桃娘・魏嬰のおはなし藍忘機は桃娘を一人引き取った。
桃娘と言っても、十一歳になる少年だ。魏嬰といって、藍忘機より六つほど歳が下だった。
出会ったのは、藍忘機がある町へ夜狩で訪れたときだった。
邪祟を退治するまでのあいだ、大きな屋敷で部屋を借りた。桃娘を育てることを生業とする屋敷だった。少年少女が何人か育てられていて、魏嬰はその中の一人だった。
そして数日が経ち、藍忘機が屋敷を離れるころには、魏嬰から一緒に連れて行ってくれと散々せがまれることになった。
魏嬰は、書で読んで仙門や修士に興味を持っていたらしい。藍忘機が部屋を借りてからは、屋敷中彼を付け回した。藍忘機が邪祟の調査のために町へ出ようとしたときも、魏嬰はなんとか屋敷の者を説き伏せて付いていこうとした。
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