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    ギギ@coinupippi

    ココイヌの壁打ち、練習用垢
    小説のつもり

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    ギギ@coinupippi

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    メモ帳を整理してたら書きかけの幹部ココイヌあったから仕上げてみた。
    ハニトラ仕掛けるモブ♀とそれに引っ掛かった振りをしたココと後始末しにやって来るイヌピーの話。
    ドライヤーの下りとかは適当。書きたい所だけ書いた。
    年明けて一作目がこれなのかと自分でも思う。

    #ココイヌ
    cocoInu

    汚れた部屋で遊戯に耽る。シャワーの流れる音を聞きながらクローゼットの中に掛けられている手触りの良いジャケットの内側を漁ると黒いスマートフォンを取り出す。
    予め注意深く手元を確認して盗み見ておいたパスコードを画面に打ち込むと直ぐに操作が可能になった。
    SDカードを挿入すると迷う事なく内部のデータを全てコピーして完了した物を引き抜くとラインストーンの施された華美なシガレットケースの中にしまった。
    スマートフォンも元あった場所に入れておくと何事も無かったかのように女は革張りのソファに腰を下ろしシャンパングラスを傾ける。
    カーテンの開かれた窓の外には電飾に彩られた摩天楼の景色達が広がり、そこから下を見下ろすと自分がまるでそれらを手に入れたような気分になった。
    高級なホテルもシャンパンも、先程ディナーを楽しんだレストランで贈られたダイヤのブレスレットも皆自分の為に存在しているのだと錯覚しそうになる。
    このホテルも女が在籍している銀座のクラブも全て持っている男が今、自分とベッドを共にする為にシャワーを浴びて居るのかと思うと笑い出したくなった。
    銀座のホステスをしながら半グレと言われる男と付き合って、その男から店の経営者である九井一にどうにか近付いて何か情報を盗んで来いと言われて始めた事だった。
    始めはちゃんと言われた通りに九井に近付き弱みを探ろうと演じて来たが、盗み取った情報を男に横流しするかどうかここに来て迷いが生じている。
    女は上手いこと九井に取り入って食事に数回誘われ、そして今夜やっとホテルの部屋に招かれた。
    そのたった数回の食事だけで九井の頭の良さや相手を楽しませる巧みな会話の運び、女を扱い慣れたスマートな装いに良い気分になっていた。
    たった数回でこんな夢のような扱いをしてくれる九井と自分の部屋に転がり込んで住み着いているロクデナシな男と比べたらどちらが良いかなんて言うまでもない。
    それならばいっそ、九井の愛人になった方が良いと思い始めた。
    その夜、女は九井とベッドで一夜を共にしてこの男を手に入れて見せると媚びた甘い声で鳴いた。

    それから数日経って、再び九井からメールで呼び出された。
    いつもなら電話で甘い言葉の一つもくれるのにメールは随分とシンプルで、この間一緒に過ごしたホテルの部屋の番号と先にシャワー浴びて待っているようにという旨が書かれているだけだった。
    少し変に思ったが時期的にもどこも忙しい頃であったし九井もそうなのだろう、と納得しそれならばそういう時こそ付け入る隙が出来ると女は指示通りにホテルに向かった。
    部屋に入ると真っ赤な薔薇の花束とシャンパンが置いてあり、一気に気分が浮上した。
    そのまま浴室に向かうと広々としたユニットバスの室内の真ん中にロマンチックな猫脚のバスタブが鎮座している。
    湯の張られたその中にも真っ赤な薔薇の花びらが散りばめられていてふわりと良い香りが広がった。
    ここに来る前に新調したドレスも下着も脱ぎ落とし、花びらの浮かぶ浴槽に入ると、持ち込んだスマートフォンで豊満なバストより上の写真を撮り九井へと送り付けた。
    バッチリ施したメイクが落ちないように注意を払いながらちょうど良い温度の湯に体を浸して、待ち人が来るのを今かと鼻歌を歌いながら待ちわびる。
    今夜はどんなジュエリーをプレゼントしてくれるのだろうか、ベッドの上で甘い睦言を囁かれ気をやる程気持ち良くされるのかと期待で笑みが零れてしまう。
    バスルームの入り口の方でドアが開く音がして九井がやって来たのだと思い、わざと背を向けた。

    「遅かったね、待ちくたびれてふやけちゃうよ」

    ユニットバスのドアが開かれた気配と共に媚びた表情を作り甘えた声でそう言いながら振り向いた。
    視線を落とした先にピカピカに磨き上げられた革靴の足に不思議に思いゆっくりと顔を上げて見れば、目の前に居たのは九井では無い別の男が立っていた。
    その男には見覚えがあった。店で初めて九井を見た時にもその隣に居た九井の幼馴染で相棒でもあるという乾青宗だ。
    女は思わず、キャァと悲鳴を上げる。

    「散々売女みたいな事しといて今更裸の一つで騒ぐなよ」

    胸を隠し浴槽の中で蹲る女に冷たい声が降り注いだ。
    一目見た時から無表情で冷たい目をした男で、女は九井の相棒とはいえこの男の事を好きになれなかった。
    しかし仕事以外では一緒に居る事も無いのか、九井との食事の場面にも彼が居た事は無かったのに。
    何故今、こんな所に居るのか。

    「なんなのアンタ、こんなの九井さんに知れたらただじゃ済まないわよ!」

    体を隠しながらも乾を睨み上げながらそう怒鳴りつけた。
    こんな事ぐらいで泣いて怯む程女は気の弱い方では無かったし、どちらかと言うと負けん気は強かった。
    そうでなければ半グレの男と付き合ってられないし、銀座でホステスもやってられない。 

    「そうだな、俺が勝手にこんな事してるの知ったらココは怒るだろうな」

    女の態度に感情を荒らげるでもなく静かな声で乾はそう言って、浴槽の縁へかっちりと着込んだスーツのまま腰掛けると、女の方へ手を伸ばして来る。
    反射的に身を守るように胸を庇うように手を当てたが乾は束ねた女の髪からピンを抜き取った。
    ハラリと長い黒髪が肩を滑り毛先が湯に触れて濡れていく。

    「綺麗な髪だ、乾かしてやろう」

    濡れた髪を一房指に絡めながら緑がかった青い目が女を見つめて来る。
    乾は無愛想で無表情で何を考えているのかまるで解らない得体の知れない雰囲気の男であったが、綺麗な顔をしていた。
    金色の短髪に顔の左側に特徴的な痣があり、一度見れば誰でも覚えてしまうような容姿の男であったが九井以外とは殆ど話す事も無く隣に座っていたホステスの女が気まずそうにしていたのを思い出した。

    「…あなた、私と寝たいの?」

    あんなに他に興味の無さそうだった乾が女の髪を優しく梳く手付きにそう聞いてみた。
    もしそうだとして、九井がここに来るまでにこの男をどうにか追い出してしまいたかった。

    「俺にはアンタは勿体無いよ」

    そう嘯くのに、九井にバレないようにするなら関係を持っても良いと切り出した。
    だがそれは今夜では無く別の日に。女の頭の中では九井に気に入られる事が最優先ではあったが、乾もそれなりの地位を持つ男である。
    それならば上手く転がせば利用出来ると思った。

    「そうか。魅力的な話だがやっぱり俺には過ぎた女だよ、アンタは」

    言いながら立ち上がり、浴槽から離れると黒いスーツのジャケットの内側を漁ってスマートフォンを一つ取り出した。

    「これのパスは1018だったろ?」

    顔の横で軽くスマートフォンを振りながら見せてきたそれを良く見てみると、その黒いスマートフォンに表示されているバイクの待ち受け画面に見覚えがあった。
    だがそれをどうして乾が今持っているのか。パスコードの数字もそうだ。
    それは確かにあの夜、九井のジャケットから盗み見たスマートフォンの物と一致している。

    「ココはあんたが自分の男に情報売る為に近付いたのも知ってるし、わざとこれの中身を見せたんだよ」

    「…は?」

    「アンタが盗んだデータはアドレス帳からメモから全部ニセモノだ」

    淡々と言葉を並べ立てている乾に女の頭の中はパニックで真っ白になった。
    バレていたというのか。全部九井に何もかも。
    だが九井はあれからも自分に高価なプレゼントを贈って来たり、電話でも甘い言葉を囁いていた。
    そう言えば、今日に限っては呼び出しが用件だけのメールであった事を思い出す。
    もしかしてそれは乾が勝手に九井のスマートフォンでやった事なのではないか。

    「九井さんの口から聞くまでそんなの信じない」

    「わざわざこんな事にココの貴重な時間を裂く必要無いだろ。それにアンタも十分良い思い出来たんだからそれで良いじゃないか」

    良い思い、と言われてここ数ヶ月確かに自分は九井によって夢みたいに贅沢で楽しかった。
    だがそれはこれからも続いていく。夢なんかじゃない。だって自分は九井に気に入られている。
    その証拠に高価な宝石やブランド物をプレゼントされ、夜景の見える豪奢なホテルの部屋で甘い言葉を囁かれながら抱かれたのだから。

    「私は九井さんに気に入られてるもの。情報だって誰にも渡してないんだし許してくれる」

    「パスコードの数字の意味わかるか?」

    自信満々に、まるで自分に言い聞かせるように女はそう言ったが乾はそれを意に介した様子も無く面倒そうに視線をやると手にしていたスマホを女の方へ見せる。
    自分の言葉を遮るように聞き返され少しムッとしたが九井のスマホのパスコードは確か1018だった。
    以前に九井が操作するのを注意深く盗み見てそれを入力したらロックが外れたのを思い出す。
    九井の誕生日でも無いその数字が何なのか見当もつかなかったがそんなものどうでも良かったから女は今まで気にも留めなかった。一体それがなんだと言うのか。

    「俺の誕生日なんだよ、アレ」

    女が問うより前にそう答えてから皮肉げに笑う乾はスマホをスーツのポケットにぞんざいに入れた。
    乾は何を言ってるのだろうかと女は思った。それから何故九井のスマホのパスコードが乾の誕生日でそれを乾が知っているのかも解らない。
    否、考えるのが嫌な気がした。

    「誰がユダか、もう正体は知れたしアンタは十分役に立ってくれたよ」

    困惑したままの女を一瞥してから静かな声で呟いて、それから背後にある洗面台からドライヤーを手に取る。

    「何を…」

    「髪の毛乾かしてやろうって言ったろ」

    言いながら黒い革の手袋をした指がドライヤーのスイッチを入れた。
    ゴオオオとモーター音を響かせているそれに女はこの話の流れで一体乾は何をするつもりかのか。
    本当に自分の髪を乾かすだけのつもりなのか、どういう意味なのか解らず困惑の表情を浮かべていた。

    「悪い、手が滑った」

    モーター音に紛れて棒読みの声が微かに聞こえたかと思うと、さっきまでまるで表情の動く事がなかった乾の口元にフッと笑みが浮かぶ。
    ドライヤーを握る手をぱっと離すと、それは浴槽に落下していく。
    直後、女は何かを言い掛けて口を開いたが目を見開いて痙攣したかと思うとそのままバチッと音を立てて動かなくなった。
    浴槽にズルリと沈んでいく女を見届けると手袋をした手でドライヤーのコンセントを抜き取った。
    水面を漂う女の髪を無造作に掴みあげるとバスタブの縁に頭を引っ掛けるように置いた。
    濡れた手袋を外してバスルームの床に脱ぎ捨てる革靴の底をコツリと鳴らしてその場を後にした。

    バスルームのガラスのドアを開けて部屋へ足を踏み入れると人の気配がして振り向く。
    大きな夜景が展望出来る窓の近くに配置されている革張りのソファの上に足を組んで座り、九井がシャンパンを飲んで居るのが視界に入った。

    「ココ…」

    名前を呼ぶと夜景をバックにグラスを傾ける姿が妙に様になっている男は隣に来るようにとポン、とソファを叩いた。
    バレるにしても早かったな、と思いながら大人しくそれに従う。

    「イヌピー、勝手な事しちゃ駄目だろ」

    示された通りに隣に腰掛けると、口調は軽いものであったが顎を掴む力は少し強くて眉を僅かに顰めた。
    言う通り勝手に九井からダミー用のスマホを抜き取り女を呼び出し…全て自分の独断だった。
    だが結果は変わらない、同じ事なのだから別に構わないじゃないかとも思った。

    「あの程度の女、お前が手を下すまでも無いだろ」

    「どうした、ヤキモチか?」

    揶揄うような声音でそう聞かれたのに不快そうに鼻を鳴らした。顎を掴まれたまま視線だけ反らしながら何も本当に寝る事無かっただろ、とつい拗ねたような口調になってしまった。

    「見た目がまあまあ良かったから、別の店で使えるか試したかっただけだよ」

    「そんなの俺がやれば十分だろ」

    機嫌の悪いのを隠そうともしない乾とは反対に九井のは愉快そうに笑っている。
    その態度が増々乾の眉間の皺を深くさせているのを解っていながらも。

    「イヌピーじゃ女に怖がられるじゃん。あと女が騒ぐと直ぐ殴っちゃいそうだし」

    そう言われて何も言い返せない。女に対して単なる暴力として手を上げた事は10代以来無いが、それ以上の事をした覚えはある。
    手に掛けるのに男も女もそう違いは無いが別に気持ちの良いものでも無いのは確かだった。

    「殺しちゃった?」

    内容とは裏腹に優しい声音で聞きながら顎から手を離すと乾の短く刈り込んだ髪をそっと撫で擦る。
    柔らかな手触りの良いその感触に慈しむように唇を寄せた。

    「多分死んでない。一応息はあったが意識は無いな」

    「そっか、なら生きてたらそれなりに使い道もあるし」

    九井のその言葉に死んだほうがマシなんだろうな、と内心で思ったが敢えて口には出さなかった。
    乾の物言いたげなそれに笑みを深めるだけで何も言わずに徐にテーブルの上の薔薇の花束を掴んだ。

    「なんだ」

    自分へと差し出されたそれに意味が解らず問えばイヌピーに薔薇って似合うだろうなと思って用意した、等といけしゃあしゃあと宣う。

    「んなもん、興味ねぇ」

    ある訳が無いだろ、と眉間に皺を寄せて女じゃあるまいしそんなもの一つで喜んだ振りなんてしてやらないと花束をそんざいにテーブルへ放れば赤い花弁が数枚散って落ちる。

    「薔薇の花束でご機嫌取って、高いシャンパンで酔わせてベッドに連れ込もうと思ってたのに」

    「いつもそういう手で女口説いてんのかよ」

    ベタ過ぎるだろ、とうんざりした顔で言うが九井の方は肩を竦めて結構勝率は高いんだぜと軽口で返す。
    どんなに臭いセリフにベタなシチュエーションであろうとこの男の話術と目に見つめられればそれはそうだろうと思う。

    「ココに口説かれりゃ、大体の女は落ちるだろ」

    「お前は落ちてくれない?」

    乾の腰を抱き寄せて、わざとらしく作った声が耳元で囁いたが容赦なくその手を叩いて乾はソファから立ち上がる。

    「他の女抱いた部屋でなんてごめんだな」

    例えそれが不特定多数が出入りするホテルであろうとも、隅々に至るまで清掃が行き届いていようとも。
    この部屋で九井が他の女に甘言を囁きベッドの上で乱れたという事実は許容出来ないと態度で示す。

    「ココに抱かれて自分はお気に入りだって馬鹿みたいに言い触らす女と一緒にするなよ」

    そんな安い女なんかと同列に扱うつもりならお前だって拒絶すると、鋭く冷たい目が一瞥すると部屋の出口に向かう。
    一見何にも興味が無いような、誰に何を言われようと冷めた顔をしている癖に九井に軽んじられる事だけは感情的になるその態度は九井の優越感を満たす。 
    乾を追うように立ち上がると足早に近付き、ドアノブを握る手に自らの手を重ねる。

    「じゃあ、お前しか抱いた事の無い部屋で口説くとするか」

    そんな戯言を言う九井に惑わされる事なく手を振り払われる。
    いつもならこの辺で折れてくれるのにな、と少し意外に思っていると目の前でドアが開く。

    「浮気したんだから覚悟しとけよ、ココ」

    廊下に足を踏み出す前に一度振り向くと、乾は蠱惑的に笑って見せた。
    一瞬呆気に取られ、見惚れてしまったのは九井がその顔に弱いからか。それとも乾青宗という男が見せたそれだからか。

    「やっぱりイヌピー最高」

    愉快そうに笑い声を立てると、浴室へは目もくれず九井も部屋を後にした。

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    ギギ@coinupippi

    DONEココイヌだけどココは出て来ない。
    またモブが出張ってる。
    パフェに釣られてイヌピーがJKからココの恋愛相談を受ける話。
    逞しく生きる女の子が好き。
    特大パフェはちょっとだけしょっぱい。乾青宗はその日の夕方、ファミレスで大きなパフェを頬張っていた。地域密着型のローカルチェーンファミレスの限定メニュー。マロンとチョコのモンブランパフェは見た目のゴージャス感と、程良い甘さが若者を中心に人気だった。
     そのパフェの特大サイズは3人前程あり、いつかそれを1人で食べるのが小学生からの夢だった。しかし値段も3倍なので、中々簡単には手が出せない。もし青宗がそれを食べたいと口にすれば、幼馴染はポンと頼んでくれたかもしれない。そうなるのが嫌だったから青宗はそれを幼馴染の前では口にしなかった。
     幼馴染の九井一は、青宗が何気なく口にした些細な事も覚えているしそれを叶えてやろうとする。そうされると何だか青宗は微妙な気持ちになった。嬉しく無いわけでは無いのだが、そんなに与えられても返しきれない。積み重なって関係性が対等じゃなくなってしまう。恐らく九井自身はそんな事まるで気にして無いだろうが、一方的な行為は受け取る側をどんどん傲慢に駄目にしてしまうんじゃ無いかと思うのだ。
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