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    fukuske5050

    たまに文章書きます
    その時その時でだーーーーって書きたい部分だけ書いているので突然始まって、突然終わります…
    ▪️書いてるもの
    ・どらまいどら(のつもり)

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    fukuske5050

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    マイキー+ドラケン+タケミっち

    タケミっちが梵に入るって決めた時のこと。これきりタケミっちのこと書いてないということに気がついた。もう書かないだろうなー…

    #ドラマイ
    drabai

    さいかい 軽く乾かした制服はもう一度袖を通すには雨に濡れた感触が重い。
    「オレのシャツのほうがまだマシ」
    そう言ってイヌピー君がシャツとチノパンを出してくれた。
     濡れた制服をもう一度着るのは気が進まなくて、借りたドラケンくんのつなぎは肩も腕も脚の長さも一回り大きすぎて無言になったからだ。
     泊まって行けと言われたけれど、俺は家に帰ることを選んだ。ぐちゃぐちゃになった頭の中を整理したかったから。

     マイキー君にたどり着くために、オレは梵を選んだ。イヌピー君は初代黒龍を知っている。実態のない上辺だけの噂話ではない彼らを。そのイヌピー君が、初代メンバーを従える梵を大人の愚連隊だと、気をつけろと言う。
     けれど初代黒龍のメンバーを従える千咒は関東卍會をぶっ潰すと言い、明石はマイキー君を説得したいのだと口にする。
     どんと構えた明石を頭から疑うにも、言葉をそのままに受けとるにも情報があまりにも少なすぎるというのが本当のところだ。
    (まぁ待て、待て、タケミっち)
    千冬の声が頭の中で聞こえてくる。そうだ、落ち着いて、整理してーー。
     洗いたてのシャツに袖を通して胸の前のボタンを留める。イヌピー君のシャツのぱりっとした感触に目まぐるしい先ほどまでを反芻してはまたぐるりと意識が回る。
     六波羅探題に梵。初代黒龍に、その上ドラケン君は梵のナンバーになっている。だめだ。急激すぎて頭の中がまとまらない。
    「家まで送ってくか、タケミっち」
    ぐるぐると頭の中が廻るオレを引き戻す声に、オレの肩はびくりと浮いた。

     振り返ればメットを手にしたドラケン君が立っていた。
    (ドラケンはマイキーをつれもどしてぇんだよ)
    その言葉を思い出せば、ズシリ熱いものが込み上がる。

     ドラケン君はオレの勇気を奮い立てる。どんな時でも。今も。
    「タケミっち、なに笑ってんだ」
    言われてオレは急に自覚する。きっとオレは今、酷く胸の奥が、頭の中がじんじんと熱く痺れているんだろう。
     オレにはとてつもなく頼もしい見方が、ドラケン君がいる。それがオレの背筋をピシリと伸ばす。

    「ほらよ」
    ポンと手渡されたメットを受け取るオレにドラケン君は薄く笑う。そうしてあまりにも静かな声でそれを口にする。
    「オレは何度、死んだんだ」
    ドラケン君の言葉に思わずぎくりとして呼吸がはねあがる。それが伝わってしまったのか、ドラケン君は眉を潜めた。
    「オレは、いちどでもアイツを止められたか」
    アイツ。それが誰のことなのかなんてわかりきっている。言葉につまったままでドラケン君の視線と交差する。
    「悪かった。全部オマエに背負わせちまった」
    「…ドラケンく、」
    正面から向き合ったドラケン君の眼差しの強さに息を呑む。そこには迷いもためらいも、ない。
    そこに潜むのは覚悟だけだ。ドラケン君のマイキー君へ向かう覚悟だけだ。

     その眼差しに、通る声に。オレはドラケンくんがたったひとりで抱え過ごした時間の重さを知らされた。
     マイキー君がきっと何度も何度も反芻した苦しみを、ドラケン君も同じだけ繰り返してきたのだと。
    ドラケン君はマイキー君を追って追って、同じだけの重く苦々しくやるせない時間をひとり抱えて重ねてきたのだと。

    それでも、まだ。
    失われていないマイキー君への想いが、オレを奮わせる。

    ドラケン君は、オレの信じてる、大好きなドラケン君のままーー目の前にいる。

     ひとりじゃない。オレも、マイキーくんも、ひとりじゃないんだ。
     それぞれが別々の時間の中で、繰り返し繰り返し寂しいと悲しいと苦しいと叫んで悩んで手を伸ばして掠るだけの届かない感触の果てに、それでもまたこうして繰り返すには理由がある。
     どうしようもなく諦めることができないものが。
    今離れていたとしても、マイキーくんもきっと同じものを抱えている。
    手放せずにいる。

    オレも。
    ドラケン君も。

    マイキー君、きみのことがーー


    「オマエのバブは預かっとく」
    「ドラケン君」
    「メンテナンスしておくーーいつ、乗り込んでもいいように」
    ドラケン君が薄く、ニヤリと笑う。オレはこの目を知っている。この目をしたドラケン君が振りかざすパンチの強さを、知っている。
    「だからひとりきりで向かうんじゃねぇぞ。抜け駆けは無しだ」
    オレは腹に力を籠める。そうして無言でうなずいた。

    今、ここにいないあの人を取り返す。
    今度こそ、必ず――
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    Replies from the creator

    fukuske5050

    MOURNING本誌済み
    真とワカとマ
    ※マは本誌の病状です さすったりしてます こういうことをしてよいのか悪いのか、調べていません
     顔色が悪いのは真一郎の方だ。僅かに自由になる時間さえも、病室でひとり横たわり、管に繋がれたまま意識のない弟の傍らから離れない。ただ生き永らえているだけのそれから離れない。医療も奇跡もまやかしも、真の最愛にできることはそれだけしかないからだ。
     万次郎のため。そのために真一郎の生活は費やされ自分のための時間は皆無に等しい。食べることも、眠ることも惜しいのだ。怖いのだ。少しでも目を離した隙に呼吸を漏らした隙に、必死に抱えた腕の中からサラサラと流れ落ち、万次郎が失われていく。
     蝕まれているのは真一郎の方だ。若狭にはそう思えてならなかった。

     職務の休憩時間に万次郎を見舞う真一郎に合わせて万次郎の病室を訪れる。それは万次郎のためではない。真一郎のためだ。若狭にできるのはその程度でしかない。訪れた若狭の呼び掛けに答えた真の声は枯れて夜明けのカラスのようだった。ギャアと鳴いてみせるのは威嚇なのか懇願なのかはわからない。せめて水を、そう思って席を外し、帰ってきた病室で見たものは。
    1853

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    fukuske5050

    REHABILIエマちゃんとマがいちごを煮てるだけ
    途中からなにを書いているのか…🤔自分でできない料理ネタはもう二度と手を出さないと決めました…

    ちょこっとドラマイドラ
    いちご リズミカルな鼻歌が台所から聞こえてくる。最近エマがよく聞いている曲だ。歌詞のここが好きだとか声がいいだとか。それは何度も何度も聞かされた。気にいった同じ部分を繰り返し耳にしているうちにいつの間にか覚えてしまっていたけれど、万次郎が知っているのはエマによって切り取られたその部分だけ。そういえばそれが誰のなんという曲なのかさえ知らないことに気がついた。
     鼻をくすぐる甘い匂いに誘われて万次郎は台所を覗き込む。流し台に立つエマの後ろ姿は変わらず同じフレーズを繰り返す。リズムに合わせて手慣れた手つきで調理するエマは様子を伺う万次郎に気づかない。
     食卓には大ぶりなボウルを真ん中に幾つか皿が置かれている。1番大きいものには砂糖をまぶした大量の苺。万次郎も昨晩ヘタを取るのを手伝わされた。潰さないで、傷つけないで、とうるさく言われながら手伝って、ぽいと口にほおりこんだたったひとつにこっぴどく叱られた。水にさらしただけの苺をサクリと噛めば口の中は初夏の味がする。
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