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    Hakuaisan(GWT)

    @Hakuaisan

    二次創作てんこ盛り野郎

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    Hakuaisan(GWT)

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    ある覆面レスラーの話

    次→https://poipiku.com/2688419/9271862.html

    事の始まりは声をかけられたことだった。
    「あの、私こういうものでして」
    何かの勧誘かと思い適当に済ませようとしたが、渡された名刺を見て目を見開く。
    「プロレス?」
    プロレスラーの勧誘だったのだ。
    「はい! 是非一度リングの上で闘ってみませんか!」
    そんなわけで俺はプロレスの世界に飛び込んだ。・・・いや嘘です。普通に働きたくなかった。圧が強すぎて断れませんでした。俺が所属している団体はそこそこ歴史のある中堅どころだ。規模もそれなりに大きく、トップレスラーになるとテレビにも映るくらい有名になるらしい。だがそんなことはどうでもよかった。練習はきつかったけどなんとか付いていけたし、何より先輩たちが優しかった。
    「お前よく頑張ってんな」
    「はい、妹のためにも頑張らないと」
    「そうか。まあ無理すんなよ」
    この人たちみたいになりたかった。強くて優しくて頼れる存在に。ある日コスチュームが決まったとの知らせを受け、更衣室に向かったのだが、見せられたのは和装のようなコスチュームだったのだが、レオタードに短いスカートを合わせたもので、レオタードと言うよりハイレグに近かった。
    「なんですかこれ!?」
    「いいじゃん可愛いよ? ねーみんな」
    周りにいる先輩たちの反応を見る限り満場一致の意見らしい。
    「大丈夫だって。似合ってるからさ」
    「ええ・・・」
    実際に着てみるとサイズは合っているが、レオタードとスカートのせいで正直恥ずかしかった。おまけに狐を模したマスクまでついて着けてみると口元が露出したデザインだった。鏡で見るとなんとも破廉恥な感じに見えて仕方なかった。
    「やっぱエロいな」
    「やめてくださいよ」
    「あ、やべそろそろ時間だ。行こうぜ」
    先輩たちの後に続いて会場に向かうとそこには大勢の観客がいた。リングアナがマイクを持って叫ぶ。
    『本日は当団体へのご来場誠にありがとうございます!それでは選手入場です!』
    盛大な歓声と共に俺はリングインした。
    ****
    《謎の狐マスク、大会連覇。名は女狐》
    《性別不明のレスラー『女狐』チャンピオンを完封》
    《女狐、ノーロープに挑戦も勝利!》
    《女狐、今度はレスラーを失神させました!》
    《女狐、次の相手は中国から参戦します!》
    『今大会最注目選手です!』
    ネットの記事で噂になっているレスラー『女狐』、きわどい和服のようなコスチュームでプロレスをする選手で、そのファイトスタイルと美貌からファンも多いらしい。だがその正体は誰も知らなかった。
    「KKも興味あるのか?」
    「まあな」
    ベンチで休憩しながらスマホのニュースサイトを眺めていると、ふと目に留まる記事があった。
    《女狐に挑戦状を叩きつける!》
    「は? なんだこれ」
    記事を読んでみると、大会前に出場した試合でレスラーが失神してしまい、その対戦相手が棄権扱いになったことに腹を立てた選手が女狐に対して指名マッチを行うことを宣言しているらしい。
    「面白そうだな、ちょっと観戦しに行こうぜ」
    試合当日、会場に到着するとすでにリングの上では試合が行われていた。
    「お、やってるな」
    狐を模したマスクを着けた女狐は相手を翻弄して、終始優位に試合を進めていった。相手のレスラーは体格が良くパワータイプなのだが、女狐はその動きに合わせるように戦い、一瞬の隙を突いて関節技を決めると一気に勝負を決めてしまった。
    《決まった!勝者は謎のレスラー『女狐』!》
    試合後のインタビューでもマスクを外さず素顔が見えないミステリアスさも相まって観客からは大歓声が上がった。
    「面白そうだな」
    「なんだ?挑戦状でもだすのか?」
    俺はリングの上で手を振っている女狐をにらみつけた。
    「ああ、ぶっ潰してやる」
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    recommended works

    32honeymoon

    MENUジューンブライド小説、後編。
    初夜後から式を挙げるまでの話になります。
    直接的な描写はありませんが、凛子と恵梨佳、エドとデイルが恋仲のように書かれる部分があります。また、デイルの性格(セリフ)にある程度の捏造がありますのでその辺注意。
    雨が連れてきたはじまり<後編>新たなる決意、そして始まり【第四夜◇◆◇ 重(かさね)】

    「ん・・・・・」
    優しい重みで暁人は目を覚ました。身じろぎしてほんの少しだけ重いまぶたをひらけば、目の前に裸のまま自分を抱きしめて眠るKKの姿がある。
    途端に昨日のことを思い出して、暁人は思わずもう一度ぎゅっと眼を閉じた。

    (・・・・あんなの反則だろ・・・!)

    昨晩ーいや正確にはつい先刻まで。散々啼かされて喘がされて、身体の奥の奥まで何度も穿たれて。
    思い出せばそれだけで、また身体が反応してしまう。待って待って待ち焦がれて、やっと得たものは、愛されているという実感そのもので、そして何よりも。

    (・・・こんなに、気持ちいいなんて)

    ほう、と思わず吐息が漏れる。本当なら昨日はまずは「お試し」であって、またこれから少しづつ何度も身体を重ねて気持ち良くなって行ければいい、なんて思っていたし、そうKKにも言われていたから安心していたのに。
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    リキュール

    DONE日本ゲーム大賞優秀賞おめでとうございます!(遅刻)
    おめでたいと祝われるK暁です。本編後KK生存if、『黒猫』より少し前。
    愛したくて仕方がないが我慢していたKK×子供扱いされたくない暁人のお話。
    吉事あれば腹の内を晒せ「(おや、ちょうどいいところに)」

    ふわりと浮かぶ猫又が調査帰りの僕たちの元にやってきて尻尾を揺らした。暗い路地裏、夜も遅いこともあって人通りはないため、周囲を気にせずに堂々と触れる。耳元を撫でると、顔を擦り寄せうっとりとした表情でにゃぁんと鳴いた。これを人がいるところでやると虚無を撫でるヤバい人になってしまうので注意しなくてはならない。あれは結構恥ずかしい。

    あの夜が明け、消えていた人たちが帰ってきた。街の活気が戻り再び多くの人が行き交う渋谷になってからというもの、気がついた時には既に猫又たちはコンビニや屋台から姿を消していた。まあ人間がいなくなりこれ幸いと店を乗っ取っていただけなので、人が帰ってきてしまえば返さざるを得ず仕方がないと言えばそれまでで。だからもう会うことは無いのかと寂しく思っていたら、人気のない夜道や路地裏でひょこっと顔を出すようになったのだ。驚いたが、またあの可愛らしい鼻歌が聞けると思うと自然と顔が緩んでしまう。彼らはいつも見つけられるわけではない。気紛れに現れて、たまに撫でさせてくれて、掘り出し物を売買する。この気分屋な感じ、猫はいつだって可愛いのだ。
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