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    konatu_0722

    @konatu_0722

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    konatu_0722

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    🌌イベ後日談。
    甘くならない。刑の幸せを考えると桐がいることに帰結するんだけど、桐はもっといっぱいの幸せを刑に掴んでほしいから二人の着地点はずれる。
    話の着地点もどっかいった。

    #刑桐
    paulowniaWood

    「で、何があったんだ?」
    祭りを終えて寮に戻り、汗を流してさっぱりしたところを刑部に捕まった。
    「んー、聞いても多分信じないと思うぜ」
    星の中を列車で走った美しさは伝えたいが、話が突飛すぎる。さすがに言い淀むと、インド体験、と口にしてきた。
    あれも三上の夢に入るという不思議な体験だった。そうすると、受け入れる土台は出来ているのかもしれない。
    「なぁ刑部、お前逆上がりっていつできた?」
    だったら少し懐かしい思い出を、聞いてもらうとしよう。

    「…ってことがあってさ」
    時間にするとあっという間だった、それでも懐かしくて大切な思い出に触れて、センチメンタルな気分になったのかもしれない。隣に座る刑部の肩に、額を乗せる。そっと髪を撫でてくる感触に、笑みがこぼれた。
    「あの公園か、何度か行ったが初めて聞いた話だな」
    「忘れてたからな、俺も。なくなってからそう言えばってこと、あるだろ」
    桐ケ谷の家の近くにあった公園に、刑部を連れて行ったこともある。今はもうないそこで、トランペットを吹く場所を探しては一時期奏でていた。
    「お前があの列車に乗ったら、どこに連れていってもらえたんだろうな」
    同じ公園か、ウロボロスか、それとも桐ケ谷の知らないどこかが。見れるなら、隣で見て大切なものを分かち合いたい。
    「…たぶん、俺は乗れないな」
    「なんだ?いつもの自虐か?」
    顔を上げて睨むと、そうじゃないと手を握られた。
    「その列車が連れていく先は、もう触れ合えない大切なものなんだろう?俺はずっと、大切なものはこの手にあるからな」
    乗る必要がないんだと、笑われた。
    「んだよ、それ」
    笑う顔に、カチンとくる。
    絶対、今までにも泣きながら捨ててきた物はある筈なのに。桐ケ谷がいれば他はいらないと言う姿勢に腹が立つ。
    こいつはもっと、多くを望んでいいはずなのに。手からこぼれた幸せを、掴み直したっていい筈だ。
    「いつか絶対、その言葉後悔させてやる」
    至近距離で睨みつけると、目を丸くした刑部が仕方がないとでも言いたげに優しく笑った。
    「楽しみにしているよ」
    遠くで汽笛が鳴る音が聞こえた。
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    konatu_0722

    MOURNING日常推理モノが書きたいと頑張ったけど、面白くないのでここで供養
    「呪いって信じるか?」
     深夜午前二時。明かりを消して怪談話をするにはもってこいの時間だが、同じベッドに眠る刑部は興味の欠片もないようで欠伸をしている。桐ケ谷だって別段、怖い話をしようと考えたわけではない。ただ単に、ふと思い出しただけだ。
    「お前の口からそんな単語が出てくるなんてね。どうした、夜中のトイレに行くのが怖くなったか」
    「そんなんじゃねぇよ。ただこないだ大学の先輩に変なこと言われてさ」
     興味を持ったのか、枕に預けていた頭を腕に乗せてこちらを見てきた。
    「詳しく話してみろ」

     まだサブスクにも上がっていない話題の映画があった。興行収入何百億だかで、大学でも見に行ったと話題で持ちきりだった。あいにく桐ケ谷は見てなかったが、同じ学部の先輩が興味あるならDVDを貸してくれると言う。その先輩は二年に上がってから同じキャンパスで通う内に仲良くなり、来年は大学院に進むらしい。スタオケの練習と授業の兼ね合いが難しく、提出物に困っていると声をかけてくれたり、過去テストの情報をくれたりと工業部では珍しい部類の穏やかで気配りができる人で世話になっている。そんな先輩から、興味があるならと借りることができた。家に帰り早速観ようとパッケージを開けると、中は何の印字もされていないDVDが一枚。普通はタイトルが印刷されているのにおかしいなと思いつつデッキに入れようとしたところで、その先輩から電話がかかってきた。
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    konatu_0722

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     深夜午前二時。明かりを消して怪談話をするにはもってこいの時間だが、同じベッドに眠る刑部は興味の欠片もないようで欠伸をしている。桐ケ谷だって別段、怖い話をしようと考えたわけではない。ただ単に、ふと思い出しただけだ。
    「お前の口からそんな単語が出てくるなんてね。どうした、夜中のトイレに行くのが怖くなったか」
    「そんなんじゃねぇよ。ただこないだ大学の先輩に変なこと言われてさ」
     興味を持ったのか、枕に預けていた頭を腕に乗せてこちらを見てきた。
    「詳しく話してみろ」

     まだサブスクにも上がっていない話題の映画があった。興行収入何百億だかで、大学でも見に行ったと話題で持ちきりだった。あいにく桐ケ谷は見てなかったが、同じ学部の先輩が興味あるならDVDを貸してくれると言う。その先輩は二年に上がってから同じキャンパスで通う内に仲良くなり、来年は大学院に進むらしい。スタオケの練習と授業の兼ね合いが難しく、提出物に困っていると声をかけてくれたり、過去テストの情報をくれたりと工業部では珍しい部類の穏やかで気配りができる人で世話になっている。そんな先輩から、興味があるならと借りることができた。家に帰り早速観ようとパッケージを開けると、中は何の印字もされていないDVDが一枚。普通はタイトルが印刷されているのにおかしいなと思いつつデッキに入れようとしたところで、その先輩から電話がかかってきた。
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