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    すずもち

    ディスガイア4、6の話を書いて置くところ

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    すずもち

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    ラスボス戦後、閣下が神を殴り飛ばした後拠点に帰還した主従の話
    執事にとっては目の前で閣下が消えるとか結構キツかったのではみたいな妄想

    #ディスガイア4
    disgaea4

    執事の心労戦いの疲労は予想以上にあったようで帰還して早々、今日は早めに休もうと思っていたときだった。寝支度を手伝う忠実な執事がヴァルバトーゼにそう話を切り出したのは。
    「ところで聞きそびれていたのですがあの後閣下の身に何があったのですか?」
    「ん、あの後とは?」
    「ネモを撃破した後に閣下が連れ去られた時のことでございます」
    「あぁ、あれか。あのときも言ったが神のやつが俺をご丁寧にも招待してくれてな、交渉を持ちかけてきたのだが話が合わなかったので殴り飛ばして来たのだ。それだけだな……全く神のくせに悪魔を従わせようなど片腹痛い」
    全てが傲慢でまさしく神の視座からの一方的な物言いを思い出してヴァルバトーゼは言葉に呆れを滲ませた。
    「なんと、そのようなことがあったとは。流石我が主、神をも恐れぬその豪胆さに加えてその神すらも暴を持って撃破されるとは……敬服の至りです、が」
    相槌にヴァルバトーゼの話に賛辞を連ねるフェンリッヒだったが、そこで言葉を区切ると棺の中から上体を起こしている主に近づき膝をついた。特にそういう話ではなかったのに急に畏まったフェンリッヒが何がしたいのか分からずヴァルバトーゼは頭に疑問符を浮かべる。
    「神とやらの全貌も能力も明らかになっていないあの場で閣下をみすみす拐かされたことが非常に悔しいのです。もし万に一つでもヴァル様に何かあればと思うと私は生きた心地がしません。閣下、どうか罰を。あの場で主を守りきれなかった愚かなシモベに相応しい罰を下さいませ」
    その言葉の端々にはフェンリッヒの深い悔恨と自身への怒りが混ざった苦々しい感情が込められていた。そんな話をするとは思わず、シモベの顔を注視するが合わせる顔もないかのように俯いておりその表情は判然としない。しかしこの男がどんな表情を浮かべているかは長い付き合いでありありと分かる。
    「ふむ、とは言えあの魔法のような移動にお前がすぐに反応するのは難しかったと思うぞ。それに向こうは俺指名だったしな。フェンリッヒ、お前がそこまで気に病むほどのことではない、不可抗力というやつだ」
    「ですが……!私はもう二度と貴方様を失うような真似を許すことはできないとそう心に誓ったはずなのです、それなのに……」
    「……全くお前は見上げた忠誠心を持つシモベだな」
    ヴァルバトーゼとしては罰を与える気などさらさらないのだが生真面目でどこか内省的なこの男のことだ。ずっと自分を責め続けるに違いない、それなら何らかの形でけじめを付ける機会を与える方が主として取るべき行動だろうと結論付ける。
    「そうだな、お前がそう言うのなら罰を与えようではないか……主を守れなかった者に相応しい罰……それは」
    フェンリッヒの肩がぴくりと揺れたが裁きを待つ罪人のように口をつぐんで主の先の言葉をじっと待つ。
    「……それはこれからも変わらず俺にその身と心を尽くして俺のために働くことだ!」
    「……は?」
    「フェンリッヒよ、お前は今回のことで俺への忠誠を損なったと考えているようだが、それならば不忠を挽回すべくこれからも変わらず行動で忠誠を示すが良い。……それに我々はまだ志半ば、こんなところで落ち込んでいるのは早すぎると言うものだ、それとも我がシモベは過去の過ちに囚われるような者なのか?」
    「……!流石我が主、おっしゃる通りです。大変お見苦しい姿を見せました、どうも地球の内側なぞに行ったせいか月の魔力が不足していたようです。でしたら今後とも閣下の覇道のために身を粉にして尽くすといたしましょう」
    「うむ、それでこそ我がシモベ。まだまだお前が俺には必要だ、これからも頼むぞ」
    「はっ」
    その返事と勢いよく上げた顔の表情にシモベの気持ちが前向いたことを察して満足げな笑みをヴァルバトーゼは作る。
    「さて、反省も良いがもう今日は遅い。お互い休むとしようではないか」
    「はい閣下、お休みなさいませ」
    「ああ、お前も休めよ」
    棺桶の中に横になるとフェンリッヒが蓋を閉める。その閉める前に執事の尻尾がゆらゆら揺れていることに気付く。フェンリッヒの足音が遠くなってから中々可愛げがあるではないかと吸血鬼は呟いた。
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    related works

    last_of_QED

    DOODLEディスガイア4に今更ハマりました。フェンリッヒとヴァルバトーゼ閣下(フェンヴァル?執事閣下?界隈ではどう呼称しているのでしょうか)に気持ちが爆発したため、書き散らしました。【悪魔に愛はあるのか】


    口の中、歯の一本一本を舌でなぞる。舌と舌とを絡ませ、音を立てて吸ってやる。主人を、犯している?まさか。丁寧に、陶器に触れるようぬるり舌を這わせてゆく。舌先が鋭い犬歯にあたり、吸血鬼たる証に触れたようにも思えたが、この牙が人間の血を吸うことはもうないのだろう。その悲しいまでに頑なな意思が自分には変えようのないものだと思うと、歯痒く、虚しかった。

    律儀に瞼を閉じ口付けを受け入れているのは、我が主人、ヴァルバトーゼ様。暴君の名を魔界中に轟かせたそのお方だ。400年前の出来事をきっかけに魔力を失い姿形は少々退行してしまわれたが、誇り高い魂はあの頃のまま、その胸の杭のうちに秘められている。
    そんな主人と、執事として忠誠を誓った俺はいつからか、就寝前に「戯れ」るようになっていた。
    最初は眠る前の挨拶と称して手の甲に口付けを落とす程度のものであったはずだが、なし崩し的に唇と唇が触れ合うところまで漕ぎ着けた。そこまでは、我ながら惚れ惚れするほどのスピード感だったのだが。
    ……その「戯れ」がかれこれ幾月進展しないことには苦笑する他ない。月光の牙とまで呼ばれたこの俺が一体何を 3613

    last_of_QED

    MOURNING世の中に執事閣下 フェンヴァル ディスガイアの二次創作が増えて欲しい。できればえっちなやつが増えて欲しい。よろしくお願いします。【それは躾か嗜みか】



    この飢えはなんだ、渇きはなんだ。
    どんな魔神を倒しても、どんな報酬を手にしても、何かが足りない。長らくそんな風に感じてきた。
    傭兵として魔界全土を彷徨ったのは、この途方も無い飢餓感を埋めてくれる何かを無意識に捜し求めていたためかもしれないと、今となっては思う。

    そんな記憶の残滓を振り払って、柔い肉に歯を立てる。食い千切って胃に収めることはなくとも、不思議と腹が膨れて行く。飲み込んだ訳でもないのに、聞こえる水音がこの喉を潤して行く。

    あの頃とは違う、確かに満たされて行く感覚にこれは現実だろうかと重い瞼を上げる。そこには俺に組み敷かれるあられもない姿の主人がいて、何処か安堵する。ああ、これは夢泡沫ではなかったと、その存在を確かめるように重ねた手を強く結んだ。

    「も……駄目だフェンリッヒ、おかしく、なる……」
    「ええ、おかしくなってください、閣下」

    甘く囁く低音に、ビクンと跳ねて主人は精を吐き出した。肩で息をするその人の唇は乾いている。乾きを舌で舐めてやり、そのまま噛み付くように唇を重ねた。
    吐精したばかりの下半身に再び指を這わせると、ただそれだけで熱っぽ 4007

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    last_of_QED

    DONEしがない愛マニアである私が原作の奥に想い描いた、ディスガイア4、風祭フーカと父親の話です。銀の弾は怪物を殺せるか?【銀の弾など必要ない】



    白衣が揺れる。頭をかいてデスクに向かうそのくたびれた男に私は恐る恐る声を掛ける。

    「パパ、お家なのにお仕事?」

    男はこちらを振り返りもしない。研究で忙しいのだろうか。それとも、私の声が届いていないのだろうか。
    父親の丸まった背中をじっと見つめる。十数秒後、その背がこわごわと伸び、首だけがわずかにこちらを向く。

    「すまん、何か言ったか?」

    この人はいつもそうだ。母が亡くなってから研究、研究、研究……。母が生きていた頃の記憶はあまりないから、最初からこんな感じだったのかもしれないけれど。それでも幼い娘の呼び掛けにきちんと応じないなんて、やはり父親としてどうかしている。

    「別に……」

    明らかに不満げな私の声に、ようやく彼は腰を上げた。

    「いつもすまんな。仕事が大詰めなんだ」

    パパのお仕事はいつも大詰めじゃない、そう言いたいのをぐっと堪え、代わりに別の問いを投げかける。

    「いつになったらフーカと遊んでくれる?」

    ハハハ、と眉を下げて笑う父は少し疲れているように見えた。すまんなあ、と小さく呟き床に胡座をかく。すまん、それがこの人の口癖だった。よう 3321

    last_of_QED

    MOURNING世の中に執事閣下 フェンヴァル ディスガイアの二次創作が増えて欲しい。できればえっちなやつが増えて欲しい。よろしくお願いします。【それは躾か嗜みか】



    この飢えはなんだ、渇きはなんだ。
    どんな魔神を倒しても、どんな報酬を手にしても、何かが足りない。長らくそんな風に感じてきた。
    傭兵として魔界全土を彷徨ったのは、この途方も無い飢餓感を埋めてくれる何かを無意識に捜し求めていたためかもしれないと、今となっては思う。

    そんな記憶の残滓を振り払って、柔い肉に歯を立てる。食い千切って胃に収めることはなくとも、不思議と腹が膨れて行く。飲み込んだ訳でもないのに、聞こえる水音がこの喉を潤して行く。

    あの頃とは違う、確かに満たされて行く感覚にこれは現実だろうかと重い瞼を上げる。そこには俺に組み敷かれるあられもない姿の主人がいて、何処か安堵する。ああ、これは夢泡沫ではなかったと、その存在を確かめるように重ねた手を強く結んだ。

    「も……駄目だフェンリッヒ、おかしく、なる……」
    「ええ、おかしくなってください、閣下」

    甘く囁く低音に、ビクンと跳ねて主人は精を吐き出した。肩で息をするその人の唇は乾いている。乾きを舌で舐めてやり、そのまま噛み付くように唇を重ねた。
    吐精したばかりの下半身に再び指を這わせると、ただそれだけで熱っぽ 4007