パンツの日 伊地知潔高は困惑していた。
「あの、五条先輩……」
「………………」
「せめてなにか喋ってもらえませんか……!」
ただひたすらに無言でじっと自分のことを見つめてくる特級呪術師。
先程までは夏の暑さで汗をかいていたはずの体が、緊張やら恐怖やらなんやらで冷や汗を流す。
キラキラと青く光る六眼はとてもきれいだが、それがまばたきもせずに自分をじっと見つめているのはあまりにも圧が強すぎて単純に怖い。
泣き虫は卒業しようと決めたのに。
じわりと目の奥が熱くなっているのを感じながら、伊地知は自分がいったい何をしてしまったのかと自分の膝を見つめるのだった。
さて、実際のところ伊地知が何か変なことをしたのかと言えばなにもしていない。
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