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    A_wa_K

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    140文字SSのお題(https://shindanmaker.com/587150)様から。

    はい、あーん? 少年には何の意図もなかった。
     あったとするのならば、それは共有したいという想い。大事な相手と感動を分け合えたらという、質素な願い。
     ティラミスかき氷を一口分掬ったスプーンの向こうにあるのは、珍しく驚いた表情のアオガミだ。
    (あっ、しまった)
     ここは、都内のとある喫茶店。"虚空"に向かってスプーンを差し出してしまった少年は、 己の行動を即座に反省して手を戻そうとした。少年の行動は"視えない"人達からすれば怪しいと判断されてしまう。これでは、アオガミにも注意さててしまうと。
     ――しかし。
    (え?)
     戻そうとした右手をアオガミの手に掴まれ、少年は驚いて目を見開く。
    「……なるほど、甘い」
     少年が分け合いたいと想ったアオガミはスプーンに乗っていた甘味を口に含み、簡潔な感想を述べるのであった。
     ここは、都内のとある喫茶店。満席ではないが、混んでいる店内。
     もしかしたら、誰かに見られてしまっているかもしれない。
     だが、そんな心配は少年の脳裏から霧散していた。彼の右手に残るアオガミの手の感触。そして、空っぽになったスプーンの先。
    「甘いだろ?」
    「ああ」
     俺もそう思う、と少年は微笑むのだった。
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