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    シアン

    @siansian1079

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    シアン

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    無双赤√ユリアシュ

    ユーリス加入後すぐだから支援Cかそれ以下

    夢破れて山河があり陛下に命は大切にして欲しいと言われてた。
    それは陛下に対して騎士としての僕が最後に果たす忠義になる。
    投降した身にしては待遇がいいのはいいけど憂鬱な気持ちになるのは変わりない。
    それが日に日に経って、ここでの生活にも慣れが出てきてもやっぱりこれでよかったのかと思い悩む。
    それは気持ちだけでなくはっきりと目にしたのは僕が投降して初めてディミトリ王と戦場で相対したときだった。
     ディミトリは最後に出会った頃と何も変わっていなかった。英雄の遺産アラドヴァルを振り回す姿は昔から大好きだった騎士道物語の主人公そのものだった。その戦いで彼を逃すための殿となったイングリットが戦死した。
     騎士の僕が死んで、僕はなぜここにいるのか。きっとこれはただこのまま戦場を離れてしまう方がずっと辛い事になると思ってるから。でもここに残ることだって決して楽な道じゃない。

    「シケた面してどうしたんだ?」

    今節からユーリスが軍に加わった。戦場で彼が現れたとき、冷や汗をかいたが自分達の説得に応じて投降してくれて仲間になった。
     今日は食事を一緒に取って、そのままこうして食糧庫の管理も一緒になった。

    「ユーリス。ごめん、ちょっと考え事してた。えっと、あとは・・・」

    「もうこれで仕事は終わりだ。お前はこれからどうするんだ」

    「これからは特に何もないから訓練場で体動かしてこようかなって」

    「おいおい、ちょっと働きすぎじゃねえか?それならちょっと俺に付き合え」

    「?」

     シェズに食糧庫の報告をした後、アッシュはユーリスに連れられて歩いていく。
     生活区を離れて更に人の気配がない拓けた草原に行くと二、三匹の飛竜が石場に止まって羽を休めているのが見えてきた。

    「なぁ、色々あって馬とか動物とか触れねえんだが飛竜ならなんとか触れそうなんだ。どうやったら飛竜の背に乗れるようになると思う?」

    「ドラゴンですか?う〜ん、僕もまだ乗りこなせるかといったらまだまだだけど、やっぱり馬と同じでお世話してあげて仲良くなることから始めるのがいいと思う・・・急にどうしたのユーリス?」

     石場でたむろっている飛竜たちはこちらに気づいたのか時折こちらをチラチラと見ていたが警戒をしている様子はない。

    「戦場で馬やドラゴン乗って戦っている奴を見ると人間の足じゃあ限界があるとつくづく思っちまってよ」

    「人間じゃあんなに早く走れないし、ドラゴンみたいに飛べないもんね」

    「だーはっはっは!さすがの俺様でもそいつは無理だからな!動物は動物でもドラゴンならなんとかなりそうだから。せっかくこうして人が集まって戦とはいえ互いに教授し合ってるこの時に。学べるうちに学ぼうと思ってな」

    「ユーリスは前向きでいいね」

    飛竜の中でも一番大きな竜が大きく羽を広げてバサバサと羽ばたいた。ペガサスと違って羽根がなく、剥き出しの筋肉と骨格が荒々しくも逞しい。危険がないように距離がとっていても息づかいまで聞こえてきそうだ。

    「どうした、しょぼくれたみたいな声出して・・・・。まあ事情は色々聞いてるが本当に嫌ならこの戦に降りて、ロナート卿と兄妹たちのところでぬくぬくしてるだろう」

    「ぬくぬくって・・・別にロナートさまも弟たちも生活がいいわけでも・・・」

    「語弊があったのは謝るが、お前はお前なりの信念があってここにいると思ってたぞ。少なくとも俺の知ってるアッシュって人間はそういう奴だと思ってたんだがどうやら俺の勘違いだったみたいだな」

    「僕は・・・」

    ディミトリと交わした言葉、約束。
    ディミトリは、陛下はファーガス王国の王。フェリクスやイングリットなどは紋章を持ち生まれながらにして貴族。自分とは背負っているものが違う。どんなに頑張っても自分は紋章を持ってないただの平民だ。
    でも、だからと言って何もせずにいられない。それこそ何もしなかったら両親がいなくなって途方に暮れていた頃と何も変わらない。だってあの頃よりずっといろんな出会って学んだはずなんだから何もできないないなんて泣き寝入りしたくない。

    「まだ、何ができるかわからないけど。でもユーリス、僕はここにいる。シェズたちといたら見つけられそうな気がするから」

    「・・・いいんじゃねえか、貴族は色々としがらみがあって窮屈そうだが、その点。俺みたいな人間にとっては自由なもんだぜ」

    「自由だからって危ないことはしないでよ、ユーリス」

    「あーまたその話かよ。耳が痛くなりそうだ・・・」
    ユーリスは呆れ顔でこのところアッシュに言われる小言をうんざりそうに適当に聞き流す。

    騎士道物語が夢物語なのは分かっているけど、こうなりたいと思った気持ちは忘れたくない。
    それは騎士として死んだ僕がここで生きて、生き続けている僕の中でまだ輝いている限りはその約束をたがうことがないと信じている。
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