煙草と飴 狡噛は煙草を吸っていた。咎める者は誰もいない。ここは出島のマーケットだからだ。シーシャを嗜む者もいる。そんな甘ったるい空気の中で宜野座はため息をついた。さっきから聞き込みはうまく行っていない。いつもなら調査は順調なはずなのに。そんな時、狡噛は若い娘からキャンディーを買った。簡単な話だ。どっさりと飴を買って情報を得るなんて。しかし狡噛は隠れ蓑のキャンディーを捨てることもなく、煙草の代わりに飴を舐めた。そして宜野座の腕を引っ張りキスをする。宜野座は観念する。仕事のためなら仕方がないと。それから、いささか役得だなと思いながら。