江澄はうんざりとして、目の前の二人をながめた。
藍忘機は魏無羨を膝に乗せ、彼の背を支えつつ、匙を片手にしている。机上には果物を盛りつけた器がいくつも並んで、これを用意したのが藍忘機だというだけでもめまいがしそうである。
「んー、冷やした瓜はおいしいな」
「よかった」
「なあ、藍湛。次は西瓜が食べたい」
「うん」
藍忘機が匙で西瓜を運ぶ。魏無羨はそれをぱくりと食べる。
見ているだけで胸やけがしそうだ。
「この暑苦しい中、よくそんなことをやっていられるな」
夏、真っ盛り。しかも、ここ三日ほど日照りが続く中で、信じられない光景である。
「えー? 藍湛とくっついているのは暑くないし?」
「ああ」
藍忘機から、文句があるならさっさと出ていけと言わんばかりの視線を向けられて、江澄は静室に
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