Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    blackberryO7I5

    @blackberryO7I5

    @blackberryO7I5
    低速でジャンルを反復横跳びします。

    いまは呪の五七/悠七/猪七/灰七
    時間ができたらknprカケミナなども投げるかも。


    pixivにおんなじような話ばっかり上げてるのが
    心苦しくなってきたのでしばらくpixiv断ちします。
    そのかわりめっちゃポイポイしちゃうぞ☆

    マシュマロ:ひと言でも頂けたら嬉しいです
    https://marshmallow-qa.com/blackberry0715?utm_medium=url_text&utm_source=promotion

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 18

    blackberryO7I5

    ☆quiet follow

    キスの日の五七
    七海サイド

    #五七
    Gonana

     目覚めたときから、喉の調子がよくなかった。

     喉の奥に張りつくような痛みは、起き抜けの喉の渇きとは異質なもので。わずかにではあるが声を出しづらい感覚に七海は眉を顰めた。風邪でもひいたのだろうか。季節の変わり目、1日のうちでの寒暖差が大きい時季だ。幸い、明日は久しぶりの休み。今日は仕事をさっさと終らせてしっかり休もうと決めて七海は、ベッドから重い身体を起こした。



           ◆



     きょうの仕事は、午前に1件、午後に2件。
     2件めは七海を慕う術師、猪野と同行だ。軽く昼食を済ませてから行こうと待ち合わせた喫茶店で席に着くなり、開口一番に彼が言った。

    「あれ? 七海サン、調子悪い?」

     猪野へメニューを差しだそうとしていた手を止めて七海は軽く眼を瞠る。自分では平常通り振舞っていたつもりだが、それほどわかりやすかっただろうか。たしかに朝よりも喉の痛みと身体の怠さはやや強くなってはいたけれど。

    「いえ。……すこし喉の調子は悪いですが、問題ありませんよ」

     否定しようとしたが、声嗄れは誤魔化せなさそうだと判断して七海は、事実の一部だけを端的に告げる。その言葉にしかし猪野は納得していないというようにむっと眉間を寄せた。

    「問題なくないっしょ。風邪ですか?」

    「任務に支障はありません」

    「そうじゃなくってさあ。七海サンだからそりゃ仕事はちゃんとやるんでしょうけど。俺との任務のあとにもまだあるんですよね?」

     窺うように訊く猪野の全身から、心配している、という気配が色濃く立ちのぼるのが見て取れる。七海は目許のグラスを外して猪野を見据えた。まっすぐに心を配ってくれる後輩へ、真摯に応えるために。

    「午後の2件で今日は終りです。明日は休みですし、本当に大丈夫ですよ」

     ふだんあまり直接見る機会のない七海の眼に絡めとられて猪野が動きを止めた。

    「気遣い、ありがとうございます」

     続いて告げられた言葉とやわらかな七海の表情に、とうとう猪野はテーブルにごんっと音をたてて突っ伏する。

    「猪野くん!?」

     唐突な猪野の行動に慌てた七海が浮かせかけた腰を、テーブルに伏せたままの猪野がばっと手を突きだして止めた。

    「なんでもないっす! 気にしないでください!」

    「いえ、ですが……」

    「ほんっとなんでもないんで! ちょっとだけ待ってください!」

     七海のほうへ手をかざしたままテーブルに額を押しつけた猪野が、はあっ、と大きく息を吐く。一拍置いて顔をあげた猪野の頬には朱が散っていた。

    「猪野くん……? 大丈夫ですか?」

    「大丈夫です! すんません、ほんと気にしないでください」

    「はあ……」

     首を傾げる七海に猪野は頬を染めたまま、ごそごそとポケットを探る。そして、いくつかの飴の包みをテーブルに置いた。

    「ホントは午後の任務代わりますって言えたらカッコイイんですけど、俺じゃ無理なんで。明日休みならちゃんと休んで治してくださいね。コレ、気休めですけど」

    「のど飴」

    「最近ハマッてて。はちみつ100%の飴です。喉、つらそうだから」

     七海がもう一度礼を言うと猪野は嬉しそうに笑ってから、無理はしないでくださいね、と続けた。そんなやさしい後輩の気遣いを七海は、そっとジャケットのポケットへと仕舞った。




    キャンディ・キス

     


     任務をつつがなく終えた七海が、回収物の提出のために高専を訪れたのは夕刻だった。口頭での簡単な報告も済ませ、帰路につこうと昇降口へ向かう廊下で、ふと目に留まった窓の外。藍色と橙色が混じりあう美しい夕空が広がっている。陽が落ちるのもだいぶ遅くなってきたな、と取り留めなく思いながら七海はジャケットのポケットへ手を伸ばす。

     体調は時間の経過とともに少しずつではあるが悪化している。とくに喉の痛みが顕著で、七海は猪野がくれたのど飴を取りだした。3件めの任務前にひとつ口にしたが、さすが蜂蜜100%というだけあってとても甘い。ふだんの七海であればあまり好まない味だが、喉の症状が一時的にとはいえ緩和するのは確かだった。

     かろん、と歯に当たった飴が口のなかで鳴る。
     濃厚な甘さが広がっていく口内で飴を転がしながら歩を進めていると、よく知る呪力が近づいているのを感じた。咄嗟に踵を返して来た道を戻ろうとした七海だったが、

    「ちょっと待ってよ、なんで逃げるの。っていうかどこ行くつもりだよ」

     あっさりと捕まる。
     腕をつかまれたと思った次の瞬間には抱きこまれていて、七海の表情は自然と険しくなった。

    「そんな睨むなよ」

     七海の腰に手を回した男、五条がへらっと笑う。

    「なら離してください」

    「だってオマエが逃げようとするから」

    「逃げたわけではありません。避けただけです」

    「いやいやほとんど一緒だよね!?」

     大袈裟に嘆きの声をあげて五条は、七海の顔を覗きこんだ。

    「……七海、オマエ」

     七海と目が合った──五条の目許は布で覆われているし七海もグラスをかけているが、視線が絡んだことは互いにわかる──とたん、五条の声音がふいに真剣なものにかわる。気づかれた、と七海は内心で舌打ちをして眉を寄せた。実際に舌を打ちたい気分だったが、あいにく口のなかに飴があってできなかったのだ。

     ちょうどよくのど飴を舐めていたおかげでほとんど普段通りの声が出せたが、それだけでは五条の眼を誤魔化すことはできない。ましてや猪野にすら気づかれた自分の不調を五条が見逃すなんてありえないだろう。それがわかっていたからこそ七海は彼を避けたのに。

     五条が矢庭に目許の布をおろして、肉眼で七海を正視する。その視線に居心地の悪さを感じた七海が身じろいでも、五条の腕は一切ゆるまなかった。

    「もう帰るところですし、明日は休みなので」

     器用に飴を舐めながら七海は言った。

    「だからなに?」

    「ご心配なく。一晩眠れば回復します」

     七海のその言葉に五条が大きな溜息を吐いた。

    「そういうことじゃないんだけどなあ」

     やや険がのった声に反論しようと、七海が口を開いた瞬間、

    「んンっ!」

     五条に唇を塞がれる。無防備に開いていた口のなかに舌が侵入して、小さくなったのど飴が奪い取られた。唾液が絡まる水音に、から、と硬質な音が混じる。

    「んぁ、ふ……ッ、」

     五条の口内でさらに融かされて、もうあらかた液体と化したのど飴……だったもの、が七海の舌のうえに戻される。五条の唾液で濃度は薄まっているはずなのに、どういうわけか甘さを増したように感じるそれを、七海は飲み下した。

    「んく、ん、んッ、」

     すべてを喉に落としたことを確かめてから五条はようやく唇を離す。けほ、とひとつ咳ばらいをした七海の首許に五条の指が触れた。びくりと身体を揺らす七海を宥めるように五条はゆるゆると手を滑らせて、まるで労るように喉を撫でる。

    「ちゃんと夜までに喉治しといてね。明日休みなんだろ? だったら今夜もイイ声いっぱい出してもらわなきゃいけないし」

    「ぶん殴っていいですか?」

    「冗談だよ。まあでも今夜オマエんち行くから」

    「待ってください、きょうは、」

     拒もうとした七海を、五条がキスで遮った。とろりと甘い蜂蜜の香りを残した舌が、七海の口腔内をひと撫でしていく。またしても喉に落とされた糖度の高い五条の唾液を、七海は飲みこむしかなかった。

    「体調悪いときくらい甘やかさせろって、七海」

     こつんと額を合わせて言う五条の長い睫毛が、七海の睫毛にバタフライキスを落として。遮るもののない抜けるような天を想起させる五条の眼の眩耀に捕えられた七海は、思わず眼を閉じた。目蓋をくすぐる五条の睫毛の感触に七海の身体が無意識に震える。

    「わかった?」

     まるで聞き分けのない幼子にするような口調で言った五条の唇が、七海の唇を食むように挟んだ。角度を変えて何度か啄まれたあと、ちゅ、と軽い音をたてて離れた五条の口許がゆるやかな弧を描く。

    「今日は七海は何もしなくていーよ。僕が勝手に世話焼くからさ」

     口内に残る蜂蜜の味よりもさらに胸やけがしそうなほど甘ったるい声で言って五条は、七海の身体を離した。思わず一歩後退した七海に五条が苦笑する。

    「警戒すんなって。僕ももう帰れるからさ。ちょっとだけ待ってて。家まで送ってあげる」

     そう言って目隠しの布を着けなおし背を向けた五条は、七海がここでおとなしく待つことを信じて疑っていないようだった。

     廊下の角を曲がった彼の姿が見えなくなってから七海は、今度こそ舌を打った。五条を放っておいて帰る、という選択肢が既に自分のなかから消滅していることが腹立たしい。絆されてしまっている自分の甘さも、結局は彼に寄りかかってしまっていることも。

     きっと五条はこれを“迷惑”だとは思ってはいない。それは七海も理解している。諸処に人間としての問題を抱える五条だが、“恋人”として在るときは、七海がときどき面食らうほど優しかった。
     だからこれは単なる自分の意地のようなものだ。彼と対等でいたい、術師としては無理でもせめて、人間同士としては。

    ──体調悪いときくらい甘やかさせろって。

     五条の言葉が耳にからまっている。
     はあ、と息を吐いて七海は、壁に体重を預けると目蓋を閉じた。全身が、とろりと甘ったるいものに包まれる感覚──。喉の奥に落とされた五条の唾液の味を打ち消したくて七海は、ポケットからのど飴をひとつ、取りだした。


    ●END●
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    👏💞☺❤👍❤💖💖💗☺☺💖💖😭🌋
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works

    yu_kalino

    DONE2021-02-13 五七版ドロライ お題「バレンタイン」
    ※1時間ではここまでが限界でした。
    ※後日追記します(多分)。
    ※(2021-02-15)追記しました。
    普段、前触れもなくやってくる五条にしては珍しく、事前に約束を取り付けてきた。
    バレンタインだからとアピールして時間だけでなく、七海の部屋に行きたいと主張までしていた。
    一つ年上の恋愛関係にある男ではあるが、学生の頃と変わらない傍若無人さと圧の強さはいつも七海をたじろがせる。
    五条の願いを受け入れるのが嫌だというわけではないが、唯々諾々とわがままを叶え続けるのは調子に乗らせるだけである。そういう思いもあって、時折渋って見せ、仕方がないという風を装い、結局の所は己の男のわがままを受け入れるのだ。

    しかしながら呪術師などという仕事をしていると、突発的な案件にスケジュールが変更になることなどはよくあることだ。
    特に五条のような上層部と対立をしていても実力だけは確かな男は、あれこれ言われながらも重宝される存在なのだろう。約束を承諾した七海としては(反故になるか時間がずれ込むだろうな)と口には出さないものの、これまでの経験則から予想をしていた。期待をしすぎるのは良くない。と、七海は過去の己からきちんと学習している。

    だが、今日に限っては五条ではく七海のほうが約束に遅れることとなった。
    そもそも 4360

    ジオさんち

    MAIKINGにほさにワンライ。女審神者。

    『食欲の秋。食べすぎたからとダイエットをしようとするさにちゃんと、太っていないからと新たな秋の味覚を準備する号さんの攻防が今日も始まる。』
    #お題ガチャ #同棲カプのゆるい話
    (栗ご飯@にほさに) 夏が終わった。
     南国の海の写真が載ったカレンダーを、慎重に破れば月が変わる。新しい写真はイチョウ並木が綺麗な写真だった。未だ暑さが伴うものの、暦の上では既に秋。スーパーでも果実の種類が増えて来ている。今まで店頭に鎮座していた西瓜は成りを潜め、梨、桃、葡萄に無花果が立ち並ぶようになった。茸の種類も増えた。旬を迎えようとしている茸たちは、徐々に売り場を占拠し始めている。
     秋。一年で最も実りのある季節。
     あぁ、今年も来てしまったと言わざるを得ない。大きく溜め息を溢した後ろで、恋人が笑っている。

     同棲をし始め、互いに料理をするようになり、私よりもちょっぴり――いや、かなり料理が得意な恋人が、いつの間にか冷蔵庫の管理をするようになるまでには時間がかからなかった。それはいい。それはいいのだ。誰だって美味しいものを食べたい。料理の腕前に自信がある訳でもなかったから、彼が台所の主になるのは賛成だ。それはいい。それはいいのだ。
    1114