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    ことにゃ

    @kotonya_0318

    各種サイトで細々と活動中。19歳。
    いろいろ垂れ流してます。うちの子語り多め。
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    ことにゃ

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    バーベナの花が咲く頃にの派生作品のノベルゲームのシナリオ 導入パート

    #バーベナの花が咲く頃に
    whenVervainFlowersBloom.
    #スターチスを求めて
    inSearchOfSturtis

    スターチスを求めて① 期末試験も終わって、後はダンスパーティーが残るばかりのモーンストロム魔法学校。僕は、この魔法学校に所属する4年生だ。寮は、黄寮なんて呼ばれるオウィス・フラーウム寮。成績だって平均程度で、特に目立つこともないような、一般的な生徒だ。
     そんな僕は何故か、寮長会議の場に呼び出されていた。一体、何が原因で呼び出されたんだか、僕には全く見当がついていなかった。
     どぎまぎしながら、コンコンコンとノックをする。

    「入れ」

     中から聞えたこの高圧的な声は、赤寮のラディム・バルトシーク寮長だろうな。思いながら、ドアを開ける。

    「失礼します」

     扉を閉めて、言ってから一礼。なんだか普段よりも、寮長達から注がれる視線が鋭い気がして心臓が痛い。

    「あの、僕は何故呼び出されたのでしょうか……?」
    「誰が発言を許可した」

     間髪入れずに言われたラディム寮長からのその言葉に、思わず狼狽える。それが表情に出たのか、緑寮のローレンス・ボールドウィン寮長がなだめる様に話し始める。

    「そう威圧されては話辛くなってしまうだろう、Green boy?もっと穏やかに行こう」
    「そうですね。何より、彼には事情をきちんと聞かなければなりませんから」

     そう続けたのは青寮のアメリア=メイ寮長だ。自分を擁護してくれる人が2人居ることに、内心でほっと息を吐く。

    「では、本題に入りましょうか、先輩方」
    「白寮風情が仕切るんじゃない」

     そう切り出したのは、白寮のユリウス=ウォーカー寮長だ。穏やかな笑みの彼は、僕と目が合うとにこりと笑った。……ラディム寮長の発言は、怖いから聞こえなかったことにして。

    「そうだよね、いい加減彼にも事情を説明しなきゃだから……」

     人当たりの良い笑みを浮かべつつ同意を返したのは、我が黄寮のハピネス・デスペアー寮長だ。……本当に、全寮長がこの場に居るんだな、と今更ながら実感が追い付いてくる。本当に、僕はどうしてこんな場所に呼び出されているんだろう。

     こほん、と場を改める様にアメリア寮長が咳払いをした。続けて、彼女が言う。

    「あなたには、図書館の持ち出し禁止の本を持ち出した、という容疑がかかっています」

     一瞬、言われたことが理解できなかった。そんな僕のことなんて構わずに、アメリア寮長は続ける。

    「付け足すならば、持ち出された本は闇魔法についても記載されているとても重要な書物です」

     闇魔法、という単語に、どうにか脳みそが動き出す。

    「そんな、何かの間違いです!」
    「喧しい、喚くな」

     ラディム寮長からの言葉に思わず口を閉じる。でも、このまま黙り込んじゃだめだと自分を鼓舞して再び抗議を始めた。

    「僕は、そんなことはしていません!」
    「しかしながら、貴女が件の本を持って歩いている目撃情報があったのですよ」
    「そんな……!」

     先ほどは庇ってくれたアメリア寮長からの言葉に、思わず泣きそうになった。味方だと思っていた相手からのその言葉は、必要以上に重い。

    「でも、僕はやっていないんです!信じてください!」

     それでも、僕は抗議を辞めるわけにはいかなかった。だって、これで認めたら、下手をすれば闇魔法を使った疑惑までかけられてしまう。そんなことになったら、家からも、魔法界からも追放されて……いや、最悪処刑だ。そんなの、まっぴらごめんだ!

    「じゃあ、こういうのはどうかな」

     大きい声では無いのに、良く通る声が響いた。ユリウス寮長のものだ。視線がそちらへ向く。
     彼は、先ほどと同じように僕に微笑みかけて言った。

    「君が自分で自分にかかった容疑を晴らせば良い。そうだろう?」

     ……それは、つまり。

    「ああ、いいんじゃないかい?それなら、君も自分の無実を証明できるし、こちらも捜査する必要が無い。ウィンウィンだろう?」
    「ですが、これは先生方から指示されたことですよ?そんな勝手に……」
    「でも、本人はやってないって言ってるし。それをそのまま犯人にするのはどうかと思ってたんだ」

     寮長たちが口々に言う。これは、もしかして、どうにかなったりするんだろうか。
     不機嫌そうな顔のまま黙り込んでいたラディム寮長に目を向ける。すると、彼は鋭い視線を僕に向けた。それに怯みそうになって、でも必死でその目を見返す。
     ラディム寮長が、口を開いた。

    「三日だ。お前に猶予を与えてやろう。それまでに精々自分が犯人ではないという証拠を集めてくることだな」
    「あ、ありがとうございます!!」

     腰を折って、深く礼をする。ふん、とラディム寮長が興味無さげに鼻を鳴らす音が聞こえた。

    「……はぁ、では、三日後。再び寮長会議を開きます。その時に、貴方が犯人ではない証拠を持ってくるか、真犯人を連れてきて自白させるかしてください。いいですね?」
    「分かりました」

     アメリア寮長の言葉に、神妙に頷く。

    「じゃあ、君はもう下がって構わないよ。犯人捜し、頑張ってね」
    「はい!」

     ハピネス寮長からの言葉に返事を返して、「失礼しました」と寮長会議が行われている部屋を後にした。

     斯くして、僕は、図書室から本を持ち出した真犯人を探すことになったのだった。
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