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    すずもち

    ディスガイア4、6の話を書いて置くところ

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    すずもち

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    フェンリッヒとシーフの潜入ミッション
    ヴァルバトーゼとガンナーの共闘
    それぞれのちょっとした絡みの話
    党員とはこういう関わり方をしているかもしれないという妄想

    #ディスガイア4
    disgaea4

    党員との日常銀狼と盗賊の夜
    月明かりも遮る鬱蒼とした森の暗闇に紛れてフェンリッヒと彼の二匹のクーシーたちは静かに移動していた。そして目的の地点である森の端まで来るとクーシーたちの足を身振りで止めて、木々の隙間からフェンリッヒがそっと様子を覗く。
    眼前に広がるのは堅牢な要塞、よほど大事なものをしまい込んでいるのか建物の周りには高い塀が築かれ、おまけに定期的に悪魔の巡回があり、こんな夜更けであろうと隙が無い。おまけに事前の調べから魔法のセキュリティも完備していることが分かっている。何でもどんな侵入者であっても一瞬で見付かり、消し炭にされてしまうそうだった。なるほど手強い、しかしこれを落とさなくてはいずれ主の行く手の障害となってしまうことは明白だった。それなら退くわけにはいかない。
    「仕事だ、出てこい」
    すぐ近くに居るクーシー達ですら聞こえるか聞こえないか程度の小声で闇に向かって呟くと頭上の木の葉が揺れて少女が地面に降り立つ。すでに敵地にいるというのにその小柄な少女はまるで緊張感の無い明るい表情を浮かべてフェンリッヒの方を向いた。
    「お呼びかにゃん?」
    「ああ、事前に伝えた通りだがあの建物の最奥部の部屋に爆弾を仕掛けてこい。それでここのセキュリティは一旦停止するはずだ」
    「ふんふん、随分手強そうなところに入るんだね?」
    「そうだ、できないか?」
    挑発を帯びたその言葉にシーフはにやりと笑い、腰のポーチにしまい込んだ爆弾を軽く叩いてみせる。
    「まっさか~、ボクに入れないところも盗めないものも無いよ。任せて任せて~」
    「なら行って来い。俺たちは爆発を確認してから建物に侵入するからな」
    「はいはーい、じゃっ行ってきまーす!」
    ピクニックにでも行くかのような軽やかな返事の後、シーフは森を飛び出して行った。猫の耳を模した帽子を揺らしながら走る姿は目立つかと思われたが闇に紛れてすぐに人影が見えなくなる。それは警備の悪魔も同様で侵入から数分経ったというのに建物内にも悪魔達の様子にも変化は見られない。
    それから少しして建物から離れた地点にいるフェンリッヒ達にも聞こえるほど派手な爆発音とそれを追うように広がる震動が作戦の成功を伝える。
    「よし、お前達行くぞ……全ては我が主のために」
    一瞬にして混乱に陥った要塞に向けて銀狼とその配下は闇の中へ駆けだしていった。

    吸血鬼と銃士の戦場
    欲望を胸に秘めた悪魔たちが跳梁跋扈する魔界で争いというものは日常茶飯事であり、ただ道を歩いているだけで戦いを挑まれることなど驚くことですらない。暴君とまで呼ばれた悪魔がそんな挑戦を断るはずもなく、ヴァルバトーゼは拠点への帰り途中で仕掛けてきた悪魔共を相手取っていた。ただ、どうも数が多い。
    目の前で槍を振りかざした悪魔を一刀に斬り伏せる。既に足元には十数近い悪魔達が倒れていたがヴァルバトーゼを囲む荒くれ共の数は減る気配を見せない。
    恐らく徒党を組んで襲いかかっているのだろう、一体一体はヴァルバトーゼの敵ではなかったが数がその実力不足を補っていた。それを証明するように最初の方はまだヴァルバトーゼは十分な間合いを取って戦えていたが数に翻弄される内にじりじりと距離を詰められてしまっている。
    下手をすれば全方位から撫で切りの目に合うかもしれんなとそんな最悪の想定をしながらまた一人斬って捨てる。しかし長く続く戦闘に集中力に綻びが出たのかヴァルバトーゼが次の相手に集中するあまり、後ろから襲い掛かる敵に気が付くのが一歩遅れた。
    気づいたときには遅く、流石にこれは一太刀貰うかと覚悟を決めた瞬間空を切り裂くような音が響き、背後の敵は何も出来ずに倒れていった。そして倒れた敵と入れ替わるように一人のガンナーが上から降ってきたかのように現れる。
    「面白い獲物でもいないかと見に来てみれば……ヴァルバトーゼ様、随分楽しそうなことしてるじゃねぇか」
    現れると思っていなかった援軍に少々目を見張るが、愉快そうに言う党員に口角を吊り上げる。
    「まぁな、地獄での執務も充実しているがたまには体も動かさんとな」
    「そうか、なら俺も混ぜてくれよ。……でヴァルバトーゼ様よ、俺はどいつを殺せば良い?」
    「クク、そんなの決まっているではないか。俺達に歯向かう全てだっ!」
    ヴァルバトーゼが敵を怯ます程の声量で言い放つと同時に二人は地面を蹴った。ヴァルバトーゼの剣筋が閃くその後ろでは鈍く光る鉛玉が敵の急所を正確に捉えていく。それからは血溜まりと物言わぬ悪魔達の山を築くのはあっという間だった。二人を除いて立つ者が居なくなる頃辺りは嘘のように静まり返っていた。
    剣についた血を払うために剣を一振りし、滑らかな動作で鞘に納める。それから後ろに立っていたガンナーの方を向くと煙を吹く銃口に軽く息を吹きかけてから腰のホルダーに納めているところだった。
    「これで全部のようだな」
    「ああ。で、どうだい運動にはなったのか?」
    「そうだないい気分転換にもなった。それと先程の活躍見事だったぞ、流石は我が党員と言ったところだな」
    「ふっ、あのぐらい朝飯前さ。またいつでも殺したい奴が居れば言ってくれ」
    「うむ、今後の働きも期待してるぞ。では戻るか!」
    漆黒のマントを翻してヴァルバトーゼは地獄への道に足を向ける。その後ろをガンナーは付いていこうとして、倒したはずの悪魔の一人がわずかに動いたのを視界の端で捉える。一度足を止めて静かにサイレンサー付きの銃を抜くと、その悪魔の心臓に向けて引き金を引いた。軽い音の後動かなくなったのを確認して今度こそ魔眼の射手は雇い主の吸血鬼の後を追った。

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    last_of_QED

    DOODLEディスガイア4に今更ハマりました。フェンリッヒとヴァルバトーゼ閣下(フェンヴァル?執事閣下?界隈ではどう呼称しているのでしょうか)に気持ちが爆発したため、書き散らしました。【悪魔に愛はあるのか】


    口の中、歯の一本一本を舌でなぞる。舌と舌とを絡ませ、音を立てて吸ってやる。主人を、犯している?まさか。丁寧に、陶器に触れるようぬるり舌を這わせてゆく。舌先が鋭い犬歯にあたり、吸血鬼たる証に触れたようにも思えたが、この牙が人間の血を吸うことはもうないのだろう。その悲しいまでに頑なな意思が自分には変えようのないものだと思うと、歯痒く、虚しかった。

    律儀に瞼を閉じ口付けを受け入れているのは、我が主人、ヴァルバトーゼ様。暴君の名を魔界中に轟かせたそのお方だ。400年前の出来事をきっかけに魔力を失い姿形は少々退行してしまわれたが、誇り高い魂はあの頃のまま、その胸の杭のうちに秘められている。
    そんな主人と、執事として忠誠を誓った俺はいつからか、就寝前に「戯れ」るようになっていた。
    最初は眠る前の挨拶と称して手の甲に口付けを落とす程度のものであったはずだが、なし崩し的に唇と唇が触れ合うところまで漕ぎ着けた。そこまでは、我ながら惚れ惚れするほどのスピード感だったのだが。
    ……その「戯れ」がかれこれ幾月進展しないことには苦笑する他ない。月光の牙とまで呼ばれたこの俺が一体何を 3613

    last_of_QED

    MOURNING世の中に執事閣下 フェンヴァル ディスガイアの二次創作が増えて欲しい。できればえっちなやつが増えて欲しい。よろしくお願いします。【それは躾か嗜みか】



    この飢えはなんだ、渇きはなんだ。
    どんな魔神を倒しても、どんな報酬を手にしても、何かが足りない。長らくそんな風に感じてきた。
    傭兵として魔界全土を彷徨ったのは、この途方も無い飢餓感を埋めてくれる何かを無意識に捜し求めていたためかもしれないと、今となっては思う。

    そんな記憶の残滓を振り払って、柔い肉に歯を立てる。食い千切って胃に収めることはなくとも、不思議と腹が膨れて行く。飲み込んだ訳でもないのに、聞こえる水音がこの喉を潤して行く。

    あの頃とは違う、確かに満たされて行く感覚にこれは現実だろうかと重い瞼を上げる。そこには俺に組み敷かれるあられもない姿の主人がいて、何処か安堵する。ああ、これは夢泡沫ではなかったと、その存在を確かめるように重ねた手を強く結んだ。

    「も……駄目だフェンリッヒ、おかしく、なる……」
    「ええ、おかしくなってください、閣下」

    甘く囁く低音に、ビクンと跳ねて主人は精を吐き出した。肩で息をするその人の唇は乾いている。乾きを舌で舐めてやり、そのまま噛み付くように唇を重ねた。
    吐精したばかりの下半身に再び指を這わせると、ただそれだけで熱っぽ 4007

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    last_of_QED

    DONEディスガイア4で悪魔一行が祈りに対して抵抗感を露わにしたのが好きでした。そんな彼らがもし次に祈るとしたら?を煮詰めた書き散らしです。【地獄の祈り子たち】



    人間界には祈る習慣があるという。どうしようもない時、どうすれば良いか分からぬ時。人は祈り、神に助けを乞うそうだ。実に愚かしいことだと思う。頭を垂れれば、手を伸ばせば、きっと苦しみから助け出してくれる、そんな甘い考えが人間共にはお似合いだ。
    此処は、魔界。魔神や邪神はいても救いの手を差し伸べる神はいない。そもそも祈る等という行為が悪魔には馴染まない。この暗く澱んだ場所で信じられるのは自分自身だけだと、長らくそう思ってきた。

    「お前には祈りと願いの違いが分かるか?」

    魔界全土でも最も過酷な環境を指す場所、地獄──罪を犯した人間たちがプリニーとして生まれ変わり、その罪を濯ぐために堕とされる地の底。魔の者すら好んで近付くことはないこのどん底で、吸血鬼は気まぐれに問うた。

    「お言葉ですが、閣下、突然いかがされましたか」

    また始まってしまった。そう思った。かすかに胃痛の予感がし、憂う。
    我が主人、ヴァルバトーゼ閣下は悪魔らしからぬ発言で事あるごとに俺を驚かせてきた。思えば、信頼、絆、仲間……悪魔の常識を逸した言葉の数々をこの人は進んで発してきたものだ。 5897

    last_of_QED

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    この飢えはなんだ、渇きはなんだ。
    どんな魔神を倒しても、どんな報酬を手にしても、何かが足りない。長らくそんな風に感じてきた。
    傭兵として魔界全土を彷徨ったのは、この途方も無い飢餓感を埋めてくれる何かを無意識に捜し求めていたためかもしれないと、今となっては思う。

    そんな記憶の残滓を振り払って、柔い肉に歯を立てる。食い千切って胃に収めることはなくとも、不思議と腹が膨れて行く。飲み込んだ訳でもないのに、聞こえる水音がこの喉を潤して行く。

    あの頃とは違う、確かに満たされて行く感覚にこれは現実だろうかと重い瞼を上げる。そこには俺に組み敷かれるあられもない姿の主人がいて、何処か安堵する。ああ、これは夢泡沫ではなかったと、その存在を確かめるように重ねた手を強く結んだ。

    「も……駄目だフェンリッヒ、おかしく、なる……」
    「ええ、おかしくなってください、閣下」

    甘く囁く低音に、ビクンと跳ねて主人は精を吐き出した。肩で息をするその人の唇は乾いている。乾きを舌で舐めてやり、そのまま噛み付くように唇を重ねた。
    吐精したばかりの下半身に再び指を這わせると、ただそれだけで熱っぽ 4007