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    newredwine

    忘羨と曦澄の戯言です

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    newredwine

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    追凌のシリアスからのハッピーエンドを書こうと思って珍しくプロットを立てたら結局書けなくなってしまったのでここに供養。
    やっぱりプロットを立てると書けないな。

    追凌になるはずだったもの10年後の世界、金凌は蘭陵内で起きた怪異の確認する為に子弟と共に向かう。だがその手前の町で怪異が退治されたと聞いて眉を顰める。何処の仙師だと問うより先に現れたのは、思追だった。数年前に遊学の許可を得て諸国を巡っている思追と会うのは久しぶりのことだった。
    景儀達が心配していたぞ、と強引に誘った食事の席で言えば、仄かに微笑んで、そう、と呟く。穏やかな笑顔は変わらないはずなのに何処か遠い存在に感じて金凌は苛立った。知らない相手と話しているようで不愉快だった。そろそろ気は済んだのかと問うが、未だだと返される。いつになれば戻るのかと問うても、分からないと返される。何が目的なのだと問い詰めれば、やがて途方に暮れたような顔で、それが分からなくなってしまったのだと思追は答えた。
    手を離せばすぐに何処かに消えてしまいそうだった思追を掴んだまま金凌は金麟台に戻った。豪奢な己の自室の隣の部屋を突貫で空けさせて最低限必要なものを突っ込み、思追もそこへ突っ込んだ。暫くここに居ろ、ふらふらしていても見つからないならここにとどまって考えていても同じだろうと睨んだ。
    それもそうかもしれないね、と微笑んだ思追の笑みはどこか諦めを感じさせた。朝と夜は共に食事を取ることを約束させ、言質を取り、金凌は自らの仕事に戻った。
    思追は呆けている様子もなく、街に降りては人助けをし、怪異を退け、微笑んだまま無償で働き続けていた。約束通り朝と夜は金凌と食事を取ったが、あまり重ならない視線に金凌はさらに苛立ちを募らせていった。

    続かない
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    newredwine

    REHABILI
    味覚を失った江澄が藍曦臣とリハビリする話(予定)②辿り着いた先は程々に栄えている様子の店構えで、藍曦臣の後について足を踏み入れた江澄は宿の主人に二階部分の人払いと口止めを命じた。階下は地元の者や商いで訪れた者が多いようで賑わっている。彼らの盛り上がりに水を刺さぬよう、せいぜい飲ませて正当な対価を得ろ、と口端を上げれば、宿の主人もからりと笑って心得たと頷いた。二家の師弟達にもそれぞれの部屋を用意し、酒や肴を並べ、一番奥の角の部屋を藍曦臣と江澄の為に素早く整え、深く一礼する。
    「御用がありましたらお声掛けください、それまでは控えさせていただきます」
    それだけ口にして戸を閉めた主人に、藍曦臣が微笑んだ。
    「物分かりの良い主人だね」
    江澄の吐いた血で汚れた衣を脱ぎ、常よりは軽装を纏っている藍曦臣が見慣れなくて、江澄は視線を逸らせた。卓に並んだ酒と肴は江澄にとって見慣れたものが多かったが、もとより藍氏の滞在を知らされていたからか、そのうちのいくつかは青菜を塩で炒めただけのものやあっさりと煮ただけの野菜が並べられていた。茶の瓶は素朴ではあるが手入れがされていて、配慮も行き届いている。確かに良い店だなと鼻を鳴らしながら江澄が卓の前に座ろうとすると、何故か藍曦臣にそれを制された。
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    遭難者

    MOURNING玉蘭と木蓮のはなし
    玉蘭はハクモクレンを指すみたいですが…薄目でお願いします 焦
    「藍湛、知ってたか?玉蘭は東贏で木蓮と呼ばれているそうだ。昔、師姐に教えてもらったんだ。」


    まだ寒さが残る季節。相変わらず美味い天子笑を飲みながら、ほころび始めた白い花弁を見上げる。




    『──阿羨、玉蘭のことを東贏では木蓮というらしいの。』




    そう教えてくれた師姐を思い出す。
    あれは、雲深不知処の座学に参加する少しまえだっただろうか。花の名前をひとつ知ったことで何故そんなに嬉しいのか当時は不思議だったが、あまりにも嬉しそうに笑う師姐見ているとこちらも幸せな気分になったのを覚えている。
    今ならあの時の師姐の気持ちが少しわかる気がする。


    『──違う花なのに、同じ木に使われるなんて不思議ね。』


    「蘭」陵と「蓮」花塢の二つの違う花の名を持つ木がある。まるで両家を繋ぐように感じたのだろうか。普段なら気にならない些細なことに、何やら運命のような縁を感じて嬉しく思ったのだろう。
    いつも優しく俺達を包んでいてくれたけれど、師姐だって幼い少女だったのだ。あの時の師姐は恋をしていたのだと、今ならわかる。


    「木に咲く蓮とは何だか妙だけど、雲深不知処で蓮を見られるとは思ってなかった 1893

    sgm

    DONE曦澄ワンドロお題「秘密」
    Twitter投稿していたものから誤字と句点修正版。
    内容は同じです。
     冷泉へ向かう道の途中に注意しないと見逃してしまうような細い道があることに、ある日江澄は気が付いた。
     魏無羨が金子軒を殴って雲夢に戻りひと月ほどたった頃だったろうか。
     魏無羨が帰ってからというもの、江澄は一人で行動することが多くなった。
     時折は聶懐桑と一緒に行動することもあるが、半分かそれ以上は一人だった。
     藍氏の内弟子以外は立ち入りを禁止されているところも多くあるが、蓮花塢と違って、この雲深不知処は一人で静かに過ごせる場所に事欠かない。誰も来ない、自分だけの場所。かつ、仮に藍氏の内弟子に見つかったとしても咎められないような場所。そうして見つけたのが、この細い道を進んだ先にある場所だった。おそらく冷泉に合流するだろう湧き水が小川とも呼べないような小さな水の道筋を作り、その水を飲もうと兎や鳥がやってくる。チロチロと流れる水音は雲夢の荷花池を思い出させた。腰を掛けるのにちょうど良い岩があり、そこに座って少しの間ぼんやりとするのが気に入っていた。ともすれば、父のこと、母のこと、魏無羨のこと、五大世家の次期宗主、公子としては凡庸である己のことを考えてしまい、唇を噛み締めたくなることが多 3083