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    狭山くん

    @sunny_sayama

    腐海出身一次創作国雑食県現代日常郡死ネタ村カタルシス地区在住で年下攻の星に生まれたタイプの人間。だいたい何でも美味しく食べる文字書きです。

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    狭山くん

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    2022-07-20/空閑汐♂夏祭りも2/3というとこですね!ちゃんと続いてるの偉いね!という事でやっぱり汐見♂には空を飛んでて欲しいのよ。

    ##空閑汐BL
    ##静かな海
    ##デイリー
    #文披31題
    wenPhi31Questions
    #BL

    文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day20 美しく染め抜いた青に白い山が聳えていた。まるで、この間のかき氷みたいだ。汐見は取り留めもなくそんな事を考える。
    「おぉい、汐見。何ぼんやりしてんだ、行くぞ」
     普段はジャージで通している汐見も、今日は青色のフライトスーツを纏っている。それはかつて宇宙に行ける人間が限られていた頃、宇宙飛行士のシンボルのようにされていたそれで。人々が気負いなく宇宙に行けるようになった今、そのシンボルは国際航空宇宙学院のパイロットコースに所属する生徒のユニフォームとなっていた。濃紺のフライトスーツを纏う吉嗣の声に空へと向けていた視線を戻し頷く。
    「わかってますよ、センセ。ちょっと感傷に浸っても良いじゃないすか」
    「感傷に浸るにはまだ若い。もうちょっとシャキッとしろよな」
     小言のように溢される吉嗣の言葉に汐見は揶揄うように肩を竦め、ゆっくりとした一呼吸分の時間を使って一度だけ切れ長な瞳を瞬かせる。再びその深い焦茶色の瞳を覗かせせば、そこには一人のパイロットが立っていた。

     * * *

    「アマネのフライト見るのも久々だなぁ」
     青い空へと飛び立つ白く艶やかなプロペラ機の軌跡を見ながら空閑は嬉しそうに声を上げる。普段はジーンズにティーシャツの組み合わせばかりの空閑も、今日ばかりは目が覚めるような青色のフライトスーツを纏っていて。
    「て言うか、ヒロミはここ居て良いの?」
    「俺の出番はアマネが降りてきてからでも間に合うんだよ。あっちだと空見てられないからさ」
    「それもそっか」
     夏休みの中学生とその保護者に向けた学校説明会、普通科はともかくとして専門科は各コースの特色をアピールする絶好の場である。そんな少しだけ浮き足立った喧騒から離れた裏庭で、フェルマーと空閑は入道雲を切り裂くように空を飛ぶ飛行機の姿を見上げていた。
    「前にアマネが言ってたんだけどさ、空を飛ぶものは大体全部美しいって。ほんとそうだよね、生き物だろうが鉄の塊だろうが、大気圏内だろうが、大気圏外だろうが、綺麗だ」
     精密な操縦が必要な曲芸飛行も難なくこなし、スモークを使いその軌跡を地上の人々へと教える汐見の操るレシプロ機を見つめながら空閑はうっとりとした様子で言葉を溢していく。
    「飛ぶ為の機能以外を出来るだけ削ぎ落とした、実用的な美しさだよね」
     重力が支配する揺り籠の中で全ての物体を地に縛り付けるその力を振り切る為には、捨てなければいけないものが多すぎる。だからこそ人は何百年もの間、空に憧れ重力から逃れようと進んでいるのかもしれない。
     そんな事を思いながら、フェルマーは再び空に描かれた美しい白線を見つめる。入道雲を切り裂く様に描かれたその白線は、地上から解き放たれた人間が描く勝利の証であった。
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    狭山くん

    TRAINING2022-07-01/文披31題夏の空閑汐♂祭始まるよ!!!!!そう言えば学祭の話って書いてなかったな〜って思ったので初夏は学祭の季節だろ!?と空閑汐♂には踊って頂きました。学祭で踊るタイプの男性アイドルユニット、うっかり某SとAを思い浮かべてしまった。地元じゃ負け知らずだぜ、アミーゴ。
    文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day01 太陽は山の奥へと隠れ、空は紺青と朱による美しいグラデーションを見せていた。校舎の屋上から遠くに揺れる海原を見つめていた汐見は、屋上に巡らされた柵に凭れて大きなため息を一つ吐き出す。
    「おつかれ」
    「お前もな」
     からからと笑いながら疲れを滲ませた息を吐き出す汐見へと労いの言葉を掛けた空閑に、汐見は小さく笑い言葉を返す。卒業証書を受け取ってから数ヶ月、季節は夏へと差し掛かる頃で。互いに高校指定のジャージを纏う彼らは、次の進学先への渡航までの間をこの場所で過ごす事を決めていた。
     実家に帰るよりも、渡航までの約半年をこの場所で知識を深めた方が有意義だという結論に達したのは何も彼らだけではない。彼らよりも前に卒業していった先達であったり、同学年で本校への進学を決めている者の一部も同じような選択をしており――学校もまた、それを受け入れる体制が整えられていた。
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