大掛かりな浄化をして暫く経った頃暁人は目を覚ました。
「…うっ…こ、こは…」
「お兄ちゃん!」
小さく呻き身を起こすと麻里が手助けしてくれた。
そしてあたりを見渡すと見慣れている本殿で暁人は自分が運ばれたのだと理解した。
「もう!心配したんだから!」
「ごめん…」
布団の傍らに狐の面があるのに気付くと暁人はそれを取り右目を隠す様面をつけ、麻里から御神水の入った水筒を受け取ると中身を飲み干した。
「ふぅ…やっぱりここの御神水が1番だな」
「あははっそうだね」
御神水を飲んだ後暁人の体に光の粒子が集まり少しだけだが体力が回復したのを感じる。
「少し、外の空気が吸いたいな」
それを聞いた麻里は頷き支え無しで立ち上がれる様になった暁人の後を追った。
2人が辿り着いた場所は拝殿の階段前。暁人は麻里と向き合う。
「お兄ちゃん…本当にもう大丈夫…?」
「あぁ、心配かけてごめん…僕が気を失った後事教えてくれる?」
そう言うと2人は両手を絡め目を閉じて額同士を重ねた。すると暁人が気を失ってから目覚めるまでの麻里の記憶が暁人の脳に流れ込んできた。
……KK…パスケース…家族…
2人は暫く情報の共有をしそれが終わったと同時に2人は目を開いた。
「そう…KKに…」
「うん…どうするの…?」
「それは……そうだね…もう、潮時なのかもしれないな…」
暁人は悲しそうな顔で笑い麻里の頭を撫でると2人して本殿に戻った。
KKがいたなんて気付くことなく…。
本殿に戻ると麻里と別れ自分の部屋へ入り扉を背にズルズルと蹲った。
「KK…あの約束は…嘘だったの…?それとも…子供だったから…?」
暁人は自分の勾玉を握り締め朝を迎えるまで涙を流し続ける。
翌朝神主が暁人の扉を数回ノックし「お二人がお帰りになるそうです」と伝えるも暁人は「やる事があるから行けません」と返し神主が立ち去るまで動かなかった。
神主が立ち去ると部屋の扉を開き御神木のある場所に行こうとしたら麻里が後ろをついて来ながら声を掛けてきた。
「おはようお兄ちゃん」
「おはよう麻里」
暁人の目元が泣き腫らして赤くなっているのを見ても何も言わずに麻里はいつも通りに接してくれた。それをありがたいと思いながら共に御神木の前に着くと太い枝に飛び乗った。
「本当に諦めちゃうの?」
「KKには家族がいる、もう、彼にとって僕は必要ない…」
「そう…なら私もお兄ちゃんに着いて行くよ、ずっと、私達は兄妹なんだから」
「麻里……ありがとう」
KKと絵梨佳が立ち去る姿を見ながら何かを決意した2人を遠くから何かが見ていたのに気付くことも無く…。
「みつけた」