Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    1405Barca

    @1405Barca

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 8

    1405Barca

    ☆quiet follow

    一人前扱いされたいカイと弟離れできないビハンの話。弟を見ると煙草の火を消してしまう癖のあるビハンを書こうとしたらいつの間にか二人がキスしていた。ビハン×カイリャン要素あります。閲覧注意。

    #ビハン×カイリャン

    それは愛ってやつだよ「御苦労。報告を聞こう。」

     樫の古木の下、じゅう、とほぼ新品の葉巻を足元に押しつけビハンは顔を上げる。兄のこの癖が、カイは嫌いだった。幼い頃は意味も分からずなし崩しに話しかけていたが、今や成人し正式に燐塊に所属する一暗殺者。髭を蓄え肉も育ったというのに、兄はこちらの姿が見えた途端煙草を消してしまう。未だ繰り返されるその所作に『お前は未だ半人前だ』と言われている気がしてカイは眉を寄せる。

    「頭領、以前も申し上げましたが煙はそのままで結構です。フロストやスモークの報告では吸われているでしょう。私も同様に接して頂きたく。」

     貴方様の許可さえあれば一本同伴しますよ、と続ければ怪訝な瞳で覗き込まれる。彼の水面の如き透明な碧眼にこの幼稚な羨望が映ってしまわぬように、目を細めた。目つきは悪くなっているだろうが、完全に自己防衛策だである。数秒の間じっと見つめ合い、結果己のやましさから先に目を逸らしたのはカイだった。

    「....何か。」
    「妬いたか。」
    「は?な...っ?」

     ふ、と口元を綻ばせる兄に胸ぐらを掴まれ、カイは雪崩れるように引き寄せられた。何をと問う前に、視界が彼の碧で一面染まる。げ、と身を翻す間もなく冷えた粘膜が擦り寄せられカイの咥内は燻された渋みで満たされた。最悪だ、と兄の厚い胸板を叩き抵抗するが、染み付けるような分け与えるような舌の動きは止まらない。稀に彼が奇行に奔ることはあったが、人目につく場所で堂々と行われるのは前代未聞だ。兄は好奇から、弟は体裁を失う恐怖から互いの目を離せない。
    抵抗を続けながらカイは思う。以前もこうされた事があった。ビハンの腰ほどの背丈しかなかった時期に、同じように苦味を分け与えられたのだ。あの時は初めて見る葉巻に興味を持ち『それおいしい?カイも食べる!』と手を伸ばし求めたのだったか。
    過去を回想すれば益々子供扱いされている事実に拍車がかかる。舐めやがって、と苛立ちのまま兄の喉仏を押してやっとの事解放された。

    「大哥!!」

     名残惜しそうになお唇を寄せる兄を掌で押しカイは息を整える。最後腰を固定されたのは危なかった、あの日はそのまま上体を反らさ渋いような甘いような兄の唾液を嚥下させられた覚えがある。かつての所業に粟立つ二の腕を摩り少し高い位置の双眸を見やれば、そこには嘲笑と揶揄の青が灯っている。

    「意味不明なことはやめてくれ、昼間だし外だぞ大哥....」

     喉をくつくつと鳴らし笑う兄に反省の色はない。彼は一度加虐や揶揄のスイッチが入ると後が長い。いつまでもいつまでも小馬鹿にして来るのは経験から知っていた。この状態の兄を相手にしても埒があかないと、唇を拭い背を向けると腰帯の上端をくんと引かれた。一応頭であるので報告は後ほど書簡でと振り返らず言うが、兄の指は帯から離れない。まだ何かあるのかとわざとらしく息を吐く。これから三日は続くうざ絡みを思うと気が重いばかりに、カイは兄の動きに気づかなかった。
     音もなくぬっと背後から眼前に伸びるビハンの手にはカイがここに来る前に買ってきた煙草が握られている。ここで吸うだろうと帯に差し込んでいた物で、別段隠す気もなかったものだ。帯を弄っていたのはこれを見つけたせいらしい。これがどうかしたのか?と肩越しに見上げると、氷点下の瞳に射抜かれた。訓練でしくじった時に向けられてきた絶対零度の威圧が何故今。カイは突如激情を向けられ動けないでいると、兄の無骨な指の間、氷塊と化した煙草がゆっくりと握り潰される。ぱきぱきと繊細な音を立てて見せしめの如く粉となるそれを、カイは唖然と眺めることしかできない。

    「お前は、吸うな。」

     耳元に冷気と警告とを吹き込まれる。何故と聞く事は許されない絶対の命令に、首を縦に振るしかない。それを確認して、ビハンは冷気と圧を霧散させた。

    「吸いたくなれば声をかけろ。またああして注いでやる。」
    「絶対嫌だ....」

     心底勘弁といったカイの表情にビハンはひとしきり笑い、そういえばと顎で報告を促す。流されるまま報告を告げながら、カイは喫煙についてスモークになんと相談しようかと思慮していた。数刻後、親友に頭領はお前が好きすぎるなぁと呆れられる事を彼はまだ知らない。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ❤❤❤❤😭😭😭🙏🙏😍💯
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    1405Barca

    REHABILI現パロ尾鯉のギャグです。赦して。
    別に無趣味というわけではない。
    私大入学を機に都内に越してはや一年、灰の降らぬ生活にも慣れた今日この頃。ゼミに定期的に顔を出し、アルバイトも適度にこなし、サークルに入らない代わりにと近場の道場に度々足を運ぶ日常は同世代から見ても怠惰ではない。しかしながら大学生活二度目の春を迎えた鯉登音乃進にとって、それは惰性と断じる他ない日々だった。
    そもゼミ活動が本格化するのは3年次からであって、今は文献の読み方・引用のやり方など基礎的な学習であるし、アルバイトは音乃進と同じく進学と共に上京し、今では大手の営業職に就く兄から紹介された家庭教師をそれなりの頻度でこなすだけ。幼年から続けてきた示現流も、人目の多い都会の道場で猿叫することは叶わず。つまるところ、どれも時を忘れて熱中できるほどのものではないのだ。あと一年待てばゼミも本格化し憧れの鶴見教授と個人面談もあるのだが、彼のよかにせ教授は現在ロシアで調査発掘に勤しむ多忙な日々を送っていると聞く。院生でも声を掛けにくいと聞く熱中状態の鶴見教授に、ほやほやの一年目ゼミ生がアクションを起こせるはずもなく、画面びっちり敬愛と近況で埋め尽くしたメールを削除して、肌寒い春の夜風に撫でられながら音乃進は自室のパソコンの前で小さくキェェと鳴いた。
    4006

    1405Barca

    PROGRESS収録予定のカノウの短編です。
    冒頭のみ。
    その在り方は輝きを増して女は嫌いだ。細いだけの身体を着込んだ厚化粧。善良であることを売り出すしか能のないカモ。声高にわめくスーツのおとこ女。それら全てを、カノウは物理的な弱さ、脆さのために嫌悪してきた。だが今になって、それらを凌駕する悪性に鼻が曲がりそうになっている。
    何だってんだ、クソ。特殊部隊で殺人も犯したであろう御身分で、今更躊躇する馬鹿がいるか。
    カノウにとっての正義は強さと搾取だった。強いものが勝ち弱者から奪い、栄える。自然界ではこうはいかないらしいが、人間はそれでいい。弱肉強食の明瞭な線引きが心地よいと感じているし、その明暗が際立つことに美を見出してきた。強者はとことん圧倒的に、傲慢に、残忍であるべきだ。そうあるために命も権利も投げ出して奉仕することこそが弱者の喜びであり、この世の美しさを邁進させる崇高な使命なのだと信じてやまない。ではどうやって人を二色に塗り分けるのか、それは闘争に他ならない。どれほど強そうでも、どれほど弱そうでも、実際にぶつかり合い、殺し合う。どれほどのハンディキャップがあろうとも舞台に立った相手は対等であり戦友であり、その高潔さと流した血の尊さに免じて、徹底的に叩き潰す。美しき選抜の聖戦に多くの人間は見向きもしない。特に女達は。だからカノウは女を嫌い憎んできた。
    897

    1405Barca

    PROGRESS収録予定のハルミの短編です。冒頭のみ。
    童の歓声、泡沫の夢朝の空気はさっぱりと清く張り詰めて、何気ない作業にも力が満ちる。この所暑い日が続いていたから、今朝の涼やかさは特に心地良い。
     ハルミはそう思いながら、今日も畑を手入れしていた。数十年の混乱と大戦を経て白井流一派はようやく山深い庵に辿り着き、また世も統治者を得て規律と平穏を取り戻しかけている。未だ敵の多い白井流が市井に溶け込むのは困難だが、食糧や物品の調達に時折蚤の市に顔を出せば、日を跨ぐ事に品が増え、人が増え、活気が増しているのは肌で感じる。まだ世に溶け込めぬ身であっても、人々の顔に笑顔が芽吹くのを彼女は我が事のように祝福していた。
     もしかするともしかすると、木の枝でちゃんばらを楽しむ子供達に我が子が加わるのも遠くないのではないか。次は十兵衛も連れて買い出しに行こうと決め、稽古に勤しむ坊に渡す秘密の甘味を思い浮かべて笑顔が溢れる。今日もくたくたに疲れ帰ってくる我が子に滋養の粥を食べさせる為、陽が中天に掛かるまでには市で見つけた種を撒くつもりだ。さくさくと青々した小松菜を収穫していると、遠くから愛しい家族、ハンゾウとジュウベエが並んで帰ってくる。昔はこの腕に収まる程小さかった我が子も、今や桶ひとつ軽々運んでくるのだから驚いたものだ。父の背に近づき、並び立つ日も近いだろう。今から打乱箱を使うのが楽しみで、今晩あたりあの人に諱を聞いてみようかしらと笑みが溢れる。妹の世話も進んで担う長子の姿に成長の兆しを見つけ、ハルミは温かな気持ちで土いじりに更に精を出す。
    722

    1405Barca

    DONE一人前扱いされたいカイと弟離れできないビハンの話。弟を見ると煙草の火を消してしまう癖のあるビハンを書こうとしたらいつの間にか二人がキスしていた。ビハン×カイリャン要素あります。閲覧注意。
    それは愛ってやつだよ「御苦労。報告を聞こう。」

     樫の古木の下、じゅう、とほぼ新品の葉巻を足元に押しつけビハンは顔を上げる。兄のこの癖が、カイは嫌いだった。幼い頃は意味も分からずなし崩しに話しかけていたが、今や成人し正式に燐塊に所属する一暗殺者。髭を蓄え肉も育ったというのに、兄はこちらの姿が見えた途端煙草を消してしまう。未だ繰り返されるその所作に『お前は未だ半人前だ』と言われている気がしてカイは眉を寄せる。

    「頭領、以前も申し上げましたが煙はそのままで結構です。フロストやスモークの報告では吸われているでしょう。私も同様に接して頂きたく。」

     貴方様の許可さえあれば一本同伴しますよ、と続ければ怪訝な瞳で覗き込まれる。彼の水面の如き透明な碧眼にこの幼稚な羨望が映ってしまわぬように、目を細めた。目つきは悪くなっているだろうが、完全に自己防衛策だである。数秒の間じっと見つめ合い、結果己のやましさから先に目を逸らしたのはカイだった。
    1759

    related works

    1405Barca

    DONE一人前扱いされたいカイと弟離れできないビハンの話。弟を見ると煙草の火を消してしまう癖のあるビハンを書こうとしたらいつの間にか二人がキスしていた。ビハン×カイリャン要素あります。閲覧注意。
    それは愛ってやつだよ「御苦労。報告を聞こう。」

     樫の古木の下、じゅう、とほぼ新品の葉巻を足元に押しつけビハンは顔を上げる。兄のこの癖が、カイは嫌いだった。幼い頃は意味も分からずなし崩しに話しかけていたが、今や成人し正式に燐塊に所属する一暗殺者。髭を蓄え肉も育ったというのに、兄はこちらの姿が見えた途端煙草を消してしまう。未だ繰り返されるその所作に『お前は未だ半人前だ』と言われている気がしてカイは眉を寄せる。

    「頭領、以前も申し上げましたが煙はそのままで結構です。フロストやスモークの報告では吸われているでしょう。私も同様に接して頂きたく。」

     貴方様の許可さえあれば一本同伴しますよ、と続ければ怪訝な瞳で覗き込まれる。彼の水面の如き透明な碧眼にこの幼稚な羨望が映ってしまわぬように、目を細めた。目つきは悪くなっているだろうが、完全に自己防衛策だである。数秒の間じっと見つめ合い、結果己のやましさから先に目を逸らしたのはカイだった。
    1759

    1405Barca

    DONEビハンの最後の手は何...?なんなの...?という世界七不思議と強火ジョタ兄さんのカイリャンラブコールが内混ぜになって産まれたやつです。最後の闘いのシーンで完全妄想しました。色々と注意。
    走馬灯に照らされて古い記憶の唐突な再生は、懐古による哀憐や葛藤を必要としないビ・ハンであれ起こる。彼の脳内で再生される過去は、決まって弟との出会いである。山深い集落の因習らしい、冬の平穏を祈る為の生贄だった彼の手を取ったあの日。集落の人間は燐塊の指示により殲滅し、残党を求め洞窟に足を踏み入れた。黴臭い祭壇に縛り上げられた、死に追い立てられ狂乱する村人に好き勝手打たれて血達磨の幼児に、同じエデニアの香りを見つけた。全く無意識に邪魔者を殺し尽くし、吸い寄せられるように少年に近づく。瞬く間に氷漬けにされた暴徒を見渡し、『かみさま?』と問う骨張った身体を抱え上げた時、あろう事かビ・ハンは危うく彼を振り落としかけた。彼に触れた手が、全く未知の感覚によって粟立ったのだ。訳もわからず抱えられた子供は暴れる事なくビハンの胸に収まった。そんな小さな身体からじわじわと染み渡り、己が拍動をこんかぎり沸き立たせるそれが何なのか。困惑し少しばかり佇んでしまった。
    1520

    recommended works

    1405Barca

    DONE一人前扱いされたいカイと弟離れできないビハンの話。弟を見ると煙草の火を消してしまう癖のあるビハンを書こうとしたらいつの間にか二人がキスしていた。ビハン×カイリャン要素あります。閲覧注意。
    それは愛ってやつだよ「御苦労。報告を聞こう。」

     樫の古木の下、じゅう、とほぼ新品の葉巻を足元に押しつけビハンは顔を上げる。兄のこの癖が、カイは嫌いだった。幼い頃は意味も分からずなし崩しに話しかけていたが、今や成人し正式に燐塊に所属する一暗殺者。髭を蓄え肉も育ったというのに、兄はこちらの姿が見えた途端煙草を消してしまう。未だ繰り返されるその所作に『お前は未だ半人前だ』と言われている気がしてカイは眉を寄せる。

    「頭領、以前も申し上げましたが煙はそのままで結構です。フロストやスモークの報告では吸われているでしょう。私も同様に接して頂きたく。」

     貴方様の許可さえあれば一本同伴しますよ、と続ければ怪訝な瞳で覗き込まれる。彼の水面の如き透明な碧眼にこの幼稚な羨望が映ってしまわぬように、目を細めた。目つきは悪くなっているだろうが、完全に自己防衛策だである。数秒の間じっと見つめ合い、結果己のやましさから先に目を逸らしたのはカイだった。
    1759

    かしりべ

    MOURNING養父尾鯉ボツシーン

    睡眠姦→レイープ→なんだかんだ諭される
    →また睡眠中にイタズラして開発済みの体を焦らして焦らして焦らして焦らしてとうとう挿入を懇願させる予定だったけど、諭されたのにまたするんかい!!となってしまったので、こっそりじゃなくて堂々と口説くことにしました。
    養父尾鯉ボツシーン 唇が触れて、離れる。
    「寝るか」
     律儀に日課をこなした養父は、性的な雰囲気をかき消すように明るい声を出した。
     ふわりと残り香が鼻をくすぐるが、動いた空気によりすぐ霧散した。階段を上がる後ろ姿を黙って見上げる。
     待つ条件として求めた「親愛のキス」は毎日の日課となっていた。加えて、追加の要求もなんとか通した。
     続いて階段を上がった尾形は、躊躇なく養父の寝室に入り、いつものように水なしで飲める錠剤を服用するところを見せた。鯉登には医師から処方された睡眠導入剤だと言っているが、ビタミン剤とすり替えてある。
     睡眠障害については、夏よりは回復したものの治ってはいなかった。なので、服用は続けている。薬が効いて眠りにつくのは服用十五分後である。寝間着のポケットにいれたそれを、後でこっそりタイミングをずらして飲むのだ。
    2037