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    すずもち

    ディスガイア4、6の話を書いて置くところ

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    すずもち

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    D6 ゼットがビーコからバレンタインチョコを貰う話 ゼトメロ要素あり

    #ディスガイア6
    disgaea6

    心で感じる甘さその日は四次元魔界中に朝から甘い香りが漂っていた。
    鈍い自分の鼻にすら届くくらいの甘ったるさに一体何事だろうとゼットは不思議に思いながら目を覚ます。
    取り敢えず起きるかとベッドから降りて身支度を整えていると数回、控えめなノック音が鳴らされた。そのノックの鳴らし方だけで誰が来たのか察知したゼットは素早く身綺麗にすると上機嫌でドアを開けた。
    「あ、にいたんおはようなの!」
    「おはよう、ビーコ。今から朝ごはんだよな?一緒に行こうな」
    「う、うん。そうなんだけど、ええっとね……」
    ビーコはもじもじと何か言いたそうにする。これは珍しい、どうしたのだろうと次の言葉を待つとビーコは手に提げていた紙袋から小さくも可愛らしい箱を差し出した。
    「これにいたんにあげようと思って持って来たの、バレンタインって言うんだって。でもね形が上手く作れなかったの……」
    「ばれんたいん……?ビーコがくれる物なら何でも嬉しいよ。開けても良いか?」
    「うん!」
    朝から思わぬ贈り物に胸が弾む。リボンのあしらわれた箱を開けるとふわりと甘い香りが広がり、中にはハート型に成型されたチョコとトリュフチョコがいくつか入っていた。
    「チョコか!すごいな、ビーコが全部作ったのかこれ?」
    「うん、でも私だけじゃなくて他の友だちにも手伝って貰ったの。あんまり綺麗にならなかったけど……」
    「そんなことないぜ、可愛くて食べるのが勿体ないくらいだ。これは大事にとっておくことにするよ。ありがとうなビーコ」
    手を伸ばしてビーコの頭を優しく撫でる。ビーコは嬉しそうに表情をほころばせた。
    「えへへ、にいたんに喜んで貰えて嬉しいの。あ、でもそれ手作りだから早めに食べて欲しいの。にいたんに食べて貰うために作ったから」
    「そうか?じゃ早速一つ貰うな」
    ココアパウダーのまぶされたトリュフを一つつまみ、口に入れる。ゾンビは体温が無いためチョコは中々溶けなかったがそれでもほのかな甘さが舌の上に乗った。ココアパウダーのほろ苦さとなめらかなミルクチョコの甘み。ゾンビ生活が長くなり味覚らしい味覚が薄かったゼットには目を見張るほど美味なものに感じられた。
    「うまっ!美味いなこれ、ビーコは凄いなこんな美味しいものも作れちゃうなんて」
    「やったー、みんなに手伝って貰って良かったの!」
    「やっぱりこれは食べるのがもったいないから防腐処理してにいたんの宝物にするよ」
    心臓なんて動いちゃい無いのに胸の奥にじんわりと温かさが広がるのを感じる。蓋を閉じて大事そうに持つと、ビーコは首を横にぶんぶんと振った
    「えっ、大事にしてくれるのは嬉しいけどそれはやり過ぎなの!ちゃんと食べて欲しいの!」
    そう言われたものの、その後数時間に渡って食べるべきか保存するべきか悩みに悩んだゼットは、今度は一緒に作って食べようというビーコの提案により防腐処理はせず食べることにした。
    「あら、それビーコちゃんから貰ったチョコ?」
    四次元魔界のラウンジでビーコのバレンタインチョコを食べようとしていると通りかかったメロディアが声を掛けてきた。
    「ああ、見ろよ凄いだろ。ビーコって本当に何でもできるんだ、自慢の妹だよ」
    「ふふ実は私それ手伝ったから知ってるのよ。一緒に材料を買いに行く所から手伝ったんだから。ねぇ味はどうだった?ビーコちゃんそれを気にしてたから」
    「宇宙一の美味さだったぜ、こんなに美味しいチョコ食べたことねぇよ」
    「それは良かったわ、なんて言ったってビーコちゃんと私の愛情が込められてるんですもの。ちゃんと味わって食べてねゼット様」
    「それは言われずとも……って、え、お前の愛情?」
    チョコを指さしながらメロディアに問うとメロディアは悪戯っぽく笑った。
    「ええそうよ、だってバレンタインチョコですもの。一緒に作った私と妹ちゃんの愛情がこもっていて当然でしょ?」
    「なぁさっきから言ってるそのばれんたいんって何なんだ?」
    「あら知らなかったの?バレンタインっていうのは別魔界の風習で2月の14日の日に恋人同士や友達同士で愛や感謝の気持ちを込めてチョコを送る日のことよ。だからそのチョコには私の愛と妹ちゃんの愛が入ってるってわけ。そう美味しかったのね、それなら良かったわ、ラララ~」
    上機嫌に歌を歌いながらメロディアは去って行った。一人残されたゼットはぽかんとした後箱に残っているチョコに目線を向ける。残っているのはトリュフチョコが二つとハート型の大きめのチョコが一つ。愛情が二人分もこもってるからゾンビのオレでも甘いって分かったのかななんて考えてからその考えを振り払うように首を大きく振るとゼットはチョコを口に入れた。
    そのチョコは始めに食べた一粒よりも何故だかずっと甘く感じた。
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    「呼んで、俺の名を」の後日談。お時間が許せば前作から是非どうぞ→https://poipiku.com/1651141/5443404.html
    俺の名を、呼んで【俺の名を、呼んで】



     教会には、足音だけが響いている。祭壇の上部、天井近くのステンドグラスから柔い光が射し込んで、聖女の肌の上ではじけた。神の教えを広め、天と民とを繋ごうとする者、聖職者。その足元にも、ささやかな光を受けて影は伸びる。
     しんと凍えそうな静寂の中、彼女はひとり祭壇へと向き合っていた。燭台に火を分け、使い古しの聖書を広げるが、これは決してルーチンなどではない。毎日新しい気持ちで、彼女は祈る。故に天も、祝福を与えるのだろう。穢れない彼女はいつか天使にだってなるかもしれない。真っ直ぐな姿勢にはそんな予感すら覚える眩しさがあった。

     静けさを乱す、木の軋む音。聖女ははたと振り返る。開け放っていた出入口の扉がひとりでに閉まるのを彼女は遠目に見つめた。風のせいだろうかと首を傾げれば、手元で灯したばかりの蝋燭の火が揺らめき、何者かの息によって吹き消える。不可思議な現象に、彼女の動作と思考、双方が同時に止まる。奏者不在のパイプオルガンがゆっくりと讃美歌を奏でればいよいよ不穏な気配が立ち込める。神聖なはずの教会が、邪悪に染まっていく。
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