タイトル未定NTR五悠金曜日、午後18時、駅前。
夕方のラッシュが始まっていた。
仕事を終えた多くの人々が駅や繁華街へ移動を始めている。更に金曜日ということで遊びに繰り出す人々も混ざり合い大混雑していた。駅から出てきた悠仁は人混みを早足ですり抜け、目的地へ向かい無心に進む。
マジ落ち着かねぇ。
本当にこれでいいのかな。
頭の中で不安と期待がぐちゃぐちゃに混ざり合っている。
どうしていいか解らない思考とは逆に足は迷いなく待ち合わせ場所へ進んでいる。
緊張しているせいか普段は感じない服の下から下着の感触を感じた。下着の感触を気にする理由は緊張だけではなかった。
悠仁はいつものTシャツとジーパンの下に卑猥なエロ下着を着ているのだ。
必死に平常心でいこうと思っているが、エロ下着を着ているというだけで羞恥が止まらない。
周りに不審に思われていないかと心が落ち着かなかった。
悠仁がエロ下着を着て待ち合わせ場所へ向かっている理由。
それは彼氏の浮気が原因だ。
悠仁に付き合っている藻部田(モブ田)という男が居る。
藻部田は街で見かけた悠仁に一目惚れし付き合って欲しいと迫った。悠仁は出会ったばかりでお互いの事が何も解らないから付き合えないと断った。
藻部田は悠仁に断られてもめげなかった。
何度も熱烈に交際を申し込んだ。悠仁は半ば根負けして付き合うことにした。
熱烈に口説いたのにも関わらず付き合い初めて一ヶ月で藻部田は浮気をした。
浮気をした藻部田に悠仁は怒り狂った。
最初はちゃんと話し合おうとしたが悠仁は怒りと残念な気持ちが止まらなかった。最低男と何度も罵った。
最終的には怒鳴り合いの喧嘩となった。
悠仁と藻部田の過ごした時間は短い。
でもその短い期間で悠仁は藻部田の事が好きになっていた。
だからこそ怒りも悲しみも収まらなかった。
俺が居るのに浮気とかありえん。
あんなに俺のことを好きだって言ってたのに。
一目惚れだけどこの愛は本物だから付き合って欲しいって言ってたのは嘘だったのかよ。
悔しすぎるから何か仕返ししてやる。
そうだ、俺も浮気しかえしてやろう。
俺は浮気をする!
でもどうやって浮気をすればいいんだ?
問題に直面した。
浮気の方法が全く思いつかなかったのだ。
どうやって浮気をしたらいいか解らない。
悠仁は悩んだ末、SNSに広告であった出会い系アプリを使って見ることにした。これで浮気ができるか不安に思ったが評価が★5だったので信じてみることにした。
登録して出会いを探した。
直ぐに沢山のメッセージが届いたが変な人ばかりで相手には向かないと落胆した。
やっぱ浮気とかやめようかな……。
悠仁が諦めかけた時、一通のメッセージが目に止まった。
あっ……この人いいかも。
今までの変な人達と全然ちがう。
話も合うし、俺の悩みをちゃんと聞いてくれる。
恋人に浮気されて辛い俺を慰めてくれた時は本当に嬉しくてたまらなかった。
だから本音を愚痴ってしまった。
『あてつけにセックスしまくってやりたい!』
『じゃぁ僕が相手になってあげるよ』
俺は答えに戸惑った。
アプリを使って浮気をしようとしたが本気で浮気相手が見つかると思ってはいなかった。半分は憂さ晴らしだった。
でも優しく共感してくれて話が会う人に会ってみたいと思ってしまった。
『本当にいいの?』
『もちろん』
『そんなら、よろしくおなしゃっす』
本当に会うことになっちゃたよ。
あっという間に会う日が決まり、時間が決まり、待ち合わせ場所も決まった。
明後日には本当にこの人と会っちゃうのか。
ドキドキしていると相手からメッセージが届いた。
『本気で浮気セックスする気なら盛り上げるためにこれ着て来てよ。君の所に送っておいたから』
送るってどうやって……あぁ、アプリのギフト機能で送れるのか。で、何が届くんだろ。ストリリングテディ……何これ?
添付のURLを開くと画面に卑猥な衣装を身にまとったモデルの女性が表示された。
「えっ?マジかよ。俺がこれを着るの……?」
【画像の挿入予定】
正面はハイレグカットテディ。
色気のある紫色で生地はクラシカルな花柄のレース生地。
胸元からの大胆で深いハイグレカット。体の正面はかろうじてレースがあるかハイレグカットが深すぎて腰回りはほぼさらけ出されている。
正面だけでもドキドキのエロさなのにバックショットはストリングのみでただ裸体を晒すより卑猥に見えた。
セックスを盛り上げる為だけのエロ下着。
翌日手元へ届いたエロ下着の実物は写真以上に見るだけで興奮した。
俺はこんなエッチな下着を着てセックスしてもらいに行くんだ。
浮気をするだけでいいならエロ下着を着る必要はない。
藻部田は浮気でセックスをしていたが、そもそもセックスをしなくても浮気はできる。
相手に求められても無視すればいいし、実際相手に会ってからでも拒否はできる。
でも何故だろう、悠仁は非常識へ導く相手の流れに逆らいたくなかった。
それは今日になっても変わらなかった。
だからドキドキと期待と不安に揺れながらエロ下着を着て待ち合わせに向かっている。
事の成り行きを思い返していると指定された待ち合わせ場所へ到着していた。
待ち合わせの時刻まであと15分。
悠仁はドキドキを抑え相手を待った。
相手の人、ニックネームは「GS」さん。
どんな人だろ。
若い感じだったし、アイコンの写真が本物なら背が高い感じだったな。
今更だけどアイコンが嘘って事もあるよな。
マジでヤバい人来たら走って逃げよ。
悠仁が今更のように相手の素性に疑いを感じているとスマホが震えた。
あっGSさんからのメッセだ……あー、遅刻するんだ。
最初から遅刻ってどうなん。
遅刻してくる相手に不信感が強くなった。
今ならまだ引き返せる。
相手が遅刻した事で悠仁に悩む時間ができた。
今ならまだ引き返せる。
どうしよう……。
最初っから遅刻してくるようなだらしない人だし変な人かも。
遅刻を理由に帰っても文句は言われないだろうし。
俯いてグルグルと考えを巡らせている悠仁に声が降ってきた。
「君がU君……かな?」
「えっと、GSさん……?」
遅刻するって言ったのにもう着いたの⁉
もしかして遅れそうな時点で相手に連絡するっていう大人の対応だったん。前にナナミンが大人の常識って言ってた。
「そうそう、遅れちゃってごめんねぇ~。なんかチェックインに思ったより時間がかかったんだよね」
「い、いや……、そんな時間過ぎてないですし」
予想外の出来事に顔を上げて相手の顔を見ていなかった悠仁はやっと気がついた。
「ご……五条先生……」
悠仁は顔をあげて確認する。
目の前には普段と違いラフなカットソーと黒のスキニーを着た五条悟が立っていた。
「な……んで?」
「なんでって一昨日からメッセし合ったじゃん。まぁここじゃなんだからいこっか。近くのホテルの部屋とってるから」
悠仁の手を掴み五条は引きずるように歩き始めた。
混乱して体が上手く動かない悠仁はもつれかける足を必死で動かして五条へついていった。
街を迷いなく進む五条はすぐ側の大きなホテルへ入っていった。フロントを抜けエレベーターに悠仁を押し込みボタンを押す。
気まずい沈黙がエレベータに溜まっている。
悠仁がチラッと五条を見るとサングラス越しに微笑まれた。
いや、笑いかけられてもどうすりゃいいんだよ。
なんかここのホテルすげえ高そうなんだけど。
いや、それよりも考えることがある。
GSさんが五条先生でって事は俺はこれから五条先生とその、つまり……。
目的に階に到着する五条はまた悠仁の掴みエレベータを降りた。
歩きながらルームキーを取り出し部屋に滑り込んだ。