『きり丸と伏木蔵と合戦場』授業が終わり、一年は組の生徒達はそれぞれ委員会や鍛錬、或いは自由な時間を謳歌しようと教室を出て行く。
乱太郎もその波に乗って教室を出たが、背後から呼び止められた。
「乱太郎!今日、暇?」
きり丸に声をかけられ、乱太郎は何となく要件を察して足を止め、眉を下げる。
「残念、今日は保健室にいないといけないんだよね。伊作先輩が実習に行かれてて不在だから」
「何だそっかぁ」
しんべヱも、今日は用具委員会で大規模な補修を行うからとさっさと行ってしまった。
あからさまに肩を落とすきり丸に、乱太郎は首を傾げる。
「きりちゃん、今日はバイト無いんじゃ無かったの?」
「いや、実は……」
「あれぇ?乱太郎?」
その時、反対方向からも声がかけられた。乱太郎にとっては保健委員会で慣れ親しんだ声だ。
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