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    vi_mikiko

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    vi_mikiko

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    コ哀ワンドロワンライに参加しようとして遅刻した作品です…
    お題:ミツバチ
    CP:成長コ哀
    ちょっと暗いので注意です。

    #コ哀
    koPity

    ミツバチ「あ、蜂」
     私達は洗い立てのシーツの上で重なりながら、窓の外を見つめた。
     長い冬が終わり、気がつけば寝室の空気も生ぬるくなっていた。冬は嫌い。静電気が起きるから。指先がバチッと痛む感触にはどうも慣れず、冬の間は腕を組むのが癖になっていた。その姿勢のままドアを開けてよと顎をしゃくれば、「オメー、女王蜂みてーだな」と彼に言われたことがある。
    「ミツバチが巣に運ぶのは蜂蜜じゃないって、知ってるか」
    「……ベッドの上で薀蓄を語る男は嫌われるわよ」
    「とってきた花蜜を別の蜂に口移しで渡して、初めて蜂蜜に熟成されるんだってよ」
     そう言って、彼は唇を重ねてきた。注ぎ込まれたのは蜜ではなく唾液。混ざり合って甘い蜜になればいいのに、舌に感じるのは、毒のような煙草の匂い。
     彼は、最近身体を傷つけることばかりしている気がする。成長したとは言っても、まだ十五歳。未成年なのに。彼は現実から逃れるように煙草も酒も煽るようになった。セックスだってそう。
     先ほどの大きな蜂は、女王蜂だろうか。
     帰る巣をなくして、彷徨っているのだろうか。二匹の女王が共存することは許されないから、新しい女王蜂が生まれれば、王国から追放されるしかないのだ。

     次の瞬間、ぶうんと大きな音がし、ドアの隙間から黒い固まりが入ってきた。
     蜂だ。そう気づいて、晒していた裸体を反射的にシーツで隠す。
    「やべ。廊下の窓、開いてたか」
     視界が徐々に暗くなったと思うと、彼が私の上に覆い被さっていた。
    「灰原、じっとしてろ」
    「ちょっ……」
    「刺されたら危ねえから」
     ミツバチだから大丈夫だと思うけど、と言いながら、彼は私を腕の中に閉じ込めた。
     私は女王蜂なのよ。守られるようなお姫様じゃないの。心の中で叫びながらも、私は彼の下でじっとしていた。じんわりと湿っている彼の身体。鎖骨にたまった汗を吸うと、悲しく甘い味がした。



     黄色を基調とした店内に、並ぶのはクマのグッズ。訪れていたのは子供が喜びそうなキャラクターショップだ。生憎私達は、もう大人だけれど。
    「元太君いた! もー、どこ行ってたの?」
    「わり、煙草吸ってた」
     店に戻ってきたのは、スポーツ選手かと見紛うほど肩幅の広い小嶋君だった。手を軽く上げ吉田さんの声かけに答える。
    「そういえば、コナン君もずっと煙草吸ってましたよね。未成年の時から」
     未成年、を強調し眉を顰めるのは円谷君。真面目な彼からすると信じがたいことなのだろう。
    「ええ。でも彼、最近煙草はやめたの」
    「当然だよ! 副流煙の影響ってすごいんだから!」
    「お酒も飲んでないわ。最近そんな余裕なくて」
     ため息をつきながら言うと、吉田さんが私の胸元を見て目を細めた。
    「やっぱり、毎日忙しいんだね」
    「そうね。ずっと働きっぱなしだわ……」
    「でも哀ちゃん、すごく幸せそう」

     小嶋君が、棚の上で商品が揺れているのに気がついた。小さな手がつついているのは、クマの絵が描かれた蜂蜜のビン。
    「ほしいのか? 買ってやろうか」
    「小嶋君、ありがと」
     私は蜂蜜に伸びる手をぎゅっと握りしめると、抱っこ紐を抱え直す。
    「でも大丈夫よ。蜂蜜はね、赤ちゃんには毒になっちゃうから」
     ね、と言って胸元に光るつぶらな瞳を見つめると、新しい女王蜂が私を見つめ返していた。




     





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