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    さかばる

    恐るな。性癖を晒せ。

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    さかばる

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    こちらもリクエストを強奪したお話です。
    雪山で裸で抱き合うってこれで合ってます!?ついでに七五っぽくないですね?これ。いや、七五は少年の頃は線が細く繊細そうな(中身は違う)七海が大人になって溢れる大人の色気を醸し出す男になるのが趣だから・・・・・・。

    #七五
    seventy-five

    ホワイトブレス 五条が任務に向かったのは冬の、雪が降り積もる村だった。
     村で何人もの死体が出ているという報告。そして人間でないモノ、恐らくは呪霊の目撃情報が寄せられた。その呪霊の祓除に担任の夜蛾から五条は指名されたのだった。隣には一つ下の後輩、七海がいる。この任務、五条が指名されたというより、七海のサポート役ということで振られたのだろう。夜蛾にはなるべく七海の自由にさせるよう予め言い含められている。五条はその事に不満は無かった。七海は良い術式を持っているし戦闘センスもあるので鍛えたら強くなりそうだった。ここは先輩として見守ってやろうという気持ちである。ただ、
    「さっみぃ〜〜!」
     真冬の夜で今も雪が降り続くこの現状が問題だった。補助監督の運転する車を降りて高専の制服の上に防寒着にマフラーを身につけたが寒いものは寒い。放っておくとサングラスの奥のまつ毛が凍りそうな気がする。
    「寒い寒い言わないでください。余計に寒くなります」
     獲物を入れたバッグを背負った長い前髪の間から睨んで七海が不機嫌そうに言う。勿論、七海も重装備だ。
    「うるせー。寒いのを寒いって言って何が悪いんだよ。……クシュン!」
    「ああ、もう、さっさと宿に行きましょう」
     くしゃみをする五条を見かねて七海がさっさと歩き出す。しかし、数歩歩いた所で七海が立ち止まる。
    「どうした? 七海」
    「いえ。あの山が何故か気になって」
     確かに七海が見つめている先には雪を被った山がある。
    「ふーん。気を付けろよ。山は異界だからな」
     五条は七海を追い越し宿に向かって歩く。その後に七海が付いてくる足音がした。
     
     
     とりあえず宿に入り部屋でちゃぶ台を挟んで座り、任務の相談をする。部屋は相部屋だ。
    「今日はもう夜だし調査は明日にしようぜ」
    「それには賛成です」
     ちゃぶ台の向こうの七海は頷く。それを見て五条は立ち上がる。
    「俺はもう寝る。今日の昼まで夜通しの出張だったから流石にねみぃわ」
    「それは……お疲れ様です」
     五条はサングラスを外しちゃぶ台に置き、制服の上着を脱いでシャツとズボン姿になって二つある布団の一つに潜り込む。宿の人間が敷いてくれていたようだ。潜り込んでから五条は七海を見る。七海も座ったまま無表情で五条を見ていた。
    「オマエは飯食ってからでもいいし自由にしろ。俺の事は気にするな」
    「安心してください。最初から気にしてません」
    「オイオイ可愛くねぇな。ま、いいや。おやすみ」
    「おやすみなさい五条さん」
     そうは言ったものの、五条は目を閉じず、七海を見つめ続ける。七海はその視線に気がついたようで怪訝な顔を五条に向ける。
    「……なんですか。貴方」
    「いや、人におやすみなんて言うの久しぶりだなって」
     あの夏以来、五条は一人きりの任務が多くなった。それはそうだろう。反転術式を会得し、無下限術式の秘術を使えるようになった五条は呪霊や呪詛師に遅れを取る事はない。夏油とコンビで行動するよりは別行動させた方が効率がいいだろう。それに自分の術式を更に理解する為五条家の文献を漁ったり、高専で実験をしたりと任務以外でも忙しかったのだ。
    「……任務内容や明日の行動予定の確認で暫くはここに居るつもりです。貴方はさっさと寝てください」
     七海のこういうぶっきらぼうな優しさが五条は気に入っていた。五条はへいへいと返事をして七海の気配を感じながら目を閉じた。
     
     
     七海はふと目が覚めて身を起こした。辺りは真っ暗だ。どうやら夜中らしい。
     あのあと、五条が完全に眠りについたのを確認しての宿の人間に頼んで食事を作ってもらい、腹を満たした所で風呂に入り、布団に入ったのだ。眠る前にこっそり五条の寝顔を見ておいた。近付いても五条は起きない。相変わらず綺麗な顔だった。真っ白い肌に薄桃色の唇が鮮やかでこれ以上見つめてはいけないと思い七海は慌てて布団に入り目を瞑る。移動で疲れていたのかすぐに睡魔が襲ってきたのは覚えがある。
     何故、目が覚めたのだろう。
     疑問に思い周囲を見回すと、隣で寝ていたはずの五条が上着を着て部屋を出ていくところだった。こんな夜中に何かあったのだろうか。
    「五条さん」
     七海が呼びかけても五条は振り向きもしない。いつもは必ず振り向いてくれるのに。七海は布団から飛び出し、慌てて五条を追いかけたのだった。

     
     五条は寒さで目が覚めた。寒さで体がふるりと震える。起き上がって確認すると入り口の扉が開いていた。隣の布団に七海は居ない。代わりに勢い良く起きたみたいに布団が乱れている。外に出たのかと思い七海の防寒着を見るが綺麗にハンガーに掛かったままだった。五条は嫌な予感がして慌てて窓を開けて外を見る。冷たい風と今もまだ降り続ける雪が五条の肌を刺すがそんな事は気にしていられなかった。六眼をフル稼働させて七海を探す。
     ——居た。
     七海が気にしていた山の方角に見知った七海の呪力を見つけた。どうやら山に向かったらしい。しかし、いつもよりも呪力のオーラが弱い。もしかしたら怪我をしているのかもしれない。窓枠を掴む手に力が入る。さらに目を凝らすと山の中に呪霊とおぼしき呪力を見つけた。
    「あんのバカ! 呪霊に操られたな⁉︎」
     五条は防寒着を着込み、七海の上着を掴んで靴を履き部屋の中を走る。無限を張れば汚れない。つくづく便利な術式だと思う。七海を追う為に五条は窓から飛び降りた。雪の上に音もなく着地して村の中を七海の呪力目指して駆け抜ける。五条はこれまで経験した事の無いザワザワとした胸の騒めきを感じて何故だか気が急く。思わず舌打ちをする。焦ってもいいことなどないのだ。そんな事は分かっているはずなのに。流れる景色は段々民家が少なくなり、雪が積もった木々だけになっていく。山に近付いているのだ。道も段々と除雪がされていない手付かずの道になっていく。五条は無限を張っているので雪の上を何なく走れるが七海はどうだろうか。一瞬、頭の中に雪の中で倒れている七海が浮かぶが慌てて頭を振り、妄想を振り払う。七海とて一年とはいえ高専生だ。そんなに柔じゃない。五条は迷いなく山に分け入って必死に七海の呪力を六眼で追いかける。途中、山小屋を見つけたがそこには何の気配も無かった。山の斜面に降り積もる雪の上を走っていると呪力ではなく質量のある七海の背中を視界が捉えた。
    「七海!」
     ゆらゆらと覚束無い足取りで歩く七海に追いつき五条は七海の肩を掴む。
    「オマエ、何してんだ! 目ぇ覚ませよ!」
     五条は七海の肩を掴んだまま隣に立ち、七海の横顔を見る。くすんだ金の髪は重く湿って雪を被り、顔は紙のように白く、唇は紫色だ。無理もない。こんな雪の中をびしょ濡れのシャツとズボンだけで歩いているのだから当然だ。雪が七海のふくらはぎまで来ている。歩き辛いだろうによくここまで来たものだ。七海のあの木漏れ日のような緑の目は光がなく虚ろだ。
    「五条さん……。待って、行かないで……」
    「はぁ⁉︎ ここにいるっつーの! 呪霊と見間違ってたらぶん殴るかんな⁉︎」
     そう言いながらも五条は七海に上着を着せようとするが、七海本人にその意思が無く、五条の名前を呼びながら歩き続ける。五条は仕方なく七海の肩に上着を掛けて自分と一緒に無限で包んでやる。少なくとも雪でこれ以上体が冷える事はないはずだ。
     五条は辺りを見回しながら考える。七海を気絶させて一度連れ帰るか?しかし、同じ事の繰り返しな気がする。五条は七海の顔を再び見る。相変わらず顔色は真っ白で微かに震えている。ダメだ。このままここに居たら死んでしまうかもしれない。取り敢えず戻って七海を暖めなければ。五条はまだ術式を利用した瞬間移動がうまく使えない。七海を抱えて戻るしかない。一度、気絶させようと拳を握ったその時に空から大きな呪力の塊が近づいてくるのに五条は気がついた。
     空を見上げると夜の黒とそこから降ってくる白い雪のコントラストを背景に大きな白いゴム毬みたいな塊がこちらに向かって降りてくる。呪霊だ。
     ゴム毬に一筋黒い線が走ったかと思うとその線が丸く大きくなり中からギザギザの歯見えた。どうやら口らしく、自分達二人を食べる気のようだ。
    「俺を食べようなんざ千年はえーんだよ!」
     五条はすかさず呪霊に向かって右手を突き出し指先に呪力を集める。
    「術式反転、赫!」
     指先から赫い呪力が放たれる。ゴウっと風切り音をさせ術式が呪霊に届くとそのまま貫き、呪霊を大穴を開けて吹き飛ばす。呪霊の呪力が完全に無くなると、
    「五条さん……?」
     先程よりもしっかりした声がすぐ側から聞こえた。
    「七海! 大丈夫か? 俺が分かるか?」
    「ええ。でもここは……?」
    「オマエ、呪霊に操られてこんなとこまで一人で来たんだよ。呪霊は俺が祓ったからもう大丈夫だ」
    「それは……すみませんでした……でも、寒い……」
     七海の段々震えが激しくなって体がふらふらと揺れる。頬に触れると氷みたいだった。
    「取り敢えず途中に山小屋があったからそこまで行くぞ。急ぐから抱えるぞ」
    「……はい」
     五条は七海を肩に担ぎ走り出す。こんな時傑が居れば手持ちの呪霊を出してもらって宿まで飛べる。五条は最強であっても何でも出来るわけではないという事をこんな時に実感する。しかし、今傑はここに居ない。宿までは結構距離がある。自分一人でなんとかしなければならない。
    「すぐ着くからな。死ぬなよ七海」
     五条は誰に聞かれることもなく呟いて、走る速度を上げる。
     途中見掛けた山小屋に辿り着くと扉を足で蹴り開けて中に入る。薄暗い山小屋の中には幸運な事に薪ストーブが置いてあった。七海をストーブの前に下ろして部屋の隅にあった薪を持ってくる。誰かが親切で置いていったのだろう。緊急事態だ。遠慮なく使わせてもらおう。薪ストーブに薪を突っ込み、火を付ける。薪ストーブの付け方は傑に教えてもらった。傑は父親が登山が好きで一緒に行った時教えてもらったんだとちょっと照れ臭そうに笑っていた。世の中の父親っていうのは子供にそういう事を教えるんだと感心した覚えがある。最近前より傑と話していない。帰ったら傑にこの事を話そう。傑のお陰で助かったって。ストーブに火がついて部屋が少し明るくなる。それと同時にストーブから暖かい熱が広がる。七海にストーブにあたってろと言い、五条は山小屋を物色する。流石に食料は無いが毛布は見つけた。こういう山小屋は何も無い事が多いと聞くがよっぽど親切な人間がいたらしい。
     七海の所に戻って、濡れた服を脱がせる。七海の動作は酷くゆっくりで震えて上手くボタンが外せないようだった。早く濡れた服を脱がないとどんどん体温を奪ってしまう為五条は七海が服を脱ぐのを手伝ってやる。びしょ濡れのシャツとズボン、それから靴を脱がせて毛布を肩にかけてその上に七海の上着を掛ける。七海の顔色は今も尚悪い。震えは収まらないし、目の焦点が合わない。
    「ごじょうさん……ねむい……」
     七海は本当に眠そうで舌ったらずに喋り、今にも目を閉じてしまいそうだ。緑の目がくすんだ金のまつ毛に隠れてしまう。
    「おい! 寝るなバカ!」
     七海の肩を揺すって呼びかけるが反応が無い。頬にもう一度触れると外に居た時よりマシだが冷たいままだ。
    「クソッ、仕方ねぇな」
     五条は自分の上半身の服を脱いで七海に被せてやる。それから一緒に毛布に包まりまだまだ自分よりも薄っぺらい七海の肩を抱いて体を密着させる。もう暖を取れそうなのが自分の体温位しか無いのだ。肌と肌が触れたところが七海の体の冷たさを伝えてくる。少しでも暖かくなるように七海の冷たい体を摩る。そうしていたら七海は五条の肩に頭を預けてそのまま眠ってしまった。五条は七海の体がストーブによくあたるように位置を調整して七海を注意深く観察する。震えが収まり顔色が少し戻ってきたような気がしてほっと息をついた。自分の眉間が緩むのを感じる。気が付かない内に力が入っていたようだ。
     五条は自分の術式になんの不満も無い。むしろ攻守共に揃った良い術式だと思っている。ただ、今だけは火が出せる術式だと良かったのになとほんの少しだけ思った。
    「七海、死ぬなよ」
     今度は七海に聞こえるように呟いた。七海の肩をしっかりと抱いて五条は七海の体を摩り続け、ストーブに薪を追加しながらストーブの火に照らされているその白い顔を見つめ続けた。
     
     
     眩しい光が目蓋を通して七海の目を刺し、七海の意識が浮上する。だが、まだ目が開かない。七海は昨日は何をしていたかぼんやりと思い出す。確か、五条さんを雪の中追いかけて行ったはずがそれは呪霊で、五条さんが呪霊を祓って——そこからの記憶が曖昧だ。五条さんに担がれて、何か話しかけられて、暖かい、滑らかなものが自分の体を包んで安心して眠って……。
     そこまで思い出して七海はハッとして目を開ける。目の前に広がったのは透けるような白い肌だった。定期的にその白が上下する。ゆっくりと呼吸しているのだ。綺麗に割れた腹筋が見える。七海が顔を上げるとあの五条の恐ろしく整った顔が七海の至近距離にあった。目をつぶっていてあの美しい瞳は見えないがまつ毛の一本一本まで数えられそうな近さだ。思わず息を飲んで、後ずさる。自分を包んでいた人肌とどうやらかけられていたらしい毛布と上着が無くなると肌が直接冷気に触れる。自分の体を見ると下着一枚の姿だった。七海は俄かに混乱した。一体何があったのか。まさかとは思うが一夜の過ちなんてものを過ごしてしまったのか。それにしては自分の体が綺麗だ。混乱しすぎて五条を呆然と見る事しか出来なかった。そうしていると五条は隣の体温が無くなった事に気が付いたのか目を開ける。あの澄んだ水色の目がこちらを向く。
    「あ。七海起きたのかよ」
    「あ……五条さん。一体、何が……」
    「七海が寒さでヤバそうだったから山小屋に避難して暖を取ってたんだよ。ストーブ付けても寒そうだから人肌であっためてた。火が消えないように見張ってたんだけど、ちょっと寝ちまったみたいだな」
     お、ストーブまだあったかいな。薪足すか。そんな事を呑気に言いながら五条は自分の服を着る。
     七海はそれどころではない。つまり、自分の意識は無いが一晩五条と裸で抱きしめあったという事になる。七海は頬が熱くなる。七海は五条本人にはとてもじゃないが言えない想いを胸の内に抱えている。五条の顔など見られそうに無かった。俯いていると突然頭に何が投げられる。驚いてうわっと声を出し投げられたものを掴むと自分の服だった。
    「服乾いてっから着ろ。そのままじゃまた大変な事になるぞ」
    「あ、ありがとうございます……」
     俯いたまま、モゴモゴと礼を言う。やっぱり顔は見られない。そんな七海に五条は近付きしゃがみ込んで七海の顔を覗き込んでくる。
    「よし。顔色戻ってんな。この五条先輩に感謝しろよ? 看病してやったんだからな」
     そう言うと七海に向かって五条はニカっと笑いかける。サングラスを掛けていない、遮る物の無い笑顔はいつもより幼く見えて可愛かった。
     五条は立ち上がり山小屋の窓へ向かい外の様子を見に行く。外の様子を見た次の瞬間には頬を紅潮させて七海に振り向く。
    「七海! 雪止んでんぞ! 帰る前に雪だるま作ろうぜ!」
    「お断りします」
     被せ気味に断った。もう雪はいい。服を着ながら五条を観察すると窓を見ながらこんな積もってんのに雪だるま作らないなんて雪に失礼だぞ⁉︎と七海に文句を言っている。七海と一晩裸で抱き合った事など微塵も気にしていないようだ。
     自分だけがどぎまぎして混乱したのが急に悔しくなって五条を睨んでしまう。
    「クソッ、人の気も知らないで」
     七海はもう、絶対、金輪際、五条とは一緒に任務に行かないと心に固く誓うのだった。
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    DONEこちらもリクエストを強奪したお話です。
    雪山で裸で抱き合うってこれで合ってます!?ついでに七五っぽくないですね?これ。いや、七五は少年の頃は線が細く繊細そうな(中身は違う)七海が大人になって溢れる大人の色気を醸し出す男になるのが趣だから・・・・・・。
    ホワイトブレス 五条が任務に向かったのは冬の、雪が降り積もる村だった。
     村で何人もの死体が出ているという報告。そして人間でないモノ、恐らくは呪霊の目撃情報が寄せられた。その呪霊の祓除に担任の夜蛾から五条は指名されたのだった。隣には一つ下の後輩、七海がいる。この任務、五条が指名されたというより、七海のサポート役ということで振られたのだろう。夜蛾にはなるべく七海の自由にさせるよう予め言い含められている。五条はその事に不満は無かった。七海は良い術式を持っているし戦闘センスもあるので鍛えたら強くなりそうだった。ここは先輩として見守ってやろうという気持ちである。ただ、
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    02■KYOKI NO SYOKUTAKU02■トナカイ / ポロン・カリストゥス / ヴォイシルマプッラ



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    「え?五条さん?」
    いつも通り、七海の部屋に玄関からちゃんと来た。いつも通りじゃなかったのは、ドアを開けたのが家主じゃあなかったってところだ。
    「猪野くん、じゃあまた今度……」
    部屋の奥から言いかけた家主が、あと気が付いた様子で顔を上げた。入り口で立つ五条と、玄関を開ける猪野と、廊下から二人を見る七海。一同少し固まって、そうして一番最初に口を開いたのは自分だった。
    「帰った方がいい?」
    「は?」
    「えっなんでですか!」
    この部屋で誰かと出くわすことを考えていなくて、動揺する。頭が上手く回らない。いや、そうだよな別に誰かがいたって、帰ることないよなとようやく脳細胞が動き出した頃、猪野がドアを開けたままなことに気が付く。
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