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    りゅうひよこ

    @LOVE_FICTION

    いつもリアクションありがとうございます(^^) 二次創作の小説を書いたり、翻訳をしたり。短いお話が貯まったら、まとめて pixiv にアップしたいです。A Fic writer & Fic translator(ENG/JPN).

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    POIPOI 11

    りゅうひよこ

    ☆quiet follow

    天才と名高い蔵色散人の遺作である人工知能・魏嬰。藍湛はそのAIに道ならぬ恋をしていた。元々彼は身体的な交わりに興味が薄く、恋人が肉体を持たないことを気にしていなかった。だが生物学者・莫玄羽が倫理規定を破り、蔵色散人とその夫の遺伝子を用いて人工胚から人間・魏嬰を産みだしてしまう回。🐰傾向:らぶらぶ♡ SFよくわかりません♡ 🐰スタンプもらえると喜びます♡

    #忘羨
    WangXian

    科学者・藍湛×人工知能・魏嬰キッチンで湯が沸くのを待つあいだ、藍湛はひとりでに口もとがゆるむのを感じた。
    何年も思い続けてきた恋人を、はじめて抱きしめた次の朝なのだから仕方ないことだ。恋人が唇をねだってきたときの胸の高鳴りはいまだ治まることなく、藍湛の心を高揚させている。
    ポットとティーカップとマグカップをトレーに乗せて恋人のもとへ向かいかけたが、思い留まって玄関の鏡を見た。チノパンツにボタンダウンシャツというカジュアルな服装だが、襟が曲がっていないことを確かめてから寝室のドアを開けた。
    閉じたままのカーテンごしに朝陽が差し、ほのかに白く満たされた部屋へ入ると、ベッドの真ん中で白いブランケットに頭からくるまった人かげが座りこんでいるように見えた。
    「魏嬰、起きていたのか?」
    優しく声をかけるが、ブランケットのかたまりは動かない。
    ベッドのそばのテーブルにはタブレットが置かれていたので、藍湛はそれをすこし脇へズラしてトレーを置いた。
    「魏嬰?」
    あいかわらず彼が動かないので、藍湛はテーブルからタブレットを持ちあげ人工知能 Wei Ying の管理画面を確認した。二日前までは Talk ボタンを押して会話を始められた。だがそのボタンがグレーアウトしているので、話があるなら、二日前に実装されたばかりのホモ・サピエンス型のインターフェイスまでどうぞということになる。
    藍湛はベッドに腰かけると、包み紙をひらくようにそっとブランケットを剥いだ。二十歳そこそこに見える青年が姿を現す。黒髪の隙間からのぞいた瞳が濡れていた。
    「きみ……泣いているのか……?」
    ややあって、くぐもった声が答えた。
    「そうだよ」
    魏嬰がブランケットをパッと肩から滑り落とし、上半身をあらわにする。なめらかな肌にはキスの名残が点々と赤く痕になっている。
    「藍湛、おまえ前に言ってたろ。身体的な交わりに興味はないって。だから俺、信じてついてきたのに。こんな、こんな……」
    藍湛はそれを聞くと雷に打たれたようになって、やっとのことで「すまない…」としぼり出した。
    「昨日、きみは……その……」喜んでくれているように見えた。だがそれはなにかの勘違いだったのかもしれない。「ログをチェックする……」
    藍湛は震える指先をなだめながら、ポットから湯気のあがる液体をマグカップに注いで魏嬰へ手渡すと、タブレットを取り画面を操作し始めた。
    マグカップに口をつけた魏嬰は「あったかい。これなんだろ」とひとりでブツブツ言っていたが、液体の香りを嗅いだり、テーブルにあるポットのフタを開けたりして観察したあと「ああ、これはお茶か」とひとりで結論を出したようだった。
    「俺の本体のログを見てるのか?」
    魏嬰がお茶をすすりながらポツリと聞いた。
    人工知能 Wei Ying は蔵色散人の死後に紆余曲折あったが、現在はラボラトリー雲深不知処の中で稼働している。 
    「施術の前に話した通り、きみの脳には……」
    「藍湛が設計したチップが入ってて、俺の本体とセキュアな回線でリンクしてる。俺の体はヒトと同じだけど、ネットさえ繋がってればスパコンと同じ演算ができる」
    藍湛は「本体」という言葉を聞く度にわずかに眉根を寄せたが、魏嬰の言葉を引き継いで続けた。
    「これまでラボにいる Wei Ying のログを記録してきたが、今は身体を持つ魏嬰のログも取っている」
    とはいえ脳科学者の藍湛には、プログラミング言語で記述されたログを一目で読み解くのは困難だ。そこで概要を英語に変換するアシスタント・アプリを起動させた。
    「藍湛藍湛! 昨日から言ってるだろ、管理画面ばっかり見るなよ。俺はここだぞ。聞きたいことがあるなら、俺に聞いてよ」
    魏嬰はマグカップをトレーに置き、手の甲で涙をぬぐうと落ち込んだ様子の脳科学者をじっと見つめた。
    「そ、そうか。きみとは何年も画面を介して会話してきたから、つい……」
    藍湛がタブレットをテーブルに戻してベッドのほうを向いたとき、ちょうどデータ変換を終えたアシスタント・アプリ・随便 Suibian が機械音声で読みあげをはじめた。

     今朝のホモ・サピエンス型インターフェイス・魏嬰について報告します。
     07:02 目を覚ましました。
     07:02 周辺を観察。部屋に誰もいないことを確認しました。

    「うわー! 随便、報告しなくていい!」
    魏嬰はあわててタブレットを取りあげたが、藍湛の虹彩認証でないと画面ロックが解除されないため、読み上げは止まらない。

     07:03 「藍湛?いないの?」と発言しました。
     07:03 涙腺から涙液が分泌されました。
     07:04 部屋のドアが開いた音を確認。泣いた顔を隠す目的で、布をかぶりました。

    藍湛は魏嬰の手からタブレットを取ると、読み上げを止めて言った。
    「もしかして、きみが泣いていたのは……」
    「ああ、そうだよ!」魏嬰は腹を立てたような口ぶりでまくし立てた。「起きたらおまえがいなかったから! ていうか睡眠で情報が途絶えるなんて状況、まだ慣れないんだよ」
    藍湛は裸の魏嬰を両腕で包みこむと、肩にもたれさせた。
    「スーパーコンピュータの演算能力を持つのに、そんなことで?」
    「泣いちゃ悪いか! 俺は生まれたばっかりなんだ」
    「ならば昨日の夜のことは」
    「最高だったよ! ったく、なんで俺がこんなこと言わなきゃならないんだ」
    答える声は、もうほとんど叫び声だった。藍湛は彼の体を掬うような手つきでベッドへ寝かせて覆いかぶさり、唇を触れあわせるとひとしきりキスをした。
    「藍湛、おまえさ、こういう肉体的な欲求が薄いって話はマジでなんだったんだ?」
    魏嬰が玻璃色の瞳を見上げ、ややあきれたように聞いた。
    「そう認識していた。昨日、私の部屋へきみを招くまでは」
    「へえ。なら今は、その認識はアップデートされたのかな?」
    「うん」
    「どんなふうに?」
    からかうように尋ねられ、藍湛は言葉を詰まらせた。口にするのははばかられるから、替わりにシャツを床へ脱ぎ捨てる。魏嬰が明るい笑い声をあげながら、藍湛の首に腕を回した。
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    りゅうひよこ

    DONE仙門百家cafeボイスで、金子軒が自ら制服を選んでハリキっていたので。金子軒が「厭離と同じ場所で、同じ目標をもって過ごす機会なんて滅多にない!たくさん話して好感度を上げるんだ!」と意気込んでいたものの、雲夢双傑に妨害されて厭離と一言も話せない回(ツイッターに上げたものの保管)
    仙門百家cafeAU 金子軒が江厭離との距離を縮めようとかんばる回~忘羨を添えて初夏の風がさわやかな朝、カフェには仙門を代表する三家から公子公女が集まり、開店の準備に取りかかっていた。
    金家の公子二人も、美しい制服に身を包んで会場に入った。だがカフェのきらびやかな雰囲気とは対照的に、二人はそろって重いため息を吐いた。
    金子軒の当初の目論見では、この行事を通して江厭離と仲良くなるはずだった。だが来る日も来る日も雲夢の憎き弟たちに邪魔をされ、彼女と一言も話せない日もザラだ。
    一方の金光瑤は前の夜、金夫人、つまり金子軒の母から「子軒が厭離と全然話せてないみたいじゃない。あなた、なんのために子軒に付いて参加してるの。なんとかしなさいよ」と無茶な要求をされたのだ。
    金光瑤は金子軒へ声を掛けると、彼のアスコットタイの結び目を整えながら言った。
    2050

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    紫雨(shigure)

    MOURNING「明日は君の隣で」
    忘羨の現代AUで、2人とも大学生という設定です。
    女装して街へ繰り出した魏嬰が、藍湛をナンパして男だという事を隠してデートするお話。
    もとは前々回のワンライ(お題「誤解」)に合わせて書くつもりだったのに、まったく収まらず…!
    明日は君の隣で 廃屋の朽ちた扉に手をかけて中に入ると、左奥の物陰からゆらりと歪な動きの人影が飛び出し、こちらへ近づいてくる。――――――彷屍だ。
     魏無羨は、手にした銃の照準を彷屍の頭蓋に合わせると、数回トリガーを引く。彷屍はあえなく崩れ落ちるが、その後ろからも、二体の彷屍が続いて姿を現した。魏無羨は慌てる様子もなく次の彷屍に銃口を向ける。
    「お兄さん! 次、右手前から飛び出してくるからお願い!」
    「うん、わかった」
     呼びかけに応えた藍忘機は、自身の持つ銃を右手前に向け、彷屍が下部から頭を出した瞬間にその頭を撃ち抜くと、そのまま魏無羨に加勢して、襲い来る彷屍にとどめを刺した。
    「お兄さんさすが! かっこいい!」
     ここでゲーム画面が切り替わる関係で、少しのインターバルがあることを知っている魏無羨は、ここぞとばかりにはしゃいで、藍忘機を持ち上げつつ―――――その内心では、おかしな事になったな、と愉快に思う気持ちと、困惑する気持ちとがせめぎ合っていた。
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    はるもん🌸

    MOURNING弟子達をつれて読狩りの指導に出ていた魏無羨。やっと姑蘇へ戻ってきた彼を藍忘機は見つめていた。
    すぐにでも話したかったが、魏無羨は何やら弟子達に何かを指導しているようだった。
    魏無羨を見ていると、喜怒哀楽がふつふつ湧き出てくる。これまで自分が嘘のように溶けていくのを感じた。
    しばらく眺めていると、藍忘機にの視線に気づいたのか急いで彼は来てくれた。
    喜怒哀楽はない方が生きやすい楽しい事があればその分落ち込んだ時の落差が激しい。
    常に心を静かに保つには、無駄な事は考えず、むやみに物事を口にしない事が原則。

    これが、含光君が生きてきた中で学んだ教訓である。

    回廊で藍忘機は足を止めた。
    遠目から、一点を見つめる。夜狩から帰ったばかりなのか、多少汚れた衣服の弟子達と魏無羨がいた。先頭にいた魏無羨は後ろを振り向き、子ども達に先に着替えて身を綺麗にしてから指定した部屋に来るようにと指示をする。

    皆が去ったのを確認した彼はくるりと身を翻し、藍忘機の所へ向かって走り、飛んだ。スタッ、と華麗にちょうど藍忘機の目の前に着地した彼は、ツイと人差し指で含光君のあごをなぞる。

    「そんなに熱い視線を投げられると、いたずらしたくなるな」
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