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    A_wa_K

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    大観覧車の話(https://twitter.com/A_wa_K/status/1541424145636139008?s=20&t=-cBZM2woR16x2sIP9JDm_Q)の終着点。

    廻る先「……」
    「少年?」
     取材先を忘れてしまったという記者と会話を交わして以降、少年はどこか上の空であった。思わずアオガミが声を掛けるとはっとしたように彼を振り返り、ぎこちない笑みを浮かべる。
    「ごめん、何でもないよ」
    「何でもないようには見えなかった」
    「最近のアオガミは踏み込んでくるね」
     困った表情で、弾んだ声で僅かに表情を緩ませる少年。だが、戸惑いは晴れることなく、少年は頭上を――泡沫の東京の空を見上げるのであった。
    「俺も、どこかに行く約束をして気がするんだ」
    「……」
    「思い出せないんだけどね」
    「少年」
     ゆっくりと、アオガミへと向けられる緑灰色の双眸。
     アオガミは、伝える必要はなかった。自覚してしまった“欠損”に戸惑う少年に言うべきではないと理性的には判断を下していた。それでも、アオガミは。
    「私は、覚えている」
     ――受注したクエストに難航し、東京に帰還出来た時刻が22時を過ぎていたこと。
     ――大観覧車の営業時間は過ぎていたこと。
     ――それでもとふたりで足を運び、ナホビノの姿になって輪の頂点まで登ったこと。
    『次は、ちゃんと乗ろうね』
     ――宵闇の中、微笑んだ少年の姿を。
     アオガミは、覚えている。
    「そっか」
     アオガミの懸念に反し、少年の声音は至って穏やかで。
    「なら、よかった」
     ありがとう、と微笑む少年の顔はあの日にアオガミが見た表情そのままで。
    「……ああ」
     アオガミはただ、隣に立つ少年の手を握りしめる事しか出来なかったのである。
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