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