2022.10.13
猫を裏返して乳首を数えてみる甲操
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ふみゃあぶにゃあと猫が鳴いている。また、来主が呼び寄せたんだろう。そろそろ日も沈むしと、脱ぎっぱなしの上着を持って行く。
「くるしゅうないぞー」
玄関ポーチにしゃがみ込んだ来主のまわりに何匹も猫が転がってる。どいつも腹丸出しのまんま。猫サークルに召喚された来主の図?
「なにしてたんだ?」
「ちくびのかずかぞえてた」
ちくび。乳首。雄にも雌にも平等にあるあれ。猫のそれの数は個体差があり、多く備えていても乳腺が伴っていない形だけのもあるんだとか。毛に紛れて数え間違いが多くあり、腫れ物と間違えた飼い主が医者に駆け込んだエピソードもあったとか──の乳首。
「……なんで?」
「なんとなく! こっちのとらは七個でー、みけは八個あったよ。触り心地おもしろかったな。やわらかいのになんかかたいの」
「ふうん……」
俺も、と寝てそうな黒猫の腹を触ろうとすると引っくり返った。この場合は引っくり戻ったか。立ち上がった勢いで、そのまま草むらに消えていく。
「ふられちゃったね。くろはお腹より頭が好きなんだよ」
「うるさいよ。あの、一番下に逃げてるボスは? 数えられたの」
話しながら上着を着せてやる。来主の気が済んだと判断したのか、黒猫に続いて、他の猫もそれぞれに散っていく。最後に残るのはいつもあの大きなサビ猫だった。彼もひと声残して、ねぐらか、餌をもらえる家に向かうらしい。
どうしてみんな草むらを経由するんだろう。葉っぱの感覚が好きなのかな。おかげで除草剤なんか撒けないのでちょっと困っている。
「ボスは一番多くてね、十個あった! でも、ボスのおかあさんのほうが多かったんだって」
「思い出話までもらったんだ。よかったな」
「んね。甲洋の日記に書いといてよ」
「来主が聞かせてもらったことは、来主の日記に書かなきゃだろ。送ってくから、そろそろ立って」
ほら、と脇に手を入れて立たせてもなんだかぐんにゃりしてる。俺の胸のあたりを眺めてううん、と唸った。ろくなことを考えていない顔だ。
「甲洋のちくびもかたいの?」
「は?」
知るかそんなもの。意識して触ったこともない。
「触ってもいい?」
「やだよ。早く帰れ」
「甲洋だって僕のちくび触るじゃん!!」
「そりゃ」
好きなやつのは触るだろ。言い返す前につねられる。ぐにっと思いっきり。触るなら力加減ってものをだな。
「いッた!!」
「んー、服分厚くってわかんないや。今度直接触らせて」
絶対いやだ。というか今掴んだのは乳首じゃなくてただの皮膚だ。うずくまっても全く無視で、さっさと階段を降りていく。
「また明日ね!」
あのやろう。絶対今度、じっくり仕返ししてやるからな。