エトール・セントラル番外編♪ピンポン
軽快なチャイム。この部屋の入居者には似つかわしくない軽やかで爽やかな音色。このチャイムを鳴らす度に一瞬 戸惑う。ブーっていうホラ貝だかサイレンだかって音色のチャイムの方が合っている気がして。
応答がない。
持っている合鍵で開錠する。
ちらっと青木の顔が頭を掠める。‥あいつが知ったら血相変えそうだな。
僕がタジクの部屋の合鍵を持っているのも 1人で入ろうとしているのも
‥それが 初めてではない事も。
タジクの社会復帰に関しては様々な懸念もあったが、僕が目を離さない事、監視役の人間を送り込む事などを条件に 今 彼はエトール・セントラルの料理長として忙しい日々を送っている。
僕としても 何処かわからぬ所へ潜り込まれてしまうより、目の届く所にいてくれる方が都合が良かったのだ。
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