レナ編だとエル大陸漂着時独りなんだよねクロード 頬に触れる濡れた感触が覚醒を促した。目を開けようとするが、酷く痛んでままならない。目だけではない。全身を痛みと倦怠感とが支配している。
沈みそうになる意識を叱咤して目蓋を押し上げると、傾いた視界に彩度の低い暗い世界が飛び込んできた。
砂地に手を突いて、軋む身体を起こす。髪に、目尻に、衣服に纏わりついた細かなつぶてが、ぱらぱらと零れ落ちて行った。
辺りを見渡す。クロードが倒れていたのは浜辺だった。視覚が認識した途端、鼓膜が徐々に周囲の音を拾い始める。荒れ狂う黒い夜の海鳴りは、獣の咆哮にも似ていた。
少しずつ、クロードは自分が置かれた状況を理解した。立ち上がり、改めて周囲の気配を探る。何処かに仲間がいる筈だ。
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