【ボブピン】書きたいとこだけ巨大なマンタが空の上を遊ぶように、舞っている。遠くから、海月の気の抜けたような鳴き声が聞こえる。
…あぁ、どこまでも美しくて、どこまでも残酷なのねこの世界。そんな、そんな世界、
「こんな世界なんか、無くなればいいんだわ。」
私はそう呟いて、ピンネを握っていた手を強く握りしめた。
「…そうですね」
隣にいるピンネの顔は見ない。
ここまで一緒に着いてくると言ったのは彼だ。
一緒に終わりにしようと言ったのも彼だ。
けれど、怖くなった。柄にもなくね。
だって、これはあたしのエゴだから。ピンネを弟子にしたのも、ここで終わりにすることも。
幻滅、されたかもしれない。
後悔、しているかもしれない。
でも、ごめんなさいね。あたし、貴方の手を離せないわ。
906