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    Hino

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    Hino

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    🥀タバコが吸えないヨゾの話

    「ゾルタンはタバコ休憩行かないんだね」

    最初は何気ない一言だったのだ。
    吸っているところを見たことがないのだから元々嗜んでいないとこの時気づくべきだったのである。

    見栄っ張りな彼が自爆するのは目に見えていたのだから。


    「ヨナちゃん吸わないからタバコ嫌いだと思ってな、匂い染み付いてたら悪ィし」
    「吸わないだけで嫌いではないよ。俺の事気遣って禁煙させてた?」

    ゾルタンの目が少し泳いだ。
    が、ヨナは「やっぱり我慢させてたんだな」という勘違いから申し訳なさそうな素振りを見せる。


    「そうだ!これ同僚からあまり好みじゃなかったからって渡されたタバコがあるんだけど」
    「...おう」

    ごそごそとスーツの内ポケットを漁り出すヨナに顔が引き攣り出すゾルタン。

    「よかったら吸わないか?」
    「...」
    「タバコ咥えてるの似合いそうだなって思ってたから、俺の前で吸って欲しい」

    一切の悪気がない笑顔が眩しすぎて直視できない。
    今更「吸ってないんだよヨナちゃん」なんて言い出せず精一杯の(ぎこちない)笑顔で受け取る。

    ニコニコと見守るヨナ。
    若干目が死んでいるゾルタン。


    吸い慣れてますよ、という動作でタバコを咥えたまではいい。
    着火してからが問題だ。吸ったことがないのだからどうリアクションするべきか分からない。
    ヨナがまだかな、という様な目で見ている。
    半ばヤケクソになったゾルタンがタバコに着火した。

    恐る恐るタバコを吸い







    「........ごふっ!!!」
    盛大にむせた。
    我慢できると思ってたんだよなぁ!これが!!(涙)

    「ゾルタンーーー!?大丈夫!!??」
    「ごほっ!!だいっ...ヒューじょう...ごほごほ...ぶっ!!けほっ!!」
    尋常ではない咽せ方にヨナが焦る。そして気づく。フリじゃなくて元々吸ってない事に。
    「ゾゾゾルタン!?背中叩けばいい!?」
    「ばっっっか、...ぐふっ!!さすれ...ごほ!!ヒュー...ヒュー...」
    「ごめんーー!!!」



    ひとしきり咽せこみ終わり、落ち着きを取り戻した2人。
    「どうして吸えないのに無理したんだ...」
    とヨナが聞くが未だ目尻に涙を溜めて無言のゾルタン。
    「タバコ吸えなくてもゾルタンはカッコいいよ」
    とフォローしたらこれまた無言で肩パンしてくる。
    顔は真っ赤だったが。



    後日。
    「はい、ゾルタンこれあげる」
    ヨナが差し出してきたのはロリポップ。
    「別に俺、甘党じゃねーぞ」
    と答えながらも包み紙を開いて口に含む。



    「タバコは吸えないけど、咥える仕草は好きだったからね」



    「だからたまにでいいからそれ咥えててほしいかな」



    悪気のないヨナの爽やかな笑顔に赤面する羽目になって、なんだか癪に触って思いっきりその頬をつねってやった。
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    lll_suki

    PROGRESS6月25日(日) 東京ビッグサイトにて行われるプチオンリー「極上の1杯を貴女に」で頒布を予定している、名探偵コナン/降谷零 夢小説のサンプルです。
    本文中、何度か視点が切り替わります。

    [あらすじ]
    黒ずくめの組織の壊滅まであと少し。
    妻を守るために自身の死を偽装し別れた降谷と、彼を亡くした日常のなかで必死に生きようとする妻が、もう一度出会うまでのおはなし。
    ハッピーエンド。
    拝啓 春へ置き去りにしたあなたへ おしまいはほんとうに突然で、それはよく澄んだ、春のおわりだった。

    「ご無沙汰しております」
     警察官の夫と、私と、それから子犬のハロ。ふたりと一匹暮らしのマンションに突然訪れたのは、篤実そうな男性だった。
     夫の部下だという男性は、『風見』さんと名乗った。彼と顔を合わせるのは確か、これが二度目。高い背丈と、あのひととは正反対に吊り上がった瞳がつよく印象に残っている。
     どうぞこちらへ。そう室内へ促した私に、春の空気をまとった彼は、ただ首を横に振った。
    「きょうは、こちらをお届けに伺ったんです」
     そうして手渡されたのは、真っ白な陶器の蓋物だった。私の両手のひらにちょうどぴったり収まるほどの、つるりと丸くて軽いそれ。薄い生成りで包まれているのに氷みたいに冷たくて、受け取った途端、言いようのない焦燥感が背を駆け抜けた。
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