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    羽神弓槻

    @u_ga_yuzuki_miz
    封神(楊太)魔道祖師(忘羨)その他色々らくがきしております。

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    羽神弓槻

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    なかなか終わらないうえたまにソフトがエラーを起こすので保険用に。
    無自覚嫉妬する夷陵老祖の話を書いていたはずだったのだが・・・。
    タイトルは変わるかもしれない。

    #魔道祖師#忘羨

    逸る心逸る心
    「あっ藍湛だ」
     俺は離れた所に昔と変わらず無表情で立っている男が視界に入って近づこうとして足を止めた。
     藍湛の周りに数人の門下達が集まっていた。
     俺から見ると、周りの奴らが一方的に話をしていて藍湛はただ相槌をうっているだけにしか見えなかった。
    「相変わらずだなあいつは」
    「おい、剣また忘れたのか魏 無羨」
     不機嫌そうな江澄が俺の様子を睨みつけながら言いながら魏嬰の視線の先を追った。
    「別に模擬戦と剣技を披露するとかないから良いだろう。喧嘩を売られたら陳情で相手をするよ」
     魏嬰は腕を組みながら視線は藍湛に向け江澄に返事をする。
    「お前な、何を見てるんだ・・ってまたあいつかよ」
    「江澄は藍湛を何故目の敵にするんだ」
     本当になんで俺が藍湛を気にかけると機嫌が悪くなるんだと思う。
    「いい加減にしろよ、座学時代から言ってるだろ、あいつにはちょっかいだすなって」
    「俺が誰と話そうが気にかけようが江澄には関係ないだろ。そんな事までとやかく言われる筋合いはない」
     腕を解いて両手を広げて江澄に向かって強く言い返す。
    「それに今はやめておけ、見ろあの女性」
     江澄は嫌味顔のあごで藍湛の方をさした。
    「女性―なんだ仙術の話とか無関心そうだなあの惚けた赤い顔は・・やだやだ」
     魏嬰は両手と肩を上に上げてため息をついた。
    「あいつに見合いの話が来ているが全部断っているみたいだ、その相手の一人があの女性だ」
    「嫌ってるわりに良く知ってるな」
     藍湛と一緒にいる女性を目を細めて見つめる魏嬰の背中を江澄がバンと叩いた。
    「お前の為だ、あと沢蕪君が話をしてくれた・・お前にそれとなく伝えてくれと」
    「帰る」
     叩かれた背中をさすりながら魏嬰が不機嫌そうな声で江澄に向かって言い放った。
    「はっ?これから食事会だぞ、お前タダ飯タダ酒出来るなら仕方なく着いてきてやるって言ってだろ」
    「何か興ざめした。一人で天子笑飲んだ方がましだ。とりあえず江澄の顔は建ててやったんだから良いだろ。大人しくしてたんだし」
    「お前なぁ、その態度をどうにかできないのか」
    「無理だ。じゃあな、師姉さんによろしくって言っておいてくれ」
    「自分で言え」
     くるりと江澄に背を向けてひらひらと手をふった。
    「あいつが誰かと女と一緒にいる所なんで見たくもない・・本当の顔を知ったらドン引きされるぞ」
     ブツブツと小言で文句を言いながら早歩きで歩いて行った。

    「あの、私は本当に貴方をお慕いしています」
    「貴方の気持ちには答えられません。私には心に決めた人がいます」
    「どなたかお答えして貰えませんか?」
     藍湛が顔を横に振ると一礼して女性の前から立ち去った。
     女性は顔を手で覆って涙を流した。
     藍湛は歩きながら魏嬰の姿を探す。
    『さっきまで江公子の傍にいたはずなのに』
    「どなたかお探しですかな?藍二公子」
     不機嫌そうな顔と声の江澄が腕を組んで前に立っていた。
    「江公子、お久しぶりです。すいません私は急ぎの用があるので失礼します」
     一礼して横切る瞬間。
    「もうあいつには近づくな藍忘機。あいつは雲夢江氏の人間だ・・」
    「失礼する」
    「あんな奴のどこが良い奴なんだ・・悪趣味すぎるぞ魏 無羨」
     
    『見合いの話とか聞いてないぞ藍湛・・俺にあんな事したくせに、すまし顔した本性があれだと知ったら・・』
     そもそも毎回俺が悪いと言われるが今回の件だけはあいつが悪い・・藍湛が悪いんだ。
    「少し飲んでみるか?」
     藍湛を食事をしながら話して居る時冗談交じりで俺が言った。
    「お前がすすめてくれるなら」
     そう言って一口飲んで様子を見ていたらそのまま机に顔をふせて眠ってしまった。
    「まじかよ・・仕方ない今夜は泊まりだ。宿代は朝お前が払うんだぞ」
    眠ってしまった藍湛を背負うと近くの宿屋に空いてる部屋に案内してもらった。
    なんとか寝台に運んで寝かせ着けると魏嬰が息を吐くと眠っている藍湛の長い黒髪を一房握った。
    「含光君、藍忘機さん・・起きてくれよ。起きないといたずらするぞ」
     魏嬰がそっと顔を近づけるとパチリと藍湛の瞳が開いた。
    「おっ起きたか藍湛」
     向くりと起きて魏嬰の方を見ると首を横に傾げた。「藍湛?おーい藍湛」
     自分の手を上下に振るとそれに合わせて藍湛の眼が追うので楽しくなって今度は左右に振ってみた。
    「藍湛は俺の手が好きなのかな?」
    「うん」
    「えっと・・そのありがとう」 
    トントンと扉を叩く音がして
    「はい」
    「お茶をお持ちしましたがお連れさんは大丈夫ですかな」
    「今起きたんで、すいません・・っておい」
     魏嬰が宿屋の人の対応をしようと立ち上がろうとした時腕を掴まれて寝台に寝かされた。
    「君はそこにいなさい」
    「ちょ・・何術かけてるんだよ」
     藍湛は無言で扉に向かい宿屋の人間と話をしていた。「では宿代はいただきましたごゆっくりなさってください。朝餉はこちらにお持ちしてよろしいですか?」
    「よろしく頼む」
     そう言って扉が閉められて藍湛は直ぐに鍵を閉める。『どういうつもりだよ、こいつ酔い癖悪いのか』
    藍湛が寝台に腰かけたと同時に術が解けて身体の動きが自由になった。
    「魏嬰」
     そう呟いた後馬乗りになって両腕を軽々と片手で捕まれ抑え付けた。
    「藍湛、何の冗談だ」
    「君なら簡単に逃げられるだろう」
    「簡単にって、お前の怪力に勝てる奴がいる訳ないだろう、しかも酔っぱらって手加減してないし」
     以前の俺ならギリギリ勝てたかもしれないが今は無理そうだ・・金丹がない。
    「酔ってない」
    「酔ってる奴はみんなそう言うんだよ」
     綺麗な顔が近づいてきて俺は息を飲む、やっぱ良い男だと座学時代の時にも思ったがますます綺麗で良い匂いがする。
    「魏嬰」
     名前を呼ばれて答えようとした声を奪われた・・唇を重ねられていた事に気づいた。
     ふさがれた口でもごもごと名前を呼んだ抵抗しようと唯一自由のきく足をばたつかせてみたが藍湛の両足が入り込んで大きく開かれた。
    『酔っぱらうと口吸い魔になるのかこいつは、後人を押し倒すとか酒癖悪すぎる、これが女の子だったら・・やばすぎだろうが』
    少し唇が離れて新鮮な空気を吸い込む。
    「ら・・藍湛、藍二哥哥、どうしたんだよ。なんでこんな・・その、いやらしいことするんだよ」
    「したかったから」
     そう苦しそうに答えた後先ほどは違う軽い触れるだけの口づけをされて強い力で掴まれていた両腕を解放され優しく抱きしめられた。
    「俺にしたかったのか」
     藍湛の体温と心音を感じた。
    「うん」
     一発殴ってやろうと思ったが口づけと体温と心音とか心地よいと言うか気持ち良かったから許してやるか。
    「俺だけにしておけよ、こんな事」
    「君にしかしない。したくない」
     今度は俺から口づけをして両腕を藍湛の首に回して小さく、耳元で囁いた。
    「それも俺にしか反応しないの?」
    その問いに無言で頷いた後静かに寝台に沈んで行った。翌朝重い瞼を開けた時おそらく初めて見た気がする藍湛の顔を拝めた。
    「魏嬰、私は君に・・・なんて事を」
    「俺にした事を覚えてるの?後悔してるの?」
     首を横に振るとゆっくりと俺の手首に手を触れる。
    「すまない後覚えているのは途中からで・・・」
     抹額で手首をきつく縛られた時は驚いた、大事な物じゃなかったのか・・。
    「謝るなよ、着替えと後身体とか吹いて綺麗にしてくれたんだろ?」
    「その・・掻き出しておかないと色々と大変だと、書物で・・いやなんでもない」
    「含光君にとんでもない事をさせてしまったみたいだな、ああでも覚えてるとか・・その俺で良かったとか言うのも
    変なんだけど」
     自分でも何を言ってるのかが分らなかった、ただ途中で正気に戻った藍湛と眼が合った時の顔が焼きついて仕方がない。
    「なぁ藍湛は・・俺の事・・・」
    魏嬰がゆっくりと起き上がろうとしたがまだ足腰に力が入らない状態なのか寝台に沈んだ。 
    「魏嬰まだ寝ていなさい」
    「そうしようかな・・なぁ膝枕してよ」
    そう俺が言うと寝台の枕を整えて俺の頭の下に置いた。
    「お前の膝の上で寝たいんだけど膝枕してよ」
    「今日は駄目だ」
    「じゃあ今度なら良いのかな」
    ギシと寝台の軋む音がして藍湛の大きな手が俺の髪を優しく梳く。
    「俺が眠れるまで撫でて・・それ気持ちいい・・眠れそう」
     静かに頷く藍湛を見た後俺は再び眠りについた。
     魏嬰の寝息が聞こえてきても藍湛は髪を梳き続けて小さい声で先程の答えを返事する。
     膝枕してよ・・ 
    「分った・・今度必ず」
    俺の事・・・
    「君が好きなんだ」
     静かに近づいて起こさない様に額に口づけをした。
     お昼近くに目が覚めてかなり気まずい状況のまま俺たちは自分たちの帰る場所へと戻った。
     その後夜狩で会ったりしてもいつもの様に軽い挨拶をしながら俺が勝手に色々話して淡々と答える。
     江澄はそんな俺に毎回いい加減に関わるなとか文句を言うのだがなんでそこまで嫌うのだろうか。

    「魏兄ぃ珍しいですね」
     声をかけられて我に戻った。
     目の前には扇子で口を隠した聶懐桑がニコニコと笑いながら立っていた。
    「お前も珍しいな」
    「大哥に無理矢理同伴しろと・・早く帰りたいですよ。ああでも丁度良かったかも以前魏兄ぃが気に入っていた春画の新作が・・後僕の秘蔵の本預かっててもらえませんか?大哥に見つかったらまた燃やされてしまうので」
     聶懐桑は周りをキョロキョロ見た後懐から数冊の本を出した後魏嬰に押し付けるように渡した。
    「ああ、分った。ありがとう」
    「ところでもうお帰りになるのですか?」
    「江澄の顔も立てたし、本当はただ飯と酒目的だったんだけどな・・嫌なものを見ちまってさ」
     さっきの藍湛と女性の事を思い出して少し背中の辺りがピリピリザワザワした。
    『なんだこれ、なんでイライラしてるんだよ俺は』
     魏嬰は顔を片手で覆って頭を軽く振った。
    「ああ、また捕まっている。彼も久しぶりに顔を出しているから大変ですよね」
    「藍湛の事か」
    「何も見てないのに彼としか言ってないのに良くわかりましたね」
     バッと顔を上げて聶懐桑が半分扇で顔を隠したまま俺の耳元で小声で話した。
    「今の女性の方で十人目ですよ、こんな事になるの分っていらっしゃるのに何故来たんでしょうね」
    「知るか、沢蕪君か藍じじぃに言われたんじゃないの」
     俺の視線は藍湛に向いたままだった。
    「忘機が気になりますかな?」
     目の前に白い壁が出来て魏嬰と聶懐桑が同時に身体を硬直させた。
    「お、お久しぶりです、沢蕪君」
    「藍曦臣兄上・・・・・お久しぶりです」
     二人を交互に見ながら笑顔で挨拶を交わす。
    「懐桑、兄上が探してましたよ。戻らないとお説教されてしまいますよ」
     藍曦臣が静かな笑みを向けて後ろの方に視線を向けさせた、視線の先には 
      
    温氏の分家に味方して俺は江澄と決別した。
     助けた貰った恩義を返したかったんだ。
    隣に座っている藍湛に
    「少しの間だけ肩を貸してほしい」
     そう言った後静かに頷いてくれたので俺はゆっくりと藍湛の肩に寄りかかった・・温かさを感じてホッとした。
    「そのまま眠ってもかまわない」
    「今日の藍湛は優しいな。それなら前とは逆で眠れるように歌ってくれよ」
    「ここでか」
    「うん。なぁ藍湛」
    「なんだ」
    「もしもだよ、ここの連中の誤解が解けてみんな仲良く出来る時がきたらさ・・俺と一緒に旅に出ないか」
    「君と私で・・か」
    「そう俺とお前二人きりで」

     藍湛は暫く考えた後俺の方に顔を向けて静かに頷いて
    「その時が来たら馬を一頭準備しておこう」
    「馬より驢馬が良いな」
     俺は嬉しくなって両親の事を思い出して驢馬を要求したしまった。
    「何故驢馬なんだ」
    「お前と駆け落ちする時におしえてやるよ。良い夢がみ
    れそうだ、ありがとう、おやすみ藍湛」
    「おやすみ魏嬰」
     藍湛が小さく鼻歌を奏でた。
     あの時の歌だと懐かしさで目を瞑ってそのまま眠りについた。
      
     見上げた空は地に染まったような赤だ、白い満月が歪んでまるで朧月夜にも見える。
     ずっと呪いの様に汚い言葉を聞かされて殴られ蹴られ踏みつけられた。
     いつまで生かせれているのだろうか、早く終わらせろよ、悪趣味すぎるだろう。
     月を見ると藍湛を思い出して心の中で謝った。
    『悪い藍湛』
     もうお前と並んで歩く足もない。
    『魏嬰』名を呼んで手を差し出してくれたお前の手に重ねる手もお前の琴の音に合わせて奏でる笛の音を出す喉も指も潰され、腕も無くなった、罵声を聞いてた耳も潰された。
     誰かが何かを言っているが聞こえないしもう痛みも感じない・・ああ俺はイナクナルンダ・・・消えるのか。
     オマエノセイデ・・オマエノセイダ。
     呪いの呪詛のような言葉だけ頭の中で響く。
     解ってるから、もう終わりにしてくれよ。
     オマエガイタカラ、オマエナンテ・・・
     さっさとお前らの望み通り消してくれよ俺の存在を。
    『魏嬰私と―』
     あの時の答えを伝えたった、けど藍湛時間切れだ。
     最期に目に映ったの者が誰かは分らなかった。
     
    「含光君、疲れたよもう休もう」
    隣に歩く藍忘機に声をかける、俺が魏 無羨だとバレな
    いように莫玄羽のふりをして旅をする。
    「宿屋を探す」
    「あっ、見た事ない地酒だ、一瓶買おうよ藍湛」
     俺は酒の匂いに誘われて歩く方向を変えるが腕を掴まれて引き戻された。
    『昔はあんなに他人に触れる事嫌ってたのにな・・変われば変わるもんだ』
    「なんだよ、静室に隠していたのに」
     藍湛は首を横に振ると袖口から一瓶しかも天子笑を出して俺に手渡した。
    「お前いついも持ち歩いていたのかよ、でも土酒も飲んでみたいなぁ~飲み比べしたいから買ってよ含光君。宿屋に行ったら一緒に飲もうぜ。後その袖の中確認してみたい」
     藍湛は魏嬰をしばらく見た後一瓶購入した後静かに手渡した。
    「ありがとう藍湛」
     二つの酒瓶を抱えながら笑顔で頬をすりつけた.
    「うん」
    宿屋で一部屋借りて別々の寝台で横になって眠る。
    「一口お前も飲もう」
     昔の様に進めると無言で頷いてそしてあの時のみたいに酔いつぶれて眠ってしまった。
    「本当、変わらない・・でも俺に対する気持ちは変わったんだろうな。きっと江澄のみたいに恨んでいるんだろ」
     寝台に寝かせて綺麗な黒髪を掴む、さらさらと指の中を抜けてそして静かに綺麗な顔に近づく。
    「俺は、あの時・・お前の手を」
     パチリと藍湛の眼が開いて至近距離で顔を見合わせて俺は慌てて離れた。
    「私は」
    「ああ、酔いつぶれたから運んだよ。何もしてないよ」
    「そうか。すまない」
    「じゃあ俺はあっちで寝るよ。おやすみ藍湛」
    「うん。おやすみ」
     離れる時俺の腕を軽く握ってすり抜けて手に触れた時温かさで体がぞくりと震えた。
    『魏嬰、気持ちいい?声抑えないで』
    抱かれた事を思い出して体温が上がりだして急いで寝台に入り込むと背中を丸めて布団の中に入った。
     まだ覚えてるとか本当未練がましい・・そして違う身体なのに抱かれたいとか思ったりしている俺は最低だ。
    「寒いな」
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