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    🌸忘羨二次創作垢🌸

    @purinrin17_1

    忘羨専門二次創作する人

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    散歩してたら運命の相手を発見した魏嬰とその運命の相手、藍湛との恋の始まりのお話。
    ※魏嬰が犬克服してます注意

    #魔道祖師
    GrandmasterOfDemonicCultivation
    #忘羨
    WangXian
    #BL
    #現代AU忘羨
    modernAuForgetEnvy
    #保育園
    nurserySchool
    #犬江澄
    inuyasha
    #犬藍曦臣
    hei-shenInukuro

    転生後の彼ら 天気の良い昼下がり。まだ朝早くではあるが、今日も夷陵の公園には人が集まる。ある人はコーヒーを片手に森林のような木々を眺めて歩き、またある人は柔らかい芝生の上にシートを敷いて寝そべっている。実に気持ち良さそうだ。

     夷陵の公園は広い。端から端まで歩くと1時間はかかる広さだ。ペットのお散歩にはもってこい。そこに髪を高く結った、活発そうな美青年が歩いている。そして彼と共に歩いてるのは真っ白なチワワ。道行く人、犬、鳥などに見境なくキャンキャンと吠えている。

    「こら~、江澄、そこの犬が怯えてるだろ。吠えるのヤメロって」

     江澄の頭を撫でてなだめてやる。すると、まだグルル…とは唸るものの、大人しくなった。

    「そうそう。良い子にしてな」

    そろそろ帰ろうかと立ち上がったその時、声が聞こえた。

    「兄上、どうしたんです」

     青いカーディガンが見えた。その男性は草むらに向かって、また「兄上」と言った。
    犬用のリードを持っている。どうやら草むらに犬が入ってしまってたようだ。
    魏嬰は笑ってその青年のすぐうしろまで移動する。

    (ぷ、あの人、ペットに兄上って名前つけてんの?おもしろ~ ちょっと顔見てやろ)

    キャンキャンと江澄が青いカーディガンを着た男性に向かって吠え始める。
    江澄の鳴き声に男性が振り返る。
     魏嬰はハッとした。彫刻のような造形美。スっと通った鼻に透き通るような白い肌。冷たさを感じさせるその整ったうすい瞳に、全て持っていかれるような気がした。あまりの美しさに、魏嬰はしばし見惚れてしまった。

    「………なにか?」

     何秒間もみつめられたら気になるものだ。 魏嬰は一度ビクッと肩を揺らして己を取り戻す。

    「アッ、えっと…」

     魏嬰の目が一瞬泳ぐ。
     ガサガサと草をかきわける音がした。美しい彼の足元に艶やかな毛並みの犬が現れた。草むらから出てきたばかりのその犬の顔には花やら葉っぱやら、くっつき虫などがついている。ゴールデンレトリバーだ。

    江澄は始終キャンキャンと吠え続けていたが、その大きな犬を見て大人しくなった。

    「可愛いわんちゃんですね。名前、兄上っていうんですか?」
    「いや…曦臣と叔父が名付けたのだが、知人に数年預けていたら兄上と呼ばないと振り向いてくれなくなった。知人が兄上と呼び続けていたようで」

    へぇ、と言って魏嬰がしゃがんで兄上の頭を撫でた。

    「すごくイケメンな犬ですね。こんにちは、兄上」

    犬はわふ!と嬉しそうに魏嬰の頬を舐めた。それを見た江澄がキャンキャンとまた吠え始める。

    「こらこら江澄、嫉妬するなって」

    ちら、と上を向いて青年の顔を見る。やはり、どこかで見かけた事のある顔だ。

    「あの~、これ、ナンパとかじゃないんですけど…どこかで俺たち会った事ありません?」
    「いや。心当たりはない」

    そっか~、と言って魏嬰は立ち上がる。黒髪の男性の向こう側にある大きな時計台が目に入る。もうすぐバイトの時間だ。

    「じゃ、俺、そろそろ仕事なんで失礼しますね。じゃあな、兄上!」

    ゴールデンレトリバーは涼しげな目元を和ませる。まるで笑っているようだった。




    * * *



    「魏先生」

    返事は無い。肩肘をついてボーと砂場で遊んでいる子ども達を眺めている。

    「魏先生」

    やはり返事は無い。金子軒のこめかみにピキっと筋が入る。

    「魏嬰先生!」

    やっと魏嬰は呼ばれている事に気づいて、ハイ!と返事をした。

    「どうしたんだ。ぼーっとして」
    「あ…悪い、考え事してた。なに?」
    「お昼の準備を始めるぞ」
    「りょーかい」

     金子軒と共に幼児達の食事の準備を始める。金子軒は魏嬰にとっての義兄なワケだが、以前数回喧嘩をしたことがあって、あまり仲良くはない。
     しかし金子軒の妻は江厭離だ。血はつながっていないものの、心から尊敬し、大切にしている家族のような義姉の旦那ということから、できるだけ穏便に一緒に仕事をすることを心掛けていた。

     コクのある芳しいかおりが鼻孔をくすぐる。肉と野菜のにおいだ。栄養士でもある厭離の料理はどれも絶品である。魏嬰はワクワクしながら皿を並べていった。

    「今日はレンコンと肉の汁ものよ」

     厭離がひょっこり厨房から顔を出して魏嬰に言った。

    「えっ、やった」

     ここは江楓眠が経営していた保育園だ。通称ジャンジャン保育園。元気でおりこうさんの園児がいっぱい。

     少子化というご時世らしき理由で閉園することになっていた。そこで、資産家で暇人の金子軒が突如経営に名乗り上げ、そのまま園長になると主張したことでこうして存続ができている。利益はほとんどでておらず、赤字続きだった。最近になってようやく黒字が出てきたという。
     まだまだ経営難。油断は禁物だ。

     金子軒の狙いは江厭離だったのだが、彼自身子ども好きなこともあり、経営を苦とは思っていないようだ。そして厭離との間には一人の子どもを授かっている。

     子の名前は凌。金凌、あーりん、と皆から呼ばれている。犬が大好きなのか、いつも門の傍にある江澄用の犬小屋で遊んでいる事が多い。

    「もっとじうじうといる!」と泣きわめく幼児をなだめながら教室に入らせ、座らせる。
    「じうじうじゃなくって江澄な」
    「じうじう!」
    「はいはい。じゃあお昼ごはん全部食べたら江澄とあそぼーな」
    「うん!」

     無事納得してくれた金凌の頭を撫で、魏嬰は引き続き子ども達にお昼ご飯だぞと一人ひとりに声をかけて着席させていった。

     まだ食べるのが下手な子が多い。上手に食べ方を教えるのも先生の役目だ。食べるのが下手な子どもの順番に並ばせていく。まだ手づかみでしか食べられない温寧から順番に、景儀、思追、金凌、薛洋、温晁の順に座らせる。温晁が薛洋の隣は嫌だと駄々をこね始めた。

    「やだよ、薛洋は僕のおかずをぬすむんだ」
    「だいじょうぶ、取られないように見張っとくから」

     魏嬰が優しく言うと、今度は薛洋が腕を組んで偉そうに言う。

    「ハッ!誰がお前みたいに体ばっかポリポリ掻いてるやつのメシなんか盗むかよ!昨日は間違えておまえのゼリーを食べちゃっただけだっての!」
    「ふぇっ…うわあああん!魏せんせぇ」

     薛洋は年齢の割に口が達者な子で、いつも周りの子を泣かせていた。

    「こら薛洋、温晁はアトピーなんだ。人が嫌がる事は言うなって、お父さんにこの間叱られたばっかりだろ」
    「さぁどうだったかな~?」

     薛洋は懲りずに舌をベーッと出して温晁にイジワルをした。

    「むぅぅっ!お前なんか、お母さんがいない癖にえらそうにするなよ!」

     温晁が反論する。ああヤバイ、と魏嬰は思った。薛洋は養子で、親は二人とも男。つまり、二人パパの元で育っているため、ママという存在がいないのだ。薛洋はこの事について言われるとひどく立腹する。


    「なんだと!」
    「喧嘩はメシのあとにしてくれよー。厭離せんせー」

    魏嬰は姉を呼んだ。やってきた厭離に魏嬰はお手上げだとジェスチャーする。

    「あらあら。ここは私が引き受けるわ。魏先生はいただきますの合図をお願い」

     バタバタと忙しないが、毎日が楽しかった。

     食事を終え、ある程度また子ども達を遊ばせたあとはお昼寝の時間だ。その間に先生たちは昼食を済ませる。


     15時。親御さんが子どもを迎えにくる時間帯だ。

    「魏せんせーさよーならー!」
    「はいさよーなら」

     一番声の大きい景儀にバイバイと手をふって、次の親の対応に入る。魏嬰は一瞬息が止まった。そこには、今朝出会った、くっつき虫まみれのゴールデンレトリバーとあの瞳のうすい美形の青年がいた。

    「藍思追の保護者です」

    言葉を失ってしまった魏嬰を催促するように、彼は言った。
    タタタと小さな足音をたてて、一人の幼児が駆け寄ってくる。

    「おとーさん!」

     思追の声に、魏嬰の背筋がヒヤリとした。その時、この美しい人は既婚者だったのかと言いようのない、悲しい気持ちになった。

    「あ、また間違えちゃった。お兄ちゃん!」

     テヘヘと藍思追が舌をぺろりと出して笑う。

    (な、なんで、俺…今)

     心臓がえぐられるような感覚だった。理由がわからず、動揺したまま対処にあたる。

    「お兄ちゃん?お父さん?えっと…保護者さんですか?」

     魏嬰が尋ねるように顔をうかがう。
     子どもをさらう悪い大人もいる。いくら美しい男性で、魏嬰の好みど真ん中とはいえ、警戒心は必要だった。藍湛はそんな魏嬰に安心してもらえるよう、名乗ることにした。

    「今日から暫く思追は私が預かる事になりました。藍湛と申します」

     そこで厭離が魏嬰に声をかける。

    「思追くんの保護者の方、今日から入院することになったらしいの。藍湛さんって方が来るって聞いてるわ。言うの遅くなってごめんなさい!」

    魏嬰はなるほどと一つ頷き、藍湛に頭を下げた。

    「そうでしたか。失礼しました」
    「いえ…あの」

    連絡帳ノートの中身を説明しようと、思追のカバンの中をあさっていた。その時、藍湛が口をモゴ、と言いにくそうにしてから話しかける。

    「はい?」

    思追は藍湛の足元にしがみつき、機嫌よくしていた。

    「貴方は毎朝、あの時間帯にチワワの散歩をされているんですか?」
    「!」

    魏嬰は嬉しくなった。自分に興味を持ってくれた!と心の中で喜んだ。

    「そうですよ!藍さんもあの時間帯に?」

    藍湛が頷いた。






     それからというもの、二人は同じ時間帯に毎朝犬を連れて一緒に散歩をする仲になっていた。

    「お前ってさ、すっごい美人さんじゃん?初めて見た時、こんな綺麗な人もいるんだって驚いて固まったんだぞ、俺」
    「そんな風には見えなかった」
    「ほんとだって!」

     いつしか彼らは敬語を外し、趣味などをあれこれ話すまでになった。

     ゴールデンレトリバーの兄上が突然グイと江澄に近寄る。気を抜いていた藍湛は魏嬰とぶつかりそうになった。寸前のところで足にちからを込める。

    「すまない―――」
    「うぅん…」

     お互いの顔が至近距離にあった。
     魏嬰は目の下を赤く染め、藍湛は耳たぶが朱に染まる。

     パッとお互い離れそのまま無言で散歩を続けた。二人の恋が再び始まるまで、時間はそうかからなかった――――。








    fin.



















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