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    りゅうひよこ

    @LOVE_FICTION

    いつもリアクションありがとうございます(^^) 二次創作の小説を書いたり、翻訳をしたり。短いお話が貯まったら、まとめて pixiv にアップしたいです。A Fic writer & Fic translator(ENG/JPN).

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    りゅうひよこ

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    パーソナル・トレーナーをする魏嬰と、近くで勤めていて、ジムに通っている藍湛の、片思いラブコメ。

    #忘羨
    WangXian

    現代AU/都会のジムで、忘羨が出会う回。藍湛は、ジムへ来ると淡々とその日のトレーニングをこなし、シャワーを浴びて帰るだけの利用客だ。十代の頃から体を鍛えることにこだわってきて、トレーニングについても学習してきた。だから行きつけのジムにパーソナル・トレーニングのサービスがあっても、特に受けたいと思うことはなかった。魏嬰というトレーナーを知るまでは。
    魏嬰は藍湛と同年代に見えた。その夜も、藍湛がチェストプレスで大胸筋を追いこんでいると、彼の声が聞こえてきた。ほかの利用者が魏嬰のパーソナル・トレーニングを受けていた。藍湛はそれを見て感心した。
    トレーニングというのは結果が出るまで時間が掛かる。運動を単調で退屈に感じ、通って来なくなる利用者も多い。
    しかし魏嬰は解剖学や実技の深い知識があり、さらに利用者に結果を実感させる声掛けをしていて、彼の指導を受ける人たちはトレーニングを継続できているようだ。これはなにも藍湛の勝手な思い込みではない。
    ここのマネージャーが、魏嬰が指導すると、ジム通いが継続する人が多いと話していたのだ。ほかのトレーナーと比べても優秀だと。藍湛はここへ通ってもう長いから、マネージャーもそんな内輪の事情を明かしたのだろう。
    魏嬰は、利用者に対しすこし慣れ慣れしい感じもするが、それもフレンドリーな雰囲気で喜ばれているということだろう。
    藍湛はレッジカールへ移動しながら、また魏嬰のほうを盗み見た。藍湛にとって特筆すべきは、彼のとびきりの笑顔だ。あの輝く瞳に見つめられ、笑いかけられ、励ましてもらえたら、きっとどれだけでもがんばろうと思えるだろう。

    帰宅後、藍湛は意を決して、ジムのホームページにあるパーソナル・トレーニングの申込画面を開いた。トレーナー紹介コーナーの魏嬰のプロフィールは、もう何十回読んだかしれない。そのページのリンクをたどってSNSをフォローし、彼が地元の小学校のダンスチームで、ボランティア同然の報酬で教えていることも知った。
    魏嬰が子供たちに囲まれている写真を眺めると、藍湛の口元も自然とゆるんだ。彼のまわりには笑顔があふれている。
    ジムのパーソナル・トレーニングは有料で、トレーナーの指名もできる。もちろん魏嬰を選んだ。
    (二五〇元も払えば彼とマンツーマンで話せるなんて……)
    風俗店めいているという考えを、藍湛は頭を左右に振ってかき消した。自分は優秀なトレーナーに指導を依頼したいだけだ。もう何十回も自分に言い聞かせた、その自己正当化の文句を頭の中でくり返した。

    藍湛は爪の手入れをしたり、トレーニングウェアを新調たりして予約の日を待った。だが当日の予約の時間が来ると、藍湛の心はこれ以上なく落ち込むこととなった。
    パーソナル・トレーニングはカウンセリングから始まる。談話用の小じんまりしたブースに現れた魏嬰は、困ったように笑い、こう言ったのだ。
    「お兄さんみたいな完璧な体をした人に、俺が教えることなんてないよ」
    「そ、それは……私は指導を受けられないと……」
    ショックを隠そうにも、言葉が途切れがちになる。
    「うーん、いつも藍湛さんがトレーニングしてるの見てるけど、日ごとに鍛える筋肉を変えて計画的にやってるし、マシンの使いかたは適切だし……そのへんのトレーナーより詳しいんじゃない?」
    「私をいつも……見ていた?」
    「そりゃあ、藍湛さんは常連だから、前から名前も知ってるよ。俺を指名して予約するから驚いたよ」
    魏嬰に名前まで覚えてもらっていたと知り、今度は藍湛の心臓は高鳴りだした。たった一分で他人の気分を乱高下させるなんてと、藍湛は魏嬰に畏怖の念すら感じ始めていた。
    「トレーニングで、なにか悩みでも?」
    魏嬰が小首をかしげると、癖のある前髪が柔らかそうに揺れた。
    「か、体を絞りたい。それで、食事面を含めて指導をお願いできたらと……」
    藍湛は用意していた依頼を口にした。
    「え、体脂肪率、今いくつ? 一五ないでしょ?」
    「いや、ちょうどそれくらいだ」
    「普通に生活するなら、これ以上落として、体を絞る必要ってないと思うけど」
    「……」
    「あ、もしかして、夏にビーチで目立ちたいとか?」
    「……」
    「さすがにないか」
    魏嬰が、自分が言った冗談に自分で笑っている。
    「まあ理由はいいか。藍湛さんのトレーニングの手伝いなんて、やり甲斐があるよ。俺、全力でサポートするから!」
    「わ、私も……」
    きみの人生を全力でサポートするという言葉が喉元まで出かかって、そんな自分に動揺した。この瞬間、藍湛は魏嬰を指名してパーソナル・トレーニングを申し込んだことを後悔した。やっぱりやましい気持ちがあったんじゃないか。結局自分が買いたかったのは、彼との時間だったのだ。倫理にもとる行為だ。
    だが魏嬰のほうは、無邪気に握手の手を差し出していた。おずおずと藍湛は握手に応えた。魏嬰がしっかりした力で手を握り返す。温かい手だった。魏嬰が笑う。あの笑顔で。
    「これからよろしく!」
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    りゅうひよこ

    DONE仙門百家cafeボイスで、金子軒が自ら制服を選んでハリキっていたので。金子軒が「厭離と同じ場所で、同じ目標をもって過ごす機会なんて滅多にない!たくさん話して好感度を上げるんだ!」と意気込んでいたものの、雲夢双傑に妨害されて厭離と一言も話せない回(ツイッターに上げたものの保管)
    仙門百家cafeAU 金子軒が江厭離との距離を縮めようとかんばる回~忘羨を添えて初夏の風がさわやかな朝、カフェには仙門を代表する三家から公子公女が集まり、開店の準備に取りかかっていた。
    金家の公子二人も、美しい制服に身を包んで会場に入った。だがカフェのきらびやかな雰囲気とは対照的に、二人はそろって重いため息を吐いた。
    金子軒の当初の目論見では、この行事を通して江厭離と仲良くなるはずだった。だが来る日も来る日も雲夢の憎き弟たちに邪魔をされ、彼女と一言も話せない日もザラだ。
    一方の金光瑤は前の夜、金夫人、つまり金子軒の母から「子軒が厭離と全然話せてないみたいじゃない。あなた、なんのために子軒に付いて参加してるの。なんとかしなさいよ」と無茶な要求をされたのだ。
    金光瑤は金子軒へ声を掛けると、彼のアスコットタイの結び目を整えながら言った。
    2050

    りゅうひよこ

    PROGRESS探偵・魏嬰&助手・藍湛のクローズドサークル。書くの時間が掛かるので、邸宅に閉じ込められた3日目の途中まで。トリックは特にないので、謎解き要素には期待しないでください。ほかの原稿もあるので、時間があるときに続きを書こうと思います。
    1日目に集まった9人
    王霊嬌
    金子勲
    金光瑤
    温晁
    聶明玦
    蘇渉
    宗嵐(雇われ管理人)
    江澄
    常慈安
    2日目に合流した3人
    薛洋
    魏嬰
    藍湛
    忘羨・缶バッジAU/探偵AU■一日目

    その日、ある邸宅が宿泊施設としてはじめての客を迎えた。
    邸宅は中国内陸部、陸の孤島ともいえる場所に建っていた。

    ■二日目

    「へえ、立派なもんだな」
    車の運転席から降りた魏嬰は、建物を見上げて言った。

    黒い瓦の大きな屋根、左右対称に並んだ柱、白亜の壁。邸宅は、伝統的な中国の建築にモダンな様式を取り入れたデザインで、洒落たホテルのようにも見えた。

    藍湛も、車の助手席から降りてあたりを見回した。
    「まわりに人家も店も何もない」
    「ああ。庭の植え込みも、植樹したばっかりって感じだし。駐車場ってどうなってるんだろ。まさか藍家の高級車を、そのへんの空き地に停めろなんて言わないよな」

    空は白々と明けたばかりで、しんと静まり返っている。だからか、遠くからエンジン音が聞こえてくることに気がついた。二人の車が来たのとは逆の方向からだ。
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