しばらく実家に帰らせていただきます 珍しくケンカなんてしたらしい。どうしてオレが愚痴なんて聞いてやらなきゃいけないんだろうな、とは思うものの面白いものが見られそうだ、と観察を続けた。
「まなで…」
「俺は!」
ウツシの言葉を遮った声は大きく、けれど震えている。
「俺は確かに、貴方に比べればまだまだ子どもだし、世間知らずだし、頼りないですよ」
「まな…」
「でも!」
ぜえはあと息を荒げながら、それでも言いたいことは言い切ってしまおうという気概は感じられる。
「それでも、貴方は、俺の、夫で…俺は、貴方の妻、でしょう…」
俯いた顔は面の裏でどんな表情を浮かべているのか、窺い知ることは出来ないけれど、その小刻みに震える肩から察しはつく。
「…愛弟子、アル……あの、」
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